首藤明敏 『ぶれない経営』

2018-10-21 23:49:49 | 成功法則

私にとって経営というものに関して興味は尽きません。

これまで、経営に関する本をこのブログでいっぱい紹介してきました。

『マネーの虎』『愛の貧乏脱出大作戦』といった経営に関するテレビに出演した経営者の本を興味深く読んでは感銘を受け、それを実際の経営に活かしては…という意味を込めて紹介してきました。

どうすれば、経営は存続していけるか?

そういった事は私にとって非常に興味深いことでした。

何故なのか、興味があるからとしか考えれません(笑)。

この本では、2008年のリーマンショック後に、アメリカから波及した不況が日本にも影響して、やはり不況になりましたが、その際にも生き残り、それだけでなく健全な経営を続けれた会社の経営について、8人の社長のインタビューをまとめたものです。

その内容を読むと、共通項があるなと感じた次第です。

まず、人とのつながりを重視していること。

人とのつながりを重視して、顧客や社員の心を重視して経営をしているということですね。

お客様がこのようなことをされたら喜ぶだろう、ということについて常に考えている。

それを現場で活かすということですね。

その内容については、やはり社長1人や会社上部の人間だけではわからないことはいくらでもあるのです。

ですから自分は長く生きているからというだけで、従業員や顧客の声をきかないというのではだめですね。

時に上から命令を下すというだけのアップダウン方式を降すことも必要でしょうが、それだけではだめということですね。

それだけでなくボトムアップを社員や顧客からしていかないと。

そういう寛容な雰囲気を社内に作り、そういう事をすぐにできるような柔軟な発想を社長がしていかないとだめですね。

これができるかどうかは、その社長の気質にかかっているのでしょう。

対人心理学などを学べばわかることですが、友人が1人か2人でいいと考えている人と、友人がたくさんいたほうがいいと考えている人。

人間社会はこの2つに二分されるようです。

やはり後者の人でないと経営は成り立たないでしょうね。

そして、その道が好きでいることですね。 サイト運営、物販、レストラン、医療といろんなジャンルの社長が、この本では登場しますが、どれも使命感を持って仕事をしていますね。

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「これが自分の天職なんだ。」「この仕事をすることが自分の人生の使命なんだ。」という思いで仕事に取り組んでいるということですね。

そういう思いに駆られるには、その仕事の内容が、自分が自ら取り組める、人と比べてどうかではなく、おのずからやる気がわいてくることでないと無理ですね。

今の花形だからとか、儲かるからといった理由で仕事をしているのではないのですね。

いくらやっても批判される、上司が自分を認めてくれない、という人は、その仕事を心から欲していない場合がほとんどではないでしょうか? 勿論、例外はありますが…。

おのずから取り組んでないものはいくらやってもダメな気がしますね。

ましてや経営などおぼつかないですね。

そして、自分の経営によって、その教えなり、利益が社会に還元することに意義を感じているということですね。 

会社の利益だけでなく、その会社の理念が多くの人を啓蒙し、その会社が自分の住む地域にあってよかったと誇りに思われる社会作りを目指しているということですね。

そういったマクロな視点に立って日々の仕事を全うしているということですね。

これは多くの人が見逃しやすい視点でしょう。

多くの人との暮らしの中で、自分がよく見本なり理念なりを提示しながら、人間だれしも生きていますね。

それを経営を通して、良き見本や理念を示さなくては意味がないでしょう、ただ仕事をし、利益を求めるだけでは。

常にいろんなものから、いろんな本から情報から意義を得たいという思いでいる人で経営に携わりたいと考えている人には是非とも心の芯においてもらいたい視点ですね。

そして常に勉強しているということですね。 やはりどんなものでもおなじですが、旧態依然とした体制ではずっと持ちこたえられるものではありません。

それでずっと栄えたらいいのですが…(苦笑)

環境の変化は必然的に起こりますし、その変化の中で、自分の会社はどうすればいいかを常に勉強していかなくてはならないでしょう。

それは人との会話であったり、テレビ、ラジオ、ネット、そしていろんな本を濫読しているのですね。

経営をいつまでも継続させている社長さんたちは。

『愛の貧乏脱出大作戦』に出てきた貧乏自営業者の共通する点は、メニューを作ることだけに意識を集中してしまっている、ということですね。

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メニューは作れて当然で、更にサービスをどうすればいいか、どんなメニューを加えたらいいかを常に考え、探し、自分の店に加えたらいいか、といった事はまるで意識の外にあるのですね。

ゆえに、あの番組に出演しても、閉店の憂き目にあってしまうのです。

逆に上手くいっている主演店の経営者は、そういう事が当たり前にできている、ということですね。

これはひとえに知的好奇心があるかないか、の違いだと思います。

こういう勉強といっても、義務教育を経ていれば誰でもできることですが、それをしたくないというのは、やはり文字嫌いなのでしょうね。

文字嫌いの人はやはり健全な経営者にはなれないだろうな、と思った次第です。

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そして、こだわりをもつということ。

経営方針について環境変化は必然ですが、だからといって右往左往するのではなく、きちんとぶれない軸を自分の心の中でしつらえて、それを貫くということですね。

全部が全部、顧客のニーズに合わせていれば、ただの媚び売りになってしまいますね。

その軸の基準はやはり長年培った経験の中で築きあげられたものであり、私はどうやって築くかは明確なノウハウはわかりません(笑)

それは、それぞれの社長から学んでいただきたいと思います。

以上概論を述べました。

ここまで読んで、経営とは何か、どのような人が経営者として望ましいかの各論を知りたい人にはうってつけの本であると思います。

●この本は以下よりどうぞ!

ぶれない経営―ブランドを育てた8人のトップが語る


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堺屋太一 『大変な時代』

2018-10-07 12:31:34 | 経済論
この著書を読んで、やはり堺屋太一氏は、稀有な著作家であるなと確信した次第です。

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堺屋太一
 
物事の内容を詳しく分析し、しかもわかりやすく説明することで未来が明るくなるのです。

物事は不変ではないですし、その変化が起き、同時に問題点が発生したら、それを良き方向へ持っていくことが科学の役目であり、その際に必要なのが明晰な分析に他ならないからです。
 
それをどの著書でも終始一貫しているから、いつ読んでも集中してしまい、いつしか時間のたつのも忘れてしまうのです。

こういう著者の存在にはいつも感謝しています。
 
91年から始まった日本の不況において、やはりその打開策は必要になってきている世風の中でこの本は書かれていて、当時の日本及び世界の社会構造がどのようになっていて、また日本の驚異的な経済的な成長が可能だったのかを分析し、その内容を踏まえたうえで、打開策を提示しているのです。

その明晰な分析内容には瞠目せざるを得なかったのですね。
 
今はもう色あせたというか、どれほどの企業が踏襲しているのかわかりませんが、企業の労使慣行(終身雇用、年功序列賃金、企業内組合)、政府や企業の先行投資型体質、集団的意思決定が、日本の奇跡的な経済成長を可能にしました。
 
しかし、これからはこれらが起因して、危機に瀕するというのです。
 
それは世相の変化や発展途上国の経済的な追い上げが原因ですね。

第二次世界大戦直後に生まれたいわゆる団塊の世代といわれる人たちは、その経済的な恩恵を受けてきました。
 
私の父もその世代に属しますが、その当時の恩恵は凄いものがありました。
 
その会社は外資系の会社でしたが、その会社は秋の運動会の季節になると、運動会を開き、その際に遊園地を全部借り切ってやってました。
その際には、食事、飲み物、イベント参加のチケットがいずれもタダでくれました。
 
また、違う年には芋ほり大会がタダで参加できました。
 
そして私の家族は社宅で暮らしていま下したが、そこは部屋が居間含めて4部屋ありましたが月に4万円弱で借りれました。
 
こんなことができる会社は今はもうないのではないでしょうか?
 
その会社もやはり90年代半ばの不況のあおりを受けて、徐々に撤退勧告を社宅に住む家族にするようになり、最終的には全家族が撤退を余儀なくされました。

このようなことが何故当時の日本で可能だったのか?
 
日本人が概して勤勉だったから…それももちろんあるでしょう(笑)。
 
しかしそれだけではないのが、この著書を読んでわかりました。
 
株の個人への分配を低くして企業の内部留保を大きくしたのですね。

個人の消費は悪であり、企業の公共の投資は善という雰囲気を作ったのですね。
 
なるほど、当時の日本人はどの家庭も貯蓄に励んでいた雰囲気が往々にしてありましたね。
 
しかしこんにちでは、そういう雰囲気がかなり希薄で、刹那的にお金をどんどん使ってしまう雰囲気の方が大きい気がしますね。

それはやはり法律による効力が大きかったのがわかりました、この本を読んで。
 
法人税を高くして、含み益には課税しないという法律的な側面があったのがわかりました。

税金を払うよりも、新たな設備投資をした方がいいという雰囲気になるのは必然です。
 
企業がそのことに気づいて、やはり社宅を作ったり、会社の別荘を作り、そこを格安で社員は使うことができる、ということになれば、儲けが出ている企業は、どこも作りますね。
 
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それを利用することができた社員は、その会社への忠誠心や帰属意識が強くなるのは必然ですね。

私の父の会社もそのことを敢然とこなしていったのですね。
 
しかし、欧米での国民性を考慮すると、これが功を奏したのかは疑問がわきます。
 
欧米では、終わりの時間が来たら、仕事が終わってようがいまいが、すぐに帰り、自分の家庭や友人と団欒を愉しみ、そして趣味の世界の没頭するのだそうです。
 
企業内の人間が必ずしも気の合った人であることはないですし、そういった人たちと無理やり付き合う必要を感じないですから、社宅や別荘など建てようものなら、それらは自分たちに還元しろと企業は訴えられるとフランス人ジャーナリストが書いた本を思い出します。
 
やはり国民性の違いがあるのは興味深いですね。
 
こういった法人税のからくりがあったゆえに、日本では公共事業、設備投資、住宅建設の3つを足すと、GNPの30%余りになるのだそうです。
 
これは先進国ではまれな事態です。
 
設備や住宅に投資した人は有利になるのは言うまでもありません。
 
自治体や企業は、経済規模の拡大によって先行投資をどんどんしていったのですね。
 
大企業は500余りの子会社や孫会社がありますが、日立製作所などのレベルになると1000もの子会社や孫会社があり、金融と株式の持ち合いをおこない、金融グループにまで成長したのです。
 
また法人税法以外にも、財政法というのがあって、これは道路や住宅や下水道の投資は建設国債を使い、これは無限に発行できるのに対し、教育や福祉やイベントには赤字国債を使い、これは厳しく抑制されているのです。
 
ゆえに建設事業に財政が集中してしまうのですね。
 
ここで思い起されるのが、カレル.ヴァン.ウォルフレン氏の言葉ですね。
 
「地方には全然人が通らないところに道路や橋を作り、川や海には不必要な護岸が作られたりしている。
そのことで、美しい景観が損なわれている」

ということですね。
 
それを良しとしないのがウォルフレン氏ですが、ウォルフレン氏に共鳴する人がいるならば、それを改善するための行動をしていかないとだめですね。
 
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カレル.ヴァン.ウォルフレン
 
それは国民、市民が動かなくとも必然的に変化が起こるのでしょうか。
 
堺屋太一氏の慧眼なところは、視野が広く、論述をするに際し、その引き出しからいろんな論が即座に出てくることですね。
 
団塊の世代の子たちは、すでに親が住宅を購入しているがゆえに、住宅購入の切迫感がなく、加えて人口増加が停止し、人口移動の頻繁さが激減しているからこそ、受託建設の戸数は減少していくからと太一氏は書いています。
 
そこは綿密な分析が必要でしょう。
 
私の住む東京では、都心部でいろんなマンションがたくさん建てられていて、売りに出すとすぐに「売り切れ」の看板が出てしまいます。
これは私がみただけだけのことで、全体的には減少しているのか、増加しているのかはわかりません。
 
やはり都心部では建設ラッシュで地方では激減しているのかもしれませんね。
 
その他、高齢化社会において、高齢者向けの商品の不足を嘆き、官僚主導の<コスト+適正価利潤=価格>という基準で、着陸料が固定で決まってしまっている事の変革を希求していることなど、太一氏の視野の深さに驚かざるを得ないですね。
 
また歴史にもものすごい慧眼を持っていて、かつてのレーガノミクスの歴史的な教訓を引き合いに出しています。
 
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この政策によって、2000万人の雇用を増やしました。
 
しかし、年収300万ドル以下の低所得者が急増し、年収1000万ドル以上の人が増えたことを引き合いに出し、このような社会階層の両極分解は、製造業の衰退で起こるとしているのです。

この本が書かれたのは96年ですが、それが今の日本にも当てはまりますね。
 
額に汗して働く人ではなく、いかに上手くお金を動かす人が得する社会になってしまっているのです。
 
こういった歴史を透徹したモノの見方や、視野の広いいわば博学さにはノックダウンさせられます。
 
こういうものを読むとやはり時間を忘れて読むのに没頭し、かつものの考え方においても参考になります。
 
そしていつまでも氏の本を蔵書にしまっておいて、いつまでも読んでいたい気になってしまうのですね。
 
そういう読書を愉しみたい方にはうってつけの本ですね。
 
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福田歓一 『近代の政治思想』

2018-10-07 00:07:45 | 哲学、思想
福田歓一氏の本は、私が大学生時代に読ませてもらい、感銘を受けた著作家の1人です。

非常にわかりやすく、真に迫った筆致には感動しないわけにはいかなかったです。
 
この本もそのうちの1つであり、今も心に残る本ですが、この内容は、近代が政治思想の転換期であり、その内容が現代にどのように貢献しているか、またその現代に活かされた思想内容が、どのような問題を含んでいるかを提示してくれています。

非常に迫るものを感じる本ですね。
 
コペルニクスの地動説によって天動説はルネサンス期に覆されたのですね。
 
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これを代表として、一切の被造物の神秘性をはぎ取り、絶対主義に対する抵抗理論が構築されだしたのです。

客観的な自然認識が前提となるのですね。
 
また、税金の徴収も、それまでは傭兵によって可能となっていましたが、紙1枚の送付で可能となったのですね。
 
これは絶対主義によって可能でした。
 
その絶対主義は家産国家と呼ばれる国家になっていたのです。
 
家産国家とは国家そのものが君主の私有財産であり、国家の土地と人民が君主の財産であった国家の時代でした。
 
それにより家産官僚制や常備軍が生まれたのです。
 
その正統性のために、宗教を利用したのです。

信じないことには内面的に異端であり非国民とされたのです。
 
そういった家産国家に対する抵抗理論が、カルヴィニズムでした。
 
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これはジュネーブに本部を置き、ここに学んで帰り、国で抵抗団体を組織したのでした。
 
政治と宗教の分離ですね。
 
この期に、フランスのジャン.ボダンは「主権」という言葉を創ったのでした。
 
近代の国家は、どう解釈するかから、「どう構成するか」に変わったのだといいます。
 
その代表的存在がドイツのカントでした。
 
カントは人間が芸術を理解し、美を鑑賞するのは、いかなる人間の資質によるか。
 
人格としての人間の自律性を説いたのでした。

これらのありかを原理的に変えなくては確立はされないというのです。
 
こういった言論の勃興により、人間が人間である限り、何人によっても要求できるのが主権であり、すべての人間は平等であるという思想が人口に膾炙されたのです。
 
これは今の世界では当たり前ですが、この時期には非常に斬新な話だったようで驚きますね。
 
この期に確立されたことが今も活かされているということですね。
 
それがゆえに、王政の廃止に歴史が動いたということですね。
 
この期にはいろんな思想が花開き、グロチウス『戦争と平和の法』が書かれたのもこの時期であり、彼は国際法の父とすら言われています。
 
またホッブスも著書を著わし、それらの中で人間の能力に非常な自信を得て、科学の発展に寄与しました。
 
人間はほかの動物とちがってどのような特色を与えるかをあらわしました。
 
単なる感性ではなく、人間には想像力があり、先を見通す能力がある、この力に非常に期待をかけ、未来を明るいものと考えたのですね。

富は生産の問題であり、これは労働で生み出すことができるとしたのでした。
 
またロックは宗教改革において、理性的かつ勤勉な人間の必要性を説きました。
 
こういった思想の数々が今日でもいかされているのがわかりますね?
 
近代改革の理論は、共同体に縛られない、身分制度から解放された独立の個人を必要な単位として考えられたということですね。
 
それが18世紀のイギリスで解放されていくのでした。
 
そこでルソーが現れ、彼は「公益と私益が一致する法律を作るべし。人類全体の利益になるように行動せよ。」という理論に反対しました。
 
人類の歴史は本能によって動いてきた、それを批判するのはとんでもないということですね。
 
それを前提としつつ、論拠枠を少しづつ加えていくのがいいというのです。

代議制を彼は批判しました。
 
それは人民全部を例外なしに拘束するものだというのです。
 
そうではなく人民が集まって本当にまじめに議論するのが望ましいということですね。
 
そのためにはやはり教育の重要性が思いつくのですが、やはりルソーは自身の著書の中で、教育の重要性を多く説いてますね。
 
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総括しますと、近代科学は人間の生存の事実と、その手段への欲求とに結び付いた理論に支えられ、それゆえに、また技術を生み出すことによって生産力を放出しました。
 
権力は、制度の保証、制度を支えるような行動様式を保証しました。
 
権力が国民のすべての力と富を直ちに自分の力として使うことができるようになりました。

生産力の上昇は、人間の感性の解放をしましたが、理性の契機をも見失わせて個人の自律性を著しく弱くしている。
 
これが現代の問題点というのがこの著者の言わんとすることなのです。
 
この本を読んで思ったのは、やはり人間の思想の発展は、ものすごく飛躍して発展するわけではないということですね。
 
今の自分の周りにある思想に依拠しながら、それに内在する問題を探しながら、吟味しながら漸次ちょっとづつ変えていくのが通常のようですね。
 
いきなり黒が白に変わるというような性質のものではないようです。
 
しかし、この期に形成された理論の数々が、今も多く生かされ、そして勉強する価値がものすごいあるというのに気づいて驚きました。
 
その思想の数々の依拠した内容について、多く探り勉強することで、やはり現代にも内在する問題点が浮かび上がるのではないかと思われてならなかったですね。

勿論それだけでなく、いろんな時代のいろんな思想からも学ぶべきことはたくさんあります。
 
その内容の1つとして、この本をお勧めしたいです。
 
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ロジェシュー 『第四次経済の時代』

2018-10-06 23:08:57 | 経済論
この本は実に目の覚める本でした。

生活費を稼ぐ。
 
こういうとどうしても企業に入って就職するとか、アルバイトをするという概念が日本人は強いですが、フランスでは必ずしもそうではないのですね。
 
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また、景気を回復させる、というとどうしても官庁の仕事、という概念がこれまた日本では強いですが、西欧では、市民の役目でもあるという概念が強いのだそうです。
 
そういう事をかたった私の敬愛するオランダ人ジャーナリストであるカレル.ヴァン.ウォルフレン氏が某新聞紙上で語っているのを読んで、「そうなんだ!確かに日本ではそういう概念がないわ。」と目が覚めたものです。
 
そうですね。
 
企業、会社に入って仕事をし、給料をもらう。
 
あるいは官庁を作り、国の行政を行う。
 
こういったことはこんにちでは当たり前ですが、そういった概念はここ数百年いやもっと短い期間の概念であって、人類ができてから当たり前にあったものではないのですから。
 
ここでいう「第4次経済」とは、農業(第1次)、工業(第2次),サービス(第3次)に次ぐ概念として登場している概念です。
 
また西洋、この著者の国はフランスですが、そのフランスでは、やはり日本とは違う概念のモノがあります。
 
それは労働ですね。
 
労働は、フランス語ではtravailといい、これは拷問を意味するtortureからきているのを知りました。
 
それくらいフランス人の間では、好意に受け取られていません。
 
日本では、過労死といった言葉もあり、中には趣味=仕事という人も珍しくありません。
 
フランス人の間ではそういう事は信じがたく、仕事が終わっていようと、いなくても構わず、仕事を終え、家庭に帰り、家族との団らん、友人との交友、趣味に没頭するのだそうです。

こういった事を日本の企業でしていたら、クビにはならなくても、いい目で見られることはないですね。
 
それに日本では土日出勤なんていうのは当たりまえですね。
 
そういう国民性だからこそ、フランスをはじめ欧州では失業率が10%なんて言うのはざらなのですね。
 
それに、仕事をする時間が短いからこそ、こんにちの経済的地位を築くのに欧州は何百年もかかったのに対し、日本は明治から100年足らずで経済大国になったのですね。
 
ゆえに、そんなに仕事に重きを置く国とそうでない国では、比較の舞台が若干違いますが、でもこれからの日本の参考になると思い、この本を紹介しようと思いました。
 
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この著者のロジェシュー氏は、労働から解放された時間は情報、教育、自己実現、家族活動、社会活動、個人的生産のための時間になりうる。

そして、これらの時間の総体は、フランスのGNPの110~120%に相当するということを発見したのですね。
 
これこそが、第4次部門になりうるということですね。
 
それが「参加と連携」の活動というのです。
 
慈善活動として扱われていない場所が、社会的ハンディを負った者を押し込め、治療する部門として扱われていない場に出現しているのだというのです。
 
これに所得を割り振る必要があるというのです。
 
やはり世界的傾向の波に巻き込まれ、フランスではPCの普及や従業員の削減により、フルタイム労働は、全体の55%だったようです。
不完全雇用の時代ですね。
 
こんにちはAIの普及で更にその傾向が強まるでしょう。
 
日本も例外ではありません。
 
しかし、この数値を見て、これは酷いと思いがちになりますが、それは、企業に入って働くのが唯一の金を得る手段という概念でいる人でしょう。
 
しかし、詳細を見てみるとそうではないのです。
 
パートタイム労働はより収益性が高く、より業績を上げているのだそうです。

欠勤率もフルタイム労働よりも低いのだそうです。

これは目の覚める数値ではないでしょうか?
 
労働=拷問という語源であるフランスならではの国民性であるからこそ、こういう事が起こるのでしょうか?
 
自分の時間を大切にして生活重視の国民だからこそ、こういう事象が起こるのでしょうか?
 
それが本当なら、日本ではこういうことは起こりにくいでしょうね。
 
フランスでは、労働は家庭、友情、個人的開花といった諸価値よりはるか後方に置かれているのだそうです。

またロジェシュー氏は、企業の第一の機能は、富を創出することであり、雇用を創出することではないといっています。
 
私もこの論に賛意を表します。
 
官庁や企業は万能の手段ではないですし、そういった機能の一部を担っているだけという概念である方が、妥当でしょう。
 
また市場経済におけるすべての努力、すべての支援は企業業績を向上させ、省力化の傾向を促進しなければならないとも言っています。
 
事の概念や定義は、時代や人によって変わってくるものであり、一定のものではないです。
 
しかし、このロジェシュー氏の定義には、この著書が書かれてから20年近くがたっていますが、いまだに説得力がありますね。
 
また、経済政策も、いつの時代にも妥当するものではないのはまたいうまでもないことですね。
 
大量失業の回避は、労働時間の短縮で回避できたのですが、技術革新の向上で有効性がなくなっているのです。

そこで有効な概念が出てくるのです。
 
ボランティアは、個人的な自由な投資、自立性、特殊能力の活用として成り立つのです。

やはり企業や官庁は万能の手段ではないですし、一番先に書いたウォルフレン氏の某新聞上での言葉を思い出します。
 
「景気を回復させる、のは西欧では、市民の役目でもある」
 
という言葉ですね。
 
これは何も大量失業回避や景気回復といった経済的な活動のみならずいろんな活動においても重要な概念である気がしますね。
 
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カレル.ヴァン.ウォルフレン
 
普通に企業に入って働きお金を得る。
 
これでは、賃金労働者は専門能力がほとんど認知されず全くわずかしか価値化されていないのだそうです。
 
これは瞠目に値する認識眼ではないでしょうか?
 
この著者が実際にサラリーマンを経験し、そのことから割り出した事実なのでしょうが、やはりこういう不実なことは私も感じますし、地位が上がったところで、ほとんど評価されずに賃金も上昇しない。
 
これは私が勤めた場だけで断定するのは間違いでしょうが、そういう認識のある人は、違う職場を探すか、そういう自分の力が認知される場を探すべきでしょう。
 
この著者が新たに提示する「第4次部門」とは、「専門能力の生産部門」を独立した生産部門として認知し、拡大し、定式化すれば、そこから大いなる利益が生み出されるといいます。

企業への就職は、フランス人の専門能力を習得し、開発するチャンスが奪われるといいます。
 
これら社会的需要こそが新しい発展の中核になり、経済全体の成長と個々人の福祉のための素晴らしい鉱脈であるのだそうです。
 
やはりフランスのみならず、世界的な傾向として、すべて必要物資がほぼ国民全体にいきわたり、モノ余り減少が続いているがために、政府のお金が不足しているのは頷けます。
 
そういった中でいかにモノを売るか、という従来のスタンスでは発展できない。
 
ゆえに福祉にもお金が回しづらくなる。
 
そのような趨勢の中で、こういった新たな部門を確立することで、大きな需要を見込めるということですね。

これには、従来の雇用や労働しか思いつかない人には、瞠目すべき視点に感じるのではないでしょうか?
 
私もそうですし、やはり政府や企業は万能の機関ではありませんから、市民が立ち上がってこういうものを自主的に作り上げる必要は前から感じました。
 
それを見事に論じあげたのがこの本であると思った次第ですね。
 
それは具体的には、公的資金の一部や予算節減の一部が、この種の需要をサービスに適した部門に移行すべきだ、ということをいっています。
 
経済の法則を完全に把握はしなくとも、全体的な高学歴化により、賢くなった消費者は買いたくもない商品に無理やりお金を出すこともないでしょう。
 
物質的生産、商品生産のための市場経済が今や雇用以上の失業を作り出しているのです。
 
これは、まだ実現されたかどうかあいまいな部門ですが、ゆえに抽象的なニュアンスを感じる人がいても不思議ではないですが、これからの経済を考えるについて非常に参考になる考えや認識された論が盛り込まれているように感じます。

ピンときた人には是非とも読んでほしい本ですし、これがこれからの経済の行方を占う場では、非常に強烈な衝撃を受ける本だと思います。
ことは日本であれ。
 
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