朝野賢司ほか 『デンマークのユーザーデモクラシー』

2019-12-30 18:46:14 | 高福祉、エコロジー

新評論においては、日本を含め、いろんな国が模範としないといけない政治経済を中心にしたの分野がたくさんある気がしますね。

特に、福祉分権化の分野においてですね。

これから高齢化を迎えるというか、すでになっているゆえに、それを先に経験し、その理論を確立している北欧国家、特にデンマークスウェーデンにはそういったもので学ぶべき点は多いのです。

ただし、完璧な国など存在しないですから、これらの国を神のように崇めるということではないです。

やはり欠点が浮き彫りになったら、そこは距離を置いて、いい意味での批判精神が必要です。

また、戦前までの日本は中央集権体制を敷くことで、統制の取れやすい国にして戦争を遂行しやすいようにする必要があったのです。

しかし、その残滓をいまだにひきずり、そこから分権をすることを怠ってしまったがために、地方から多くの人が職業の選択肢の多さや雇用の安定にあこがれて中央に集まるようになってしまい、その反動として、地方は時代遅れの文化のまま、そして地方には働き手がいないという弊害が残ってしまっているのです。

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最近このブログで紹介した『やさか仙人物語』は、島根県のやさか村にちょっとした旅行に来た青年たちが、その村の過疎化や農業、酪農のなり手のない状態を嘆いて、そのままその村に居ついてそれらの仕事のなり手になり、そしてそれを見習っていろんな人がIターンやUターンをしてきてそれらの職業に就き、それゆえに、その村が栄えた、というエピソードの話でした。

確かにまだなり手の不足という面など課題はあるものの、こういう社会貢献にバイアスを置いて仕事をする、ということの重要性を認識せざるを得なかったですね。

こういう地方での人不足は、やはり分権が進んでいないからですね。

それはやはり政府だけの課題ではなく、やはりそういう人が多ければ多いほどいいのですから、それに貢献したいという人がいるならば、自らそういう仕事に就こうと思いたって、IターンUターンをしてみることをお勧めしますね。

北欧の分権化は、やはり日本が学ぶべき点ですが、それは政府だけの課題ではなく、国民自ら行動することが大事でしょうね。

自分の生まれ育った地方が繁栄してほしいと願いながら、自分は東京の仕事で頑張るなどというのは本末転倒と思うのですがどうでしょうか?

この本『デンマークのユーザーデモクラシー』ですが、これはデンマークの福祉社会についての研究ですがやはりキーワードは地方分権にあるのがわかります。

地方への権限を大きくすることで、その地方での必要事項の決定をスムーズに生かすことができるからですね。

福祉の分野における事項も例外ではないのです。

80年代において主要首脳諸国が財政、貿易赤字になり、高失業を更新する中、デンマークも例外なくその2つの赤字を計上しました。

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しかし、90年代半ば以降「デンマークの奇跡」といわれる復興を成し遂げたのです。 景気回復を図る中、スウェーデンデンマークは高い社会保障を維持し続けたのである。

しかしスウェーデンは、90年代前半のバブル崩壊を経験する中、11%の高失業率を深刻な財政赤字を経験したが、デンマーク3%以内のとどめる経済運営を維持したのだといます。

この国の政権党であった、そして今も政権党である社会民主党の手腕の素晴らしさがわかることですね。

しかし、やはり人間の行動様式というのは、古今東西そう変わらないのですね。

失業しても申請すれば、お金がもらえるということになれば、やはり働かなる人が大勢出てしまう、というのは同じですね。

そこで、社会民主党の採択した決定事項は以下だったようです。

 

失業給付期間の上限設定

失業者への能力開発事業の実施

条件の良い有給休暇制度の導入

 

それらの詳細については、本書を読んでいただくとしまして、高福祉国家として、他の先進諸国と違うのは以下の政策ですね。

 

租税、社会保障負担率のほぼ半分、これを一般税制で賄う 

課税自主権が地方に認められている

教育、医療、その他支出は極めて大きい

それらの給付を担っているのは地方政府である

 

これらの事項を学ぶのは、やはり日本もこういった面が必要ということだからにほかなりません。

しかし、これらを全部そのまま日本に導入するのは、絡み合いを考慮しても難しい、そして不可ということもあります。

しかし、どういう根拠でこれらが必要で、必要ならばいかにして導入が可能かを研究しながら、できるものは導入していくことが必要でしょう。

読者も、こういった本を読んで、必要と思うのなら、それを支持する議員立候補者を選ぶ、そしてその政策を支持する、また自分にも社会に必要と思われることがあるなら日々の生活で実行していく、ということが大事でしょう。

この本の2章以下には、デンマークの福祉に実際に携わる人たちの日々のドキュメントを現地に赴いてルポした内容がつまびらかに書かれています。

如何に福祉が進んでいるかを垣間見ることができますが、それでも先に書きましたように、完璧な制度などないのですから、そこは留保を心に留めておいて、何か欠陥はないか、日本がこの分野で優っているものはないか、などということを考え探しながら読み進めていくのが大事でしょう。

●ではこの本を求めたい方は以下よりどうぞ!

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デンマークのユーザー・デモクラシー―福祉・環境・まちづくりからみる地方分権社会

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アントニー. J.ノツェッラ二世ほか 『動物と戦争』

2019-12-08 22:29:18 | 現代社会

 この本の表題からして、動物に対する愛護の念がうかがわれますね。

その通りですね。

戦争において、戦闘のために動物が使役される。

あるいは物資を運ぶために使われる。

戦争にさんざん使っておきながら、連れ帰るのが億劫といってその場で殺すか場に売り渡すということをしてきたのです。

あるいは、虐待、放置、あるいは水や食料をあげないといったことを戦争時にしてきたのです。

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その歴史を、古代から現代にわたって描写しているのですこの本の中において。

これは非常に驚きでもあり、認識することが重要でしょう。

こういう本を読むことの重要性は、やはり問題点を認識することにもあるような気がしますね。

知るか知らないかでは人生のふり幅が大きくなるか、小さいままで終わるかの違いがあります。

そのことを認識した科学に携わっている人は、やはり戦争だけでなく、日々の人間生活の中で動物を犠牲にしているということにも気付くのです。

人間はこれまで動物によって食料を得て、衣服に使い、娯楽や実験に使ってきたのです。

そのことに意識がいった科学者は、やはり菜食主義者になる例が多く、その例もここの本で挙げられています。

やはり幅広い考えが出てくると、やはり辻褄を合わせようという意識が自然と起こるのでしょう。

ここに書かれていることを認識したら、これから自分たち人間がすべきことの多くの課題が見えてくるでしょう。

それがわかったらやはりこれからの行動を変えていく必要がありましょう。

そのことをこの本を読んで認識してもらえたらこれに勝る喜びはありません。

やはり私たちの課題は1つや2つではないのです。

その内容の詳細は、この本を読んでわかってもらえたらいいでしょう。

それを行動に変えることができるかどうか、それで人生の深さが決まると思います。

●この本は以下よりどうぞ!

動物と戦争: 真の非暴力へ、《軍事―動物産業》複合体に立ち向かう

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(有)やさか共同農場編 『やさか仙人物語』

2019-12-08 21:34:05 | 現代社会

この本の題名をみると何か物語めいた話の本なのかなと思われるでしょうが、そうではなく、島根に言い伝えられる「やさか仙人」という仙人が、実際に人に降り立って、その人を良き行動にかりたてたのでは、という設定のもと、ここに出てくる先駆者たちのドキュメントを中心に島根のやさか共同体の歴史を、インタビューや体験談を踏まえて説明し論じているのです。

その先駆者は、この本に出てくる佐藤隆という人ですが、この人は、1972年に島根の浜田町弥栄町に来て、その当時の過疎に悩み、農業や畜産、酪農などのなりてのいない中、自分が率先して水稲をおこない、それにつれて、野菜、園芸、養鶏、養豚、酪農、肉牛飼育などの分野に多くの人が就業するようになり、その状態が改善されたというドキュメントが語られているのです。

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この地の名産になっているのは、青果では小松菜、ホウレンソウ、アスパラ、イチゴが有名だそうですね。

また、そのやさか仙人の1人とする佐藤氏が、水稲をしていって、この地の産業起こしのターニングポイントになった後の、名産になったものとして、「やさか仙人」というお酒や、「やさか味噌」というお味噌も有名になったようですね。

またこの地の有名ものとして有福温泉というのも有名だそうですね。 こういった事実をみて、やはりチェックするべきでしょうか。

過疎や産業の空洞化に悩むのは、その地のものが売れないからであり、そのことを知ったらチェックして、その物を買うのがいいでしょう。

アマゾン楽天でそれらのものは売っていますからね。

もちろん、それらのものがまずかったら意味はありませんが…。

また興味があったら有福温泉に足を運び、その温泉に浸かるのもいいでしょう。

やはり産業おこしの過程の中で、販売網の確立や品種の改良など、その苦労の内奥をこの本を読むことで知ることができます。 詳しくはこの本を読むのがいいでしょう。

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日本では受験勉強への勉強の強化がどこの中学校や高校でもなされて、そのための勉強を数年以上にわたってする。

そして、その後大学に進学し、その後の就職はもっぱらホワイトカラーになるのが常です。

その、大学進学への道が当然と思い、その方面への就職を漫然とする。

そのことについて何ら疑問を持たずにしている人がかなり多いのではないでしょうか?

そこで疑問に思ってほしいことがあるのです。

それが当たり前なのか、それが本当に自分にとって進むべき道なのか、ということですね。

就職は、私の考えですが、「自分が心底したいことをすべきである」ということですね。

受験勉強は、そういったホワイトカラー育成のための勉強なのであって、ブルーカラーのための勉強なのではないのですね。

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しかし、世の中はホワイトカラーの人だけで成り立っているわけではないですし、その他の人たちが共存して成り立つ社会なのですね。

長年、受験勉強をしてきたからといって、その方面への就職に向いているかどうかはわからないのです。

そして、その自分の進むべき道は、自分の心で判断しなくてはならないのですね。

人と比べてどうではなく、やる際に自然とやりたい気が起きるかどうかを判断の基準にすべきである、ということが言えないでしょうか?

それほどやる気が起きないのに、無理やり自分の体を鼓舞しているのでは、いつか精神的に病んでしまうものです。

そうではなく、自分の心にきいて本当にしたいことであることをすべきである、ということですね。

しかし、受験勉強に慣らされ、その後の道が、ホワイトカラーという経路しか頭の中にほとんどないのならば、それは考えなくてはならないでしょう。

その他の選択肢に、こういった弥栄共同体でなされているようなブルーカラーという選択肢はないでしょうか?

そういったことを、興味がてらしてみる。 始めはわからないことだらけで、「自分には向いていないんじゃないか…」といったことが思い浮かぶだろうとは思います。

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しかし、それでもとにかく続行してみる。 すると視界が開けてきて、面白くなる。

こういう道筋は、どの道でも一緒ですね。

それでそこでなされていることを生業にしてみようという気になったら、それは社会に貢献していることになると思います。

ホワイトカラーブルーカラーを両方して、比較したうえでブルーカラーをしていくことに対して生きがいを感じるのならば、そちらをしていくべきではないでしょうか。

何も大学を卒業したからといって、ホワイトカラーにならなくてはいけないということは絶対にないのですから、そこは毅然と知的武装をして行動していくべきでしょう。

全国にある大学の半数以上が東京に集まり、地方の人たちがそこに進学するために東京に住所を移し、そこでの生活のために親御さんは毎月10万円以上の仕送りをする。

それのみか、入学金、授業料その他大学に収める額は4年間でかなりの額になります。

文系大学の4年間800万円近くになるのではないでしょうか。

そのようにして、地方から中央にかなりのお金が集中してしまうのですね。

しかも、大学を卒業する人は、大体が自分の生まれ故郷ではなく首都圏でホワイトカラーになる。

これでは、地方が過疎化し農業等のブルーカラーになる人の不足に悩むのはうなづけるでしょう。 こういった弊を何とか良き方向へ持っていけないかということで、科学に関する本は出版されているのでしょう。

そういった本を1人でも多くの人が読み、行動を促す必要があるでしょう。

先に書いたように、「生業は自分が心底やりたいことをすべきである」というのが真理と思いますから、それがホワイトカラーであるのならば、それは仕方ないでしょう。

しかし、今の仕事の状況に精神的に不満があり、地方の惨状に憐れみを感じているのならば、やさかで行われているようなことに職を移すことを視野に入れて、そして行動するべきでしょう。

そういう行動をした人のドキュメントもここに載っています。

東京や首都圏でホワイトカラーしかしたことのない人が、そういった地方にいってブルーカラーになる、それをIターンというのだそうです。

そして大学や専門学校に進学するために東京や首都圏にでてから生まれ故郷のブルーカラーになる、というのをUターンというのだそうですね。

そのIターンUターンをしてくれる人を社会は渇望しているのです。

またこの本の著者たちも希望していることなのです。

何も社会にある問題点の改善は政府だけに任されているのではないのです。

いや、この本を読めば、政府だけではとてもなすことはできない、ということがわかるでしょう。

それは私が書いたこのページだけではわかりえません。

そのことの詳細について実際に現地に赴いて体感した人の言葉や、その道に携わっている人たちの生の声を聞かなくては。

この本の出版社である「新評論」には、その旨の本を多く出版している関博満氏が、本を出版するのみならず、そういう人が多く出てくれることを願って多数講演を行っているのです。

そういった講演に足を運ぶのもまたいいことでしょう。

実際に現地に行くのが一番いいのですが、それを全部していたら時間がありませんから、手っ取り早いのは、やはり本を読むことでしょう。

しかも、それらに関連する本を多数よむことですね。

その一環として、この本をお勧めします。

●この本は以下よりどうぞ!

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やさか仙人物語-地域・人と協働して歩んだ「やさか共同農場」の40年

 

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