矢野暢 『フローの文明.ストックの文明』

2016-06-12 13:18:16 | 現代社会


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この本の著者である矢野暢氏は、大学で政治学を専攻した私にはやはり必読の政治学者の1人でした。

その書く論文から醸し出される壮大な世界観には、読んでいるとついつい引き込まれていった経験が忘れられなかったです。


この『フローの文明 ストックの文明』は国際政治学者らしく、海外に多く赴いていった人らしく海外の文明を多く垣間見ることによって日本のそれとの差異が浮き彫りになり、日本の文明の特長が明確になったのだろうと思います。

その文明の詳細は、この本を読むごとになるほどとうなずかざるを得なかったですね。

まずストックの文明は、壮麗な神殿、宮殿、石造りの都市、墓陵、石像など観光産業に使われている文明ですね。

例えばパガンの石造り、レンガ造りの都市は乾燥した生態環境や、中国の紫禁城、パリローマの都市などですね。

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こういったものは、支配者の執念で作られたのでした。

死後の世界においても権力的に君臨する意思がもとになっているのです。


そこでは貴族制度が生まれ、さまざまな芸術が貴族制度と結びついて発達しました。

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そこでは軍事力、警察権力を必要としました。

この世で生まれたあらゆる政治思想、社会思想が、こういったストックの文明で生まれたというのです。

ストックの文明の場で生じる人間疎外や社会的不条理の類型を踏まえてつづられたのです。

例えば、マルクス主義理論、ノーメンクラトゥーラ、階級対立などですね。

そこから中準化の思想が生まれたのです。

そして、今の世界の標準はフローの文明になっているのです。

そのフローの文明は、人流、物流、金融流、情報流が活発になった文明のことです。


まさに今の世界的潮流を見ると納得できるでしょう。

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こういう概念を生み出したのは矢野暢氏なのかどうかはわかりかねますが、そうであろうとなかろうとこの本は非常に説得的ですね。

こういう、自分の専門だけに意識を特化したのではなく、専門を超えていろんな事象を含みこんだ著者の壮大な気宇を持って綴られた文明論は読んでいて、心ふくよかな気分になっていってしまいますね。

1日に100ページ以上も読んでしまうのですね。

こういう人こそが、まさに本物の知識人だなあという気がします。

ストックの文明
においては、支配者と被支配者の距離がものすごく大きいですが、日本においてはその距離がものすごく近いのです。

フローの文明では、内需が最高度に保障される仕組みになっている、というのです。

国内流通機構が精緻に作り上げられるというのです。

商品生産工程にユーザーの意向を配慮しているのが日本である、あるいは海外の品が日本にはいったら欠陥を補い、庶民的価値を投入してまるで違うものにつくかえられてしまうのが日本であるとも書いていますが、それは何も日本だけではないでしょう?と思いましたがそれはここでは不問にしておきましょう。

フローの文明において一番の活力源は、人々の勤労意欲です。

商品需要、未来型商品に対する鋭敏な感覚、あらゆる情報感覚が必要です。


ストックの文明とフローの文明、両方とも自然生態環境への生態的適応の結果生まれた、ということは間違いないでしょう。

ストックの文明、フローの文明どちらが正しいかという問題ではないのは間違いないでしょう。

日本は、四季それぞれ豊かな自然にあふれ、貯蔵、保存というストックの文明が必然ではなかったのですね。

こういうことを鑑みれば、日米 vs 欧米という図式で比較文化論において、日米とくに日本が明治維新から数十年で産業化工業化を達成してしまったことも明らかでしょう。

ストックの文明のような永遠性に聳え立つハードウェアに乏しいのは間違いありません。

ストックの文明においては、支配者と被支配者との距離が非常に遠いがために、それ故に後世に残る文化があったのです。

その例として、金閣寺などは最たるものですが、そういう後世に聳え立つ文化をうみだすことは、今のフローの文明には不可能です。

ストックの文明においては、権威主義、階梯化が基本になっているがために、窒息するほど窮屈なのです。

映画『タイタニック』において、ケイトウィンスレット演じるローズ・デウィット・ブケイターが上流階級の生活は、死ぬほど退屈と言わせていたことを思い出します。

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かといってどちらが正しいということではないのです。

ストック、フロー
両方の文明を明らかにすることによってこれからの人間社会の創造に役立つと思います。

また、こういう本を読むことで、文明を学ぶことによって日本の文明の内奥を知ることができたように思います。


それによって外国人との会話で日本を語る際に、非常に参考になり、納得させることができるのではないかと思えて仕方なかったです。

こういう壮大な気宇を踏まえて、視点を交えた本として堺屋太一氏『日本とは何か』という本をお勧めできます。

この本も併読するとさらに理解が深まるでしょう。

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