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この本の著者であるC.B.マクファーソンはカナダの政治学者ですが、そんなに著名ではありませんが非常に感銘を受けました。
ゆえにこの場所で紹介したいと思い、紹介させてもらいました。
この本を読むと、この学者は人民による統治をそんなに信用していないのがわかります。
かといってエリートだけによる統治にも期待せす、漸次的に市民を啓蒙しながら統治のレベルを上げていくというようなスタンスであるのがみてとれます。
それは、私が敬愛する佐伯啓思氏と同じですね。
プラトンを引き合いに出し、プラトンは民主主義を平等化主義として拒否したことを書いています。
またクロムウェルも同様に民主主義に距離を置いていたのです。
当時の社会において、「今や人々は喜び、または恐れを抱きながら、自分たちのことを自由に選択できる個人として考え始めた。 実際彼らは自由であることを強制されたのである。」 と書いてあるところをみて、非常に明晰で、他の人とは違う分析脳を持っているのだなということが感じれました。
このようなことを書くということは、まさに人民を自由である、それだけで信用はしていないということが見て取れます。
ゆえにプロレタリア独裁である国=社会主義国にも信用を置いていなかったのがわかります。
かといって資本主義国にも万般の信用を置いていなかったのもわかります。
この本では「資本主義が以前のどの体制をも凌駕するようなものすごい生産能力をもたらしたために、今や初めて強制労働から人類を開放することが可能になりつつある」と書いているのです。
レーニンは前衛による権力奪取を支持したのです。
資本主義を転覆し社会主義になるためには、プロレタリアによる統治がよいとマルクスは言いました。
しかし、前衛国家は、人民のための政府でも、人民による人民のための政府ではない、とマクファーソンは断じているのです。
この毅然さには驚かされます。 この本が書かれた67年には、まだ社会主義の脅威がささやかれていて、社会主義国家が世界の半分に迫る勢いを見せていた時であり、日本でも西洋でも自分の国が「社会主義を採択すべきだ」という論調の本を出していた人が多くいた時代でもあります。
そんな時代に、毅然と社会主義国に対峙できた論文を発表していたのみならず、現代でも通用する透徹した理論を展開していたその脳には敬服の念を持たざるを得ないですね。
非自由主義的民主主義としてマクファーソンは、社会主義国と低開発国の2つをあげてその詳細について説明していますが、その内容は非常に奥が深いですし、今も通用する理論が展開されています。
しかし、かといってそれと対比する資本主義国を弁護せず、「自由主義的-民主主義が人間の本性に一番適合しているものだという抽象的弁護論にとどまっていることはもはやできないのである。」と書いて、やはり更なる理論の展開を示唆しているところはさすがと思いますね。
自由に関して責任持てる統治体制が必要と説くのですが、それは18世紀のアメリカで、18~19世紀のフランスで革命が起きたのです。
その自由主義革命以来、すべての個人は自分の努力次第で自分たちが仕事をするのに必要なだけの土地なり資本なりを自由に手に入れてきた事。 それと一部の人たちのちからの一部が他の人たちの移転された事。
この移転があらゆる資本主義的市場社会の必然的な特徴があるということが通常見落とされているということですね。
よくもいろんな情報の中から、これだけ説得的な抽出理論を出したなと関心するばかりです。
資本主義的市場社会においては、「これからの数十年間に量においても、速度においても過去における増大をはるかにしのぐ生産力の増大を予期しなければならない」とし、「物質的な欠乏に対する闘争の中に沈められてきた人間的価値の欠乏を修復する仕事を開始することになるだろう」とし、現に今の私たちはそういう状態になっているから驚きですね。
社会科学系の大学に進んだ人は、やはりウェーバーやマルクス、シュンペーターといった有名な学者の名を学ぶことが多いでしょうが、このマクファーソンはきいたことがある人は少ないでしょう。
しかし、この透徹した理論には私は驚きましたし、以前このブログで紹介した『現代の哲学入門』を著わしたウォディントンを思い出しました。
それは200ページに満たない本でしたが、非常に示唆に富み、言葉の1つ1つが重く、常任にはない脳内枠組みを持ち、それが非常に説得的だったので、何回も何回も読みたくなる思いにとらわれ、今も所有しています。
もちろん、このマクファーソン氏の本も。 また機会があれば、また氏の本を紹介したいです。
●この本は以下よりどうぞ!
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K.ウォディントン 『現代の哲学入門』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/437575632.html?1520267610