福田歓一 『学問と人間形成の間』

2015-12-29 20:59:32 | 大学論

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福田歓一氏は、私が大学時代に読んで感銘を受けた政治学者の一人です。

決して気取った抽象的な言葉を使わず、読み手にわかりやすく直截的な文を書く人なので、感動しました。

この本もその例外ではありません。

そして この本は、文系理系とわず大学生に読んでほしいと思った本でした。

この本を読まずして大学生活を終わりにしてほしくないなと思いました。

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確かに学問とは、大学生の全部が全部に向いているわけではありませんし、大学生の全部が全部講義を主体的に受けなくてはいけない、などというのは幻想にすぎません。

でも、向いていないかどうかは、まずこの本を読んでから断定してほしいな、と思った次第です。

そもそも、大学で学ぶ学問というものは何のために存在するのか、それを確かめたいという衝動に駆られたのも、私が大学進学を決意した理由の1つです。

そしていろいろ講義に出て、出てきた結論は、「社会をよくするため」ということがわかりました。

そこで学んだことを、社会において実行していくことは更に大事であるということもわかりました。

ことは大学だけでなく、本等も主体的に学んで、知性を磨いていくことは必要であろうと思います。

一般市民にも知性を磨く必要はあるのです。

しかし、その知性ですが、ショーペンハウアーは、 「知性は実は薄いヴェールにすぎない。世界を決定するのは、結局盲目の力にすぎない。人間の知性にとってできることは、恐ろしい盲目の力をみて、あきらめに達することにすぎない」ということを言ったとこの本では書かれています。

これは悟りによって解脱する仏教の涅槃の考えに近い、ということで、ショーペンハウアー「非合理主義の哲学者」「悲観主義の哲学者」のレッテルを貼られるのです。

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ショーペンハウアー

とくにマルクス主義者から。

ハンガリーのルカーチは、『理性の破壊』において、 ショーペンハウアーは帝国主義のはしりである。」とまで書かれるのです。

でもショーペンハウアーの言葉は、核心のついている言葉ではあると思います。

世の中を良くするための学問であるにも関わらず、ほとんどの学生は講義に出ずに遊んでいる。

学年末の試験時だけ勉強して、試験終了と同時にその知識は雲散霧消してしまう…そんな場面を私は大学でみてきて非常に残念に思いましたからね。

しかし、いろいろ学ぶうちに、やはり文字嫌いの人は多くいるもので、だからと言ってその人たちは、自分にはないものを多く持っているし、そのために自分がこうして生活していけるのですから、一様にそうした文字嫌いの人たちを卑下してはならないことを社会生活を通じてわかりました。

でもそういった文字嫌いな人たちも、できる限り社会をよくする努力、問題点を見つけてそれをよき方向へもっていくための行動はしなくてはいけません。

しかし、ショーペンハウアー「人間の情念を理性によって統御することに」人間の生き方の根本をみようとしたのです。 これがまさに学問の力なのです!

だからこそ、本をたくさん読まなくてはいけないのです。

講義に出なくてはいけないのです。

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文字の力で自分の行動を律するのです。

文字の力で社会を動かすのです。

確かに知識欲だけが人間の歴史を動かしてきたわけではありません。

本能や衝動も見逃せませんし、それらによって文学や芸術が創られたことも否定できません。

食欲、金銭欲といったものも社会を作り上げるうえで大事なことも見逃せません。

しかし、食欲、金銭欲、色欲それだけで放置していっては混沌としたカオスに変貌してしまうのです。

であるからして、知識欲をもって、それを活かしていかなくてはいけないのです。

自己犠牲心、隣人愛、こういった心は文字の力で醸成することができるは疑いもないでしょう?

宗教改革も知識欲が社会のコースを変えたのです。

その知識欲に携わる人間(学者、政治運動家など)は、「そこに働きかけようという人間について、その具体的なありかたをつかみ取るだけの練達した目を持っていて、その落ち着くところを示してあげる。その能力を持っていることである」福田氏は書いています。

これはなにも社会変革だけではありませんね?

あらゆるスポーツや技芸、そして普通の仕事においても知識欲をどんどん高めて、後進の人間にとって模範となるだけの見識をもっていかなくてはいけません。

その際、知性の誤った使用法や、どういう知識を身に着けていかなくてはならないか、どういう知識のあり方がいいかが詳しく書いてあります。

それについては本書に詳しく書いてあります。

福田氏は、「精神的に大人になるとは、何よりも自分の事だけではなしに、他人のことがわかる自分にとって慣れ親しんだものだけではなしに、異質のものが理解できるという成熟した心性、メンタリティを持つことである」と言います。

良き社会を創るためには、やはりこういった精神が必要なのはいうまでもありません。

この人は、政治学が専門ですが、いろんな領域について成熟していて、その広大無辺さに感動させられました。

論文を書くに際し、「専門」が中心なのではなく、「問題」が中心なのです。

こういった姿勢をどの学者も見習ってほしいですし、これから学者を志す人には持ってほしいメンタリティです。

「知識のあり方」の他、大学論、教育論についても言及されていますが、これは、86年に刊行された本であるのも関わらず、そこで展開されている論の普遍性には驚くでしょう。

それらに興味を持った人は是非とも読むべきでしょう。

この本は以下より!

学問と人間形成の間 (UP選書)

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学問と人間形成の間 (UP選書)

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渓内謙 『現代社会主義を考える』

2015-12-23 17:56:20 | 政治学

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どんな本にでも学ぶところは必ずありますので、とりあえず手に取ったものは読むようにしています。

こと、 「社会主義」に関する本でも、いまこの制度を標榜している国は、全世界で4か国しかありませんが、その内容について現代社会において学ぶべきことはありますので、読みました。

社会主義の名を冠した思想は1830年代にヨーロッパで誕生しました。

10月革命は、 「マルクス主義のロシアへの導入、その思想の政治結社、労働運動、旧体制打倒」というかたちで表れました。

この本を読んで、この著者は、社会主義寄りだな、ということを感じました。

この本の10ページ、13ページ、102ページ、105ページにおいて、その社会主義を擁護する言が書かれています。

しかし、どのような修正をしていくべきである、というような具体的な政策論はこの本では書かれていません。

それは当然かとは思います。

社会主義国家が、こういう場面に遭遇したらこういうことをしたら上手くいった、というような具体的な歴史的事例がなかったのですから。

しかし、この本が書かれたのは1988年です。

もう、この頃には、というか70年代にはもう社会主義の矛盾がどんどんあからさまになっていたのであり、その事例をみるにつけ、やはり社会主義は上手くいかないのではないか、幻想にすぎないのではないか、ということがしきりに言われていた時でした。

社会主義指導者の秘密主義、閉鎖的態度はグラスノスチで緩和されました。

その他、いろいろな政策が遅々とではありますがなされました。

しかし、そういった政策が功を奏することはなかったのです。

もう遅かったのです。

そして,91年に周知のように、ロシアでクーデターが起き、それをきっかけに社会主義は崩壊していくのでした。

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そんな時期に、社会主義寄りの本を書く気概を維持していたこの人には畏敬の念を持ちます。

この本を読んで思ったのは、社会主義と宗教は一緒だな、ということです。

社会主義国の指導者は、社会主義の創始者=マルクスの本なりを読んで、ぞっこんになるのです。

その創始者のいったことに対しては基本的に大部分では無批判でいます。

しかし、マルクスの言ったことが上手くいかない部分が現実の社会にあるのがわかると、そこを修正します。

でも大部分については無批判でいます。

宗教の信者や指導者は、その創始者の本なりを読んで、ぞっこんになるのです。

その創始者の言ったことには基本的には大部分では無批判でいます。

しかし、実際に社会に適合しない部分があるとそこを修正します。

でも大部分については無批判でいます。

思考構造が明らかに一緒ですね。

それでは上手くいかないでしょう。

確かに、カリスマ的な創始者や、宗教のカリスマ的な創始者の言ったことについては、それなりに説得力があり、この人の言ったことを実行していけば、必ずこのようになるだろうと幻想を抱いてしまう気持ちはわかります。

私が大学時代にお世話になった教授が曰くに、「マルクス『資本論』を読んで、その内容を大勢の人と語り合った」ということから鑑みるに、すごくカリスマ的な執筆家だったのでしょう。

しかし、所詮は人間の書いた文であるということを肝に銘じなくてはなりません。

社会主義への処方箋があらかじめ党により「科学的に」定められており、民衆はただそれに従えば、楽園に到達できるという思想が、社会主義の通念でした。

その人の言ったとおりに世の中が運ぶ、なんていうことはないのであって、今ある社会を基本としつつ、その人の言ったことを部分的に取り入れながら、社会を修正していく、という姿勢を基本とすべきではないのか、というふうに私は感じます。

確かに、社会主義の理念は素晴らしいと思います。

マルクスの言ったことを端的に整理すると以下の2つに要約されるでしょう。

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Kマルクス

1つは、個人的なものに対する、共同的集団的なものであり、あるいはレッセフェールにかわる自覚的な公共性、社会的な連帯の確立。

もう1つは、社会は個人および国家の対立概念である、ということです。

この制度を採れば必ず全人民を幸福にできる、などというのは幻想であって、そういう試みが成功した事例があるならば話は別ですが、やはりそういうものがないならば、歴史から学んでいく必要があるのです。

カリスマ的な著作家、カリスマ的な指導者の言を信じ切ることはやはり危険であり、問題点が社会に浮上したら、そこを随時修正していく、という態度が必要なのではないか、と思われて仕方ありません。

確かにマルクスの考えた社会主義の理念は素晴らしいと思います。

マルクスは、資本主義社会が発達すればするほど、持てる者と持たざる者の差が開いていき、最終的に持たざる者が絶対的な貧困の生活を余儀なくされる、という事態を憂えて、その社会を打破すべく、 『資本論』を書いたのだといいます。

であるならば、マルクスの書いた本を読めばいいのです。

そこに書かれている内容についていいなと思ったら、それを部分的に今自分がいる社会に当てはめて上手く行くように実験すればいいのです。

これまで、マルクスの言ったことを全部社会において実験して上手くいったという経験理論がないのに、「社会主義に移行すれば上手くいく」とか「資本主義から社会主義に移行した国はあるけれども、社会主義から資本主義に移行した国はない」といって、マルクスの言ったことをすべて金科玉条に仕立て上げる必要はなかったのだと言えます。

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社会主義を採用した国において、また採用しない国においても、マルクスおよび他の社会主義に関する思想を述べた本は、それこそ数限りなくあります。

その思想の変遷を読んでいくと非常に興味深いものがありますし、私も大学時代やそれを卒業してからたくさん読みました。

それでわかったことは、マルクスおよび他の社会主義思想に関する本は学ぶところはあるけれども、全部を国に採用することはできない。

全部採用しようとすることによって社会主義の試みは失敗した、ということです。

その内容全部についてここで書くことは不可能ですので、興味のあるかたはこの本も一助としてお勧めいたします。

現代社会主義を考える―ロシア革命から21世紀へ (岩波新書)

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現代社会主義を考える―ロシア革命から21世紀へ (岩波新書)

 

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ケヴィンフィリップス 『富と貧困の政治学』

2015-12-20 15:45:28 | 政治学

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私は大学時代に、アメリカ社会について70年代に書かれた本をいろいろ読んで知識を蓄えました。

そこで読んで知ったのは、アメリカは世界で稀に見る平等社会ということです。

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日本も同じように90年代は平等社会でした。

しかし、小泉構造改革によって、持てる者と待たざる者の格差は広がり、今や格差社会になっています。

歩んできた道は双方とも一緒なのです。

アメリカは超格差社会になってしまいました。

その契機となったのが、レーガン政権にほかなりません。

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レーガン大統領

 

そのレーガン政権時代の社会の変移について詳しく知ることができるのが本書だと思います。

レーガン政権時代のアメリカは、爆発的な技術革新とかつてなかった繁栄を享受したといいます。

レーガンが政権についた81年時に、1900万人の雇用を生み出したといいます。

また、88年には失業率は5.3%にまで低くなり、インフレ率はカーター政権時代の3分の2にまで減少したといいます。

83年から始まった景気回復の足取りは、この年にまでに72カ月連続で好況になったといいます。

国が内外共にかつてないほど借金漬けになって派手に遊び暮らした時代、ぜいたく品が輸入され、成金が金を使いまくり、金持ちが減税の特権を受け、無思慮な逸楽がはびこるかたわらで、通りには乞食が溢れ、平均的な家族の可処分所得が将来ともに減っていきそうな暗雲立ちこめる時代だった、という表現がなされています。

トップ1%の所得がアメリカの全資産の11%を所有するまでになったということです。

債券、不動産、株式、ビジネス、不労所得が優遇され、かつてないほどの格差が拡大した時代、それがレーガン政権時代であったといいます。

しかし、平均的な家庭においては、73年に年間平均所得が3820ドルであたのが、89年には3853ドルと、ほとんど変わっていないのです。

要するに、金持ちを潤しただけで、平均的な家庭はレーガノミックスの恩恵を受けることなく終わったということですね。

この時代、雇用主は、新規雇用を抑え、仕事を細分化してコストを抑えたのです。

賃金は、パイロットからレジ係まで低く抑えられました。

これは、小泉構造改革の時と状況が一緒ですね。

88年には、5人に1人が年間5万ドル以上の世帯に属したようです。

83年の実に倍です。

経済的な二極化、中間層の「凋落」ですね。

政治においても、お金持ちたちに有利に事が運び、それが固定されてしまうことがわかります。

レーガン共和党です。

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その共和党の支持層は、アメリカでトップの20%の高所得層が占める割合が実に30%だといいます。

トップの40%の高所得層を含めれば50%にも及ぶという。

これではお金もちがお金持ちのままで固定されてしまうのがわかります。

そういった言動の様式は,富裕層の世代で継承されてしまうのです。

そんな状況をみて、マサチューセッツ工科大学ウォルター教授は、「アメリカで一番急増している党員は棄権党という名の党員である」という言葉を残しているそうです。

国民は政策に幻滅を感じれば感じるほど諦めてしまい、現在進行している富の再配分から恩恵を受けている人たちに投票を通じた意思決定をゆだねてしまうのです。

また、この時代は、企業家が英雄になった時代でもありました。

ホレーショアルジャー、ヘンリーフォード時代のように。

ベンチャー企業家が議会で歓迎され、ちやほやされ、『ヴェンチャー』『アントプレナー』『ミリオネア』『サクセス』『インク』などで取り上げられ、投資銀行家にすり寄られ俗世の聖者になりました。

現地ルポなどがないので、いまいち迫力に欠けますが、具体的な数値が明示されているので、興味深く読ませてもらいました。

日本アメリカこの2つの国は第二次世界大戦の直後は、為政者と一般国民の利害が一致していたがために、世界でも稀にみる平等国家であったのです。

しかし、それから時を経るにつれて、利害が不一致していき、為政者に有利な政策が決定されていったのは同じです。

第二次世界大戦後のアメリカにおいては、最高課税が91%というところも、日本と同じような状況だったのがわかるでしょう。

しかし両方とも今は、為政者やお金持ちたちに有利な政策が施されています。

このような時世においては、やはり「累進課税によって平等な社会が到来する」という言説が人々の頭に浮かぶのが普通ですが、歴史を垣間見るとそうではないようです。

普通の一般国民は、お金について勉強しない。

しかし、お金持ちたちはお金について勉強する。

そして、一般の国民は、お金を得る手段が「労働」しかない。

しかし、お金持ちたちの手段は、債券、不動産、株式その他いろいろと多岐にわたり、その方法も政治が変動しても自分に有利に働くように合法的に工夫をしている。

その結果、累進課税を施しても、お金持ちたちが貧乏になることはなく、格差はそのまま、というのがこれまでの資本主義の歴史のようです。

このように、「累進課税」において格差を是正することに期待はできないのですから、政府や企業に期待をかけるのではなく、「労働」だけでなく、他に自分がお金持ちになる方法を探し、実行していくのが望ましいと思います。

先に、レーガン時代に債券、不動産、株式、ビジネス、こういった不労所得の手段を持ってる人たちだけでなく、報酬の多い専門職の人も潤ったということです。

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その報酬の多い専門職の人とは具体的に、メディア、学者、シンクタンク、コンサルタント、専門職ホワイトカラー、社会政策立案者そのほかのオピニオンリーダーといった人たちです。

では、報酬の多い専門職の人に自分もなればいいじゃないか、と反論されそうですが、ことはそう簡単ではなく、その時代の花形産業になるかどうかは、誰にも予見できないのです。

第2次大戦後、日本で一番お金が良かったのは、炭鉱労働者で、普通の労働者の3倍の給料をもらっていたといいます。

しかし、今炭鉱労働者で働こうにも働けませんね?

炭鉱自体が少ないですし、石炭の需要が異常に低いわけですから。

そうではなく、どんな時代にでも自分のポケットにお金を入れてくれる「資産」を築くことが重要ではないでしょうか?

その資産を築くための勉強をすることが大事なのではないでしょうか?

そんな気がしてならないのです。

もはや、 「為政者やお金持ち」と「一般国民」、この両方の利害を満たす政治は期待できないし不可能なのですから、お金について勉強しなくてはいけない。

この『富と貧困の政治学』を読んでそう感じざるを得ませんでした。

また、レーガン時代にいろんな規制が緩和されたことが書かれています。

そこで、緩和された領域に属していた職業についていた人も儲かったということが書かれています。

1960年に国の機関にある14479ページにわたる文書にあった規制が、80年には87012ページにまで膨れ上がっていたのです。

それを一気にレーガン時代に緩和したのです。

それでいい面は、航空においては年60億ドルの節約になり、電話においては長距離電話の料金が下がったことで、電話する人が増え、電話会社も潤ったことは間違いありません。

航空や電話会社以外にも、規制緩和によって利益にあずかれた会社は多くありました。

しかし、そのような恩恵に自分の職業があずかれるかどうかは、誰にも予見できませんね?

そのような意味でも、「労働」のみに期待することなく、それ以外に「資産」を築くことが重要と言えるのではないでしょうか?

どのようにすれば金持になれるか? それは会社に入って「労働」するだけでなく、やはり起業することもその1つであるとわかります。

そのことは、ロバートキヨサキの多数の本でわかりますし、この『富と貧困の政治学』の本でもわかります。

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レーガン時代に、アイデアマン野心家が多く金持になった、ということがわかります。

それをわかって、自分がそのようになりたいかどうか、を自分の心に訊いてイエスであれば、すぐに行動するべきでしょう。

その起業の仕方は残念ながら学校では教えてくれません。

自分で勉強するしかないようです。

巷を見渡せば、アイデアマンや野心家による起業のチャンスはいくらでも転がっているのがわかります。

そのようなチャンスが日本では足りないといって、アメリカに渡り、アメリカでレストランチェーンを起業して成功している人を知っています。

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そしてお金について勉強するのです。

この本を読んで、また他の本や昨今の情報からわかるに、「労働」だけに頼るのではなく「資産」を築くことも非常に大切であることがわかります。

レーガン時代のイデオローグは、やはりお金持ちを優遇していたのです。

資産税や不労所得税を下げたのです。

そして、高金利でした。

債務者よりも債権者を優遇していたのです。

それが今でもアメリカで受け継がれています。

これは日本の小泉政権時代でも同じで、それがそのまま今も受け継がれているのは間違いありません。

これでは、税不足になるのは間違いありません。

それを一般国民からの税で賄い、足りない場合は国債発行と、他国から(主に日本)の借り入れで間に合わせ、問題を先送りにしていったのです。

景気が非常に良かったのが80年代のレーガン時代であったのは間違いないことです。

同時に日本もその恩恵に浴すことができたのは間違いありません。

しかし、先に書いたように、アメリカにおいては富裕層がより富裕になり、一般的な国民の所得はそのまま、ということがわかりました。

アメリカの製品全般は、劣悪とまではいかないまでも、品質が劣るものが多くあり、好景気に沸いたレーガンの時代に、国内産の製品よりも、輸入品が多く買われ、そのためさらに貿易赤字が拡大したのです。

レーガノミックスの結果、アメリカの財政赤字と貿易赤字は更に膨れ上がったのです。


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その責任を日本に押し付けて、金利を大幅に上げて、輸入品の値段も下げた結果、日本でもバブルが発生し、それが弾けてこんにちの不況を招いてしまったことも間違いないのです。

そのことは、飯田経夫氏の本に多く書かれていますが、その氏の本もいつか紹介したいと思います。

もはや今のアメリカにおいて、日本も同様に、資産家と一般的な国民を平等に近づけることはできないようです。

先にも書いたように、資産家や金持ちに有利な政策や、法律がまかり通り、その政策をおこなう共和党は、資産家や金持ちの支持によって成り立っているからです。

であるならば、その政策や法律を一掃して、新たに作りかえるような政策は、たとえ政権が代わっても難しいでしょう。

あまりに多すぎるために、変えるにしても非常に時間がかかるものですから。

であるならば、自分が豊かになりたいのか、あるいは今のままでいいのかを自分に問いかけて、どちらに進みたいかを考えて、そのことについて勉強し、それを行動していくことが求められるでしょう。

今のままでいいとしても、とがめだてすることはしません。

何故なら、今のアメリカも日本も同様に、普通に働けば普通に暮らせる社会だからです。

今の社会を憂えて、社会を良くしたいという野心があるのなら、自分が金持になって、可処分所得を増やし、それで世のため人のために使う、という道もあるはずです。

大戦後の60年代~90年代初頭の日本のような平等社会を、為政者頼みにするのではなく、自分の中に眠っている野心家としての魂の勃興を期待しましょう。

しかし、アメリカの財政赤字と貿易赤字、これをどうにかしないといけないことは誰にでもわかるでしょう。

そのためにアメリカ国民が何をすべきか?

日本人も何をすべきか?

非常に悩み、考えさせる問題でもあります。

このレーガンの時期の歴史を見て、内奥を研究して、その道を模索するのに、この本も1つの指針になることは間違いないでしょう。

この本を参考までにお勧めします。

富と貧困の政治学―共和党政権はアメリカをどう変えたか

 

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富と貧困の政治学―共和党政権はアメリカをどう変えたか

 

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本田健 『きっとよくなる』

2015-12-13 09:46:37 | ビジネス

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 この本は、著者の本田健さんが、  読者の人生、お金、男女関係、周りの社会すべてがよくなっていくことを願って書いたものである。

  本書には、97項目にわたり読者に心のもちようと行動の指針を与えているのである。

   その指針に通底するのは、  人と良好な関係(主に精神面で)をたもちつづけ、日々互いに良くなっていこうとする心を持ち、常に前進し続け、森羅万象に感謝し続けていくことの大切さがわかった。

   宗教チックな話だが、宗教の本ではない。

   人生が、より良き状態になることを望んでいる人間は、この本を読み、決して手放してはならない、そう私は思うのである。

 

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森永卓郎、カレルヴァンウォルフレン 『年収300万円時代 日本人のための幸福論』

2015-12-12 12:19:06 | 現代社会

 

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 森永卓郎カレルヴァンウォルフレン、二人の対談です。


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森永卓郎

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カレルヴァンウォルフレン  

私は、非常に興味深く読ませてもらいました。

なぜなら、二人とも常に、社会がどういうように進むべきか考え、その道を読者に提示していて、いつも読後に爽やかな気分にさせてくれるからです。

 知識人とはかくあるべしという模範をもっているのだ!

 二人がともに懸念しているのは、日本が悪い意味で、アメリカのような社会になっているという点である。

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   小泉政権になって以降、大企業におけるリストラや規制緩和がすすめられ、企業からあぶりだされた人はハローワークにいき新しい勤め先を探し入るも、どんな人でもこれまで貰っていた年収の半分の年収に甘んじねばならなくなり、  コンビエンスストアやディスカウントストアでもお酒が買えるようになったことにより、商店街にあった酒屋さんや自営業は軒並み潰れてしまった。

そのことにより、人間が生きていく上で大切な地域のコミュニティは崩壊してしまった。

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企業も、長年勤めた人については、厚く扱ったものであるが、いまや簡単に人をリストラするようになっている。

 

 とにかく、日本社会アメリカのような社会になっているのだ。  お金を持っているのが偉いんだというようになっているのだ。

 「株式資本主義」という言葉のように、会社は株主のお金を増やすための道具にすぎない。

 
 このような社会になってしまっても、自民党がいまだに政権をとり続けている。

怒りの声は聞こえないし、会社への土日出勤もためらわないし、選挙時の投票率は低迷している。

 ある意味人生を諦めているのだろうか?

 


そこで、森永卓郎は同じ「諦める」でもヨーロッパ人のようないい意味での、「諦め」の人生を提唱しているのだ。
 

ヨーロッパ人
は、「いかに幸せになるか」「いかに人生を幸せにいきるか」に人生の最大の目的を置いている。  

仕事のために自分の体を壊していいとは思わないし、魂を売ろうとも思わない。

 きちんと家族を大切にして、地域の社会とも付き合っている。

 自分は、絶対に貴族になれないから、今ある状態の中でいかに幸せになるかを考えるという、いい意味での「諦め」森永氏は提唱するのである。 
 

 以上は、一般日本人への提言であったが、これからの日本経済のゆくえをうらなっていきうえで、どのような経済を日本はめざしていくべきか、を論じている。
 

 森永氏は、これからの日本の経済に「萌え」の市場に希望を見出している。

 「萌え」とは、いわゆるオタクと呼ばれる人たちが、特定のキャラクターをこよなく愛する感情を言うのだが、フランスでは、日本のコミックスやフィギュア店が繁盛しているという。

 しかも、今、日本で一番伸びているサービス産業が萌えをフィーチャーしたメイド喫茶であるという。

 今後、その萌えの市場がどうなっていくか動向を見守っていきたいものである。
 

 また、近年の中国や韓国のようなアジア諸国をはじめ、他のアジア、アフリカ諸国の経済的な台頭を受けて、このような値段において日本に比べて数分の一、数十分の一である新興国には、値段の部分でとても敵うわけはない。

 そこで、日本がいくべき道として  古来から日本は繊細なものをつくる能力に長けていた。

その感性は、他国には真似できないものだという。

 そこで、勝負していくしかないという。

 技術の蓄積を日本は既にもっている。

それを、いかにアートの領域にまで持ち上げていくかというのが、
今後の日本の産業政策の最大課題
になるという。  

 
また、ウォルフレンは、  日本人はあたえられた仕事を非常にまじめにこなす。誠心誠意に自分を傾け献身していく。

 こういう姿が、日本の誇るべきだという。
 

 日本人は、平成不況が長引いたために、自己不信や自己嫌悪に落ちいっていないだろうか?

そんな感じがするのは、私だけではないだろう。 

この本をよんで、日本にはこういう特徴があるんだ、ということが発見できたように思う。

 この先、日本が良い方向に行くかどうかは、日本人の行動いかんによる。

 それへの良き指針になればと思い、私はこの本を紹介したい!

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