南原繁 『人間と政治』

2020-06-16 12:12:00 | 政治学

この本は昭和28年に出されたものですが、今も版を重ねて売られているから驚きです。

日本を代表する政治思想学者として著名な丸山真男氏と同じく、この人の名声がかなりの程度口づてに伝わり、大学の政治学の講義でも推薦されているのでしょう。

ただ私は、丸山氏の本は非常に難解で読みづらいので推す気にはなれないのですね(苦笑)。

しかし、講演の内容を中心に収められた『日本の思想』に関しては読めて理解できるので推したいですね。

しかし、南原氏の本は、読みやすく理解も充分できるので、ここで推したいですね。

この本が出された当時は、やはり戦争に日本が負けて、それまでの反省と回顧を中心になるのは必然でしょうし、それから先の展望にも当然なります。

やはり戦前の圧迫と搾取の実態をさらすのですね。

生活の欠乏から解放された新たな国際社会、世界共同体の建設にいそしむのが目標であったようです。

国民の勤労の権利と最低限の生活権を保証するのが眼目になっているのがわかります。

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過去の事実の人為的な改作、それは民族主義歴史主義に求めたゆえに、日本の軍国主義は暴走したのだといいます。

これは目の覚める分析の仕方ですね。

ゆえに日本民族は神的な種族に昇華した、ゆえに世界を同化しなければならないという思想になったのだといいます。

そこでおこなわれていたのは独裁的統制集団的組織化が行われていたのです。 その反省から国民主権を確立したことになります。

皮肉にも、このような立場があったにもかかわらず、日本には発生しなかったですが社会主義国では、この独裁的統制と集団的組織化が行われてしまったのですね。

その社会主義国は、また新たなファッショでしたね。

やはり違う形で歴史が繰り返してしまったようで悲しいですね。

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しかし、日本ではその戦前の反省からファッショ化はなかったですがやはり人類の脳内からその歴史が忘れられていては、また繰り返してしまうから注意が必要です。

その面だけでなく、近代科学への警鐘を鳴らしているのも興味深いですね。

この本では、「生産が人間のためになっていたのが、今では人間が生産のために」という文言が書いてあるのですが、ここを読んだときにまた当時はやった社会主義称賛の論文かと思いましたが、そうではなかったですね。

近代科学への無条件の信頼ではなく、楽観主義を批判しているのです。

これは私も同じ立場にたつものです。

やはりどのような事や物も、完壁なるものはないですから、それが暴走しないように目を張ってないといけないということです。

同じことは、日本の宗教や軍隊に対しても発しているのです。 宗教は神のためと同時に人間のためということを書いているのです。

やはりそこで導き出されるのは、戦前の現人神の思想でしょう。

それがエスカレートすることで、無批判になり、軍隊の暴走になってしまったのは頷けるでしょう。

軍隊に対しても同じで、戦争や軍備に対しても中立的な立場になるものです。

そこでも傍観主義、日和見主義でもいけないということです。

諸国家共同体の国際組織を確立していくことの提唱をしているのです。 と同時に国民の知性と道徳の確立を唱えています。

それも、この本の最初から最後まで一貫しているのです。

他の何か宗教を持ち込むべきであるとか単純な移植論で済ますのでもなければ、安易な傍観主義でもないのがいいところですね。

また新たに勃興していた社会主義思想にも安易に与してないのがいいところと思いました。

これは昭和28年に出されたものですが、中国の現実をみて圧制が行われているのを見て、批判的になっていますね。

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昭和40年代50年代においても、いまだに社会主義を真なりと信じて疑わずにいた学者や文化人がいたことを考えれば慧眼ものでしょう。

この南原氏は、単に海外で勃興した思想や運動のムーヴメントに対して、闇雲に模倣して、それを日本でも取り入れるべきであるという結論には達していないのが、共感できるところです。

それらの潮流は、その国々の様々なことが要因になって起こったのであって、その条件が違っている日本がそのまま模倣をすることで、打開策が開けるというようには考えてませんので、その安易な取り入れには賛同できないのですね。

であるからして、この南原氏の立場を支持するのです。

そういった面を垣間見ると、非常に奥の深い学者であり教授であったのがわかります。

やはりそういう奥の深い人を知識人として見習いたいのならば、この南原氏の本は非常に参考になります。

●この本は以下よりどうぞ!

  ↓

人間と政治 (岩波新書)

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カレル.ヴァン.ウォルフレン 『支配者を支配せよ』

2020-05-11 16:24:46 | 政治学

直接的な題名の本ですが、ウォルフレン氏は、読者である有権者に対して異常な期待を寄せているのです。

この本の冒頭でいきなり「一般国民から発するものでなければその他の担い手はいない」とまで書いているのです。

今の日本のシステムでは、日本の政治家がいかなる権力を手にしようと、何らかの見えない方法で、日本の進路を決めていく方法を手に入れることはできないと断じているのです。

非常に興味深いことを書いていますね?

そのことに興味を持った人は読むべきでしょう、この本を!

政治の指針を論じるに際して、非常にはっきりと分析しているがゆえにわかりやすく、それゆえに、やるべき方針が明確になりますね。

日本を実際に統治する仕事を政治家は、官僚の手に委ねてしまっているというのですね。

そして、経済官僚政治家のいうことを聞かなくなっているということですね。

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一般の人々と、国家の間には舵取りの中間的な機関がなくてはならないのは言うまでもないです。

その際に、中央政府に特定の問題で問いかけて追及するアカウンタビリティを要求することはできるのです。

そこで問題になるのは、どのような人にどのようなことを期待すべきなのか、ということですね。

政治家は、自らの道徳観をゆがめ、何が重要かを見誤る。 そして投票者、有権者は正確な情報を持たないし、意見をころころ変え、下品な感情に左右されることもあるのです。 政府には、よく訓練された専門家=官僚は常に必要です。

ウォルフレン氏は、官僚批判で有名なジャーナリストですが、その官僚の遂行能力については高く買っているのです。

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K.V.ウォルフレン 事実この本でも「ほとんどの人が責任感持っているし、綿密かつ手を抜かない」と書いているのです。

しかし、問題点を良き方向へ変える創造力の欠如を嘆いているのです。

間違ったものが、その間違ったまま遂行されているということですね。

官僚が、民衆の意見を代弁しているというのは幻想にすぎないとしながら、日本が昔から言われている社会の同質性ゆえにという論理と、日本人は和を尊ぶ国民であるというフィクションが、更にその状態を強固なものにしている、という指摘は当たっていますね。

政治の致命的な失敗や、歴史的な重大犯罪は政権交代のない国で起こりがちであったのは歴史をみれば明らかでしょう。

事実、日本は自民党の長期政権が存続していましたが、それはなにゆえにそうなってしまったのかは、この本に書いてありますし、他の本でも書いてるから読んでみるのがいいでしょう。

その政治の致命的な失敗や、歴史的な重大犯罪は表に出ることもあれば、水面下で起こり続けていることもあるでしょう。

それは、民主主義を叶える際には障害になるのは言うまでもないことです。

こんにちの官僚のはびこる芽は山県有朋が作り上げた遺産であるということを氏はいろんな本で書いていますね。

先に指摘した、官僚の創造力の欠如は大蔵省にも当然あるわけで、生産力の増強という命題は、今の世には有効ではないと氏はしているのです。

戦中経済から戦後経済への舵取りをすべきであったのに、官僚はしなかった。

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いろんな立場はあるものの、欧米では支配エリートを如何に適切に教育すべきであるかが政治の課題である、というのが通常のようです。

そういう努力を怠った政治家への批判も当然しています。 そのことのほかに、国民への非難をしているのです。

その政治家に対して、国民の有権者は、政治家に真の権力を持たせるべきであるのに、国民を代表すべきであるのにその働きかけをすることを怠ったという批判をしているのです。

日本政府は、それぞれが半ば独立して互いに縄張り争いをしている省庁の官僚の集まりであるのです。

その官僚は、フィクションを守り通すことに必死です。 仲間と自分の保身のために極端に走っているだけなのです。

ゆえに、阪神大震災日航機墜落事故の際にも、自衛隊が到着するのに2時間以上もの時間がかかったのです。

他の民主主義国では、こんなことはあり得ないとウォルフレン氏は語ります。

それも、もとより日本には組織の各部分を調整し、リーダーシップを発揮する官僚制度の核となる中枢が欠けているからです。

その中枢を政治家が担うようにすべきであるというのがウォルフレン氏のいわんとすることなのです。

そのために国民が何をすればいいか…それは本書を読んでもらえればいいでしょう。

また日本は非常に物価が高いし、大国としての恩恵を受けていない。

それゆえに、建設費がかかり要らない公共事業にお金がつぎ込まれて、自然景観がものすごい損なわれているのは、日本をおいてほかにないとまでウォルフレン氏はいいます。

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また、大蔵省自身が生み出した不良債権のしりぬぐいを国民のお金で賄われていることが判明しています。

こういった現状の分析を目の当たりにすれば、当然、日本政府や官僚へ無批判でいいという意見にはなりませんね。

そういう状態への改革の担い手は、ほかならぬ私たち国民、有権者であるとしているのです。

先に、一般国民や政治家の欠点も列挙していながら、それでも国民に期待を寄せているのは、やはり国民政治家にしか、その変革の担い手がないからでしょう。

それに、そういうことを期待しているのは、やはり市民性の回復を期待しているからでもありましょう。 その際にどのようなことをしていけばいいのか?

それは、この本につまびらかに書いてありますから、この本を読んで勉強し、行動していきましょう。

●この本は以下よりどうぞ!

  ↓

支配者を支配せよ 選挙/選挙後

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その他、ウォルフレン氏の本についてレビューしたページは以下です。

   ↓

『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/404153213.html?1442740078

『日本に巣食う4つの怪物』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/411025348.html?1442739448

『アメリカからの独立が日本を幸福にする』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/416108583.html?1442739522

『偽りの戦後日本』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/419390846.html?1442739842

『アメリカとともに沈みゆく自由世界』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/403562125.html?1442740154

『この国はまだ大丈夫か』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/403116925.html?1442740217

『怒れ!日本の中流階級』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/474007969.html

『年収300万円時代 日本人のための幸福論』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/376743327.html?1442740414

『独立の思考』 h

ttp://hair-up3times.seesaa.net/article/369324554.html?1442740685

『快傑ウォルフレンの日本ワイド劇場』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/474352719.html?1585742051

『日本という国をあなたのものにするために』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/474704991.html?1587528849

『民は愚かに保て』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/474836111.html?1588163649

『アメリカを幸福にし、世界を不幸にする不条理な仕組み』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/474944528.html?1588731312

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K.V. ウォルフレン 『民は愚かに保て』

2020-04-29 21:32:47 | 政治学

このウォルフレン氏は私の敬愛する著作家で、新刊が出るたびに必ず書店で予約して買って、読んでいたものです。

しかし、2015年白井聡氏との対談集を最後に、作品を出していないのが悲しいところです。

その後、ネットのブックストアから、ウォルフレン氏の新刊が出る予告メールをいただき、早速予約しましたが、その後発行がキャンセルになり、そのまま新刊が出ないままなのです。

そうでしょうね。

日本の政府のトップシークレットにかかわる部分についてウォルフレン氏は、さんざん書いてきたのですから、やはり政府の高官か誰かが、発行に圧力をかけたのでしょう。

しかし、それまでの発行された本を読めば、言わんとすることは残るわけですし、その批判部分について今も残存しているか吟味して、残存しているならどうすべきかを、一般市民が考え行動していかないといけないでしょう。

同じく政府のトップシークレットにかかわる部分についていろいろ批判してきたリチャード.コシミズ氏も本の原稿を書いて、それを講談社にもっていってこれを本にするように依頼したところ、「これはいい本です。しかしこの内容の本を出したらうちは政府からたたかれるし出版社としての生命を絶たれる可能性があるからダメだ。」と言われたエピソードがあるようです。

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リチャード.コシミズ

 

やはり言論の自由というのは表向きにはあるけれども、実際厳密には自由ではないようですし、政府の批判をする機関は出版社であろうとつぶされるのが現実のようです。

さてこの『民は愚かに保て』という題の本ですが、これは日本の政府の本音を表す言葉のようですね。

ニュースや新聞、雑誌をよむと、スキャンダルが起きたときにその舞台に上がった政治家なりをたたくことで終始しているということは、これまでにも氏の本やその他の本で明らかです。

これまでウォルフレン氏が継続して貫いてきたのは、官僚批判です。

リクルートや佐川事件において、政治家のスキャンダルが取り上げられていたのですが、政治家に大金を注ぎこむような状況を作り出したのは官僚である、ということの批判で始まっているのです。

これは官僚が無能である、ということを言わんとしているのではないのです。

日本の官僚は優秀であるとしているのです。

その仕事にかける懇親的なアティチュードには目を見張るものがあるとしているのです。

しかし、ただこれまでやってきたことを踏襲するだけで、生起した問題点についてはおざなりにして、それを良き方向へ舵取りしていく創造力が欠如しているということで批判をしているのです。

そして真の意味での総理もこの国にはいないとしているのです。

これは目の覚める、驚きでしたね私は。

権力の中枢がないのだから広く一般に受け入れられた国家と言葉通りにこの国が機能することは不可能であるとしているのです。

政治的指導力の欠如と権力中枢の不在が軍部による独裁を招いたとしているのです。

これは、いろんな国の歴史や政治制度をものすごく深く比較研究してきたウォルフレン氏なればこそ透徹した見方であるといえますね。

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  K.V ウォルフレン

 

軍部にストップかけられるグループが存在できる政治のメカニズムが皆無であったということですね。

日本は、権力集団の集合体であるとしているのです。

より強力な省庁は戦前、戦中に軍部が手にしていた権力にほぼ匹敵する自由裁量権を持っているということです。

法律制定も意のままにできるし、自分たちのルールを強要できるのです。

それのみか、政治家の演説は外務省のワープロで打たれているのだそうです。

また、大企業や業界団体、学界代表は官僚を弁護するのが日課になっているのだそうです。

ここまで探り当てた氏には感服せざるを得なかったですね。

実際に現場に赴いて、こういった探り出した事実の積み重ねが、やはり日本の官僚批判に結び付き、そして氏に研究の対象になったのでしょう。

その研究の結果、世界に冠たるジャーナリストになったのでしょうね。

その抉り出しの適格さには、やはりさすがですね。

国の運命を左右する重大な事態においても同様でしょう。

重大な決断を下した側と大衆の間のコミュニケーションが、日本ではかけているか、皆無であるとしているのですね。

信頼が全く欠けているのです。

それでは、PKOは国としての決定は下されていないことになるのですね。

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官僚は、日常の行政事務的決定からあまりにかけ離れていた政策の策定やその実行という仕事に、対処できる能力がないというのですね。

大蔵省が下した情け無用の経済拡大計画さえあれば日本の将来に不安なしという政策の犠牲に日本人はなっているというのも目の覚める視覚ですね。

これを変更して、戦後経済に移行すれば日本にバブルは起きなかったという主張は、かの有名な『人間を幸福にしない日本というシステム』でさんざん書かれていますね。

こういった権力の側の、研究を読んでいくと、次第に官僚の明確な業務が明らかになってきますね。

それが知らされていないのは、やはり権力の側に意図があってのことであるのかなあといぶかしげになってきますね。

やはり表題を『民は愚かに保て』というのが権力の側の意図なのでしょうか?

その遺産は明治期にまでさかのぼり、それは山県の遺産として、『人間を幸福にしない日本というシステム』その他いろんな本で論じられていますね。

議会制民主主義を嫌った山県有朋がこの制度にして、それが今も継続しているということですね。

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   山県有朋

 

その内容については、『人間を幸福にしない日本というシステム』を読めばいいのですが、これは廃刊になってしまっているので、興味ある人は続編の『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』という本を読むことをおすすめしますね。

※参考ページ

     ↓

『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』

 

その民主主義に反するのは官僚だけでなく、新聞検察も批判の的に挙げているのです。

特定の政治家をえらびだして、政治生命を絶ったり傷つけたりしているのです。

それは恣意的であり誠意にかけるのです。

日本の政治家は多額の政治資金を集めなければ政治家としての大義をなすのは不可能です。

資金の主要源は企業であり、企業は官僚の独断の許認可権におびえるがゆえに、政治家に頼んでとりなしと保護を求めるのだそうです。

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また選挙で選ばれた政治家からの政治的監視が権力に効いていないのです。 非公式な関係と取引は、日本のすべての政治経済制度に特異な性格を付与しているのです。

構造的な保護主義を温存させ続けているのです。

官僚にスキャンダルを使って野心的な政治家を失脚させるのです。

それは新聞や検察だけではないのですね。

これだけ例をあげられているのをみれば、非常に整合性があり、ウォルフレン氏の分析力に感服せざるを得ないですね。

かねてから小沢一郎に称賛の辞を送っていたウォルフレン氏ですが、その小沢氏のほか、細川護熙、羽田孜も称賛し、この3人が日本の官僚たちの権力の上位に政治からの支配力を確立することに成功したならばそれはヘラクレスの功績にも匹敵する大事業を成し遂げたことになるという賛辞を送っているのです。

このような状態になるのが望ましいと思っている人が多く出て、そのようになるように行動する人が多く出れば出るほどいいことは言うまでもないです。

その視点に共感できた人はこの本を読んでもらいたいです。

●この本は以下からどうぞ!

  ↓

民は愚かに保て―日本/官僚、大新聞の本音

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K.V.ウォルフレン 『日本という国をあなたのものにするために』

2020-04-22 13:13:12 | 政治学

日本史や世界史を勉強したことのある人は、経験したことがあるからわかると思いますが、古代の歴史は、かなり長い期間の事でも、そんなに暗記する事項は少ないですが、現代の方になればなるほど、期間は短いのに暗記する事項が多くなっていき苦労したということを思い出しませんか?

それは紙の使用や保存によって、書き留めて、それを保管しておくことが生活様式の中で多くなっていったがためでしょう。 それは事、歴史だけでなく、現代の政治についても同様でしょう。

いろんな政治に関する情報や理論が様々にあり、いろんな織者はもちろん、またネットの普遍化によっていろんな人が自由に自分の思いなりを自由に発信していけるようになったがゆえに、どのようなシステムで現代の政治は動いているのか分からなくなってしまっているのが現状ではないでしょうか?

そんな時、きちんとした枠組みを、しかも誰もが納得できるように提示、あるいは論じている識者の本を読むことが非常に有益ではないでしょうか?

そんな思いをこのウォルフレン氏の本を読んで感じました。

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    K.V.ウォルフレン

 

この人は『人間を幸福にしない日本というシステム』という過激なタイトルの本を出し、これが、日本論の本として古典的な本になりうるとまで評され、実に33万部を売るヒットになったのです。

そのセール的なことだけで私は、この人を評価するのではなく、政治とは、あるいは学問や科学は何のためにあるか、という問いに見事に、しかも人生が変わるほどの明晰さでもって論じているからこそ、支持しこのブログで多数論じてきたのです。

やはり、「この人の本を読んでいただきたい!」という使命感にも似た感情がなければ、そんなことはできた話ではないのです。

今回のこの『日本という国をあなたのものにするために』という、これもちょっと過激なタイトルの本を、人様に読んでもらいたいという衝動に駆られて提示した次第です。

日本では、選挙での投票が、民主主義の権利の行使であると説かれ、そのことで農民の代表と称する巨大組織が補助金の特権を得るために、全力を尽くすという約束を引き換えに、自民党候補に投票するように働きかけ、新幹線、トンネル、橋、空港を作ってきたのです。

しかし、その多くは不要なところに作られ、自然環境を壊す結果になっているようですね。

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それは、先の『人間を幸福にしない日本というシステム』に詳しく論じてありますし、その実例は、地方の様々なところはもちろん、首都圏の至るところで、不必要な公共事業が費やされていることでも明らかでしょう。

確かに、新幹線、トンネル、橋、空港といったものは、市民生活を守るためには必要でしょう。

しかし、不必要なところにまで作ることは考えなくてはならないでしょう。

政治家は、いまや国民のはやりすたりのある要望や大衆の気まぐれにこたえようとするなかで、自分の道徳観念が揺らいでいしまっているというのです。

それゆえに、優先順位を間違えてしまっているのだそうです。

それに加え、首相の周りに、真の統治を阻む障害物がたくさんあるということをウォルフレン氏は発見したのです。

これは漫然と市民生活を送っているだけではわからないことですね。

いろんな国に赴き、それらの国の内情を研究して行く中で、日本のこういった特殊性を発見したのでしょう。

しかし、特殊であるからという理由でそれを糾弾しているわけではないのです。

その特殊な部分が存在するゆえに、日本の市民の幸福な生活が阻まれているゆえに批判するのです。

これまでのウォルフレン氏の本では、どれでも「官僚にアカウンタビリティ=説明責任がない」ということを批判しているのです。

これは官僚に、続けてきた政策の結果を突きつけられることがないことによるものです。

何故、それをおこなっているかの問いにもっていかざるを得ないようなシステムがないのです。

良い政府を持てるかどうかは、統治するものと、されるものとの間に継続的な、やり取りがあるかどうかで決まる、ということですね。

日本に疑義をさしはさんだり、反論をしたりする伝統がなく、市民が政治エリートをコントルールする仕組みがないという伝統が今なお残っているということですね。

このシステムがあれば、起きなくていいトラブルもおきなくて済むということです。

これは非常に良き視点ではないでしょうか。

政治家に、真の権力を与えるために、大々的な運動をして初めて選挙を意味あるものに変えることができるのはいうまでもないことです。

これこそが、中央省庁の官僚をコントロールする唯一の手段でもあるといいますウォルフレン氏は。

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これは一般市民が心しないといけないことですね。

民主主義を形骸化させないためにも。

90年代後半までには普及されていなかったですが、こんにちでは、Eメールがありますから、これで頻繁に政治家に対して「官僚をコントロールする気があるか?」といったことをメールで送る必要があるとしているのです。

それが1回のみならず何度も行うことで、そして何人もの人が行うことで「政治家が官僚をコントロールするのが当たり前」という雰囲気を作り出すことができるとしているのです。

これも目の覚める思いがしたものです。

CMと同じように、1回見ただけでは買う気にならないものですが、何度も見ることで買う気になるのですね。 それは政治家の官僚への働きかけも同様でしょう。

どのようなことが望ましいか、市民が望んでいるかは、市民が黙っていてはわかりません。

こちらが、その意思を何度も直接に伝えることで初めてわかり、政治家の心に植え付けることができるのですね。

官僚が、絶大な権力をもち、政治家にはどうすることもできない日本の伝統のシステムが存在しているということですウォルフレン氏に言わせれば。

それが氏がいう「山県の伝統」というものです。 これは明治時代に出てくる山県有朋が、このシステムを作ったということのようです。

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  山県有朋

 

山県は政党政治を嫌い、持てる権力のすべてを政党政治の発展を阻止しようとしたというのです。

一般の日本人ですら発見できなかったことを、明晰にも抽出して見せたウォルフレン氏には敬服します。

それは、氏が他の著作で紹介しているT.マーフィー氏にも通じることですね。

一般の日本人のみならず、学者ですらも発見できそうもないことをよく発見したなあと途方に暮れるほどの凄さでした、両氏とも。

財務官僚は製品に対する需要の有無にかかわらず日本の巨大な生産装置を支える政策を摂り続けてきたのはよくわかることです。

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これは社会主義国ほどではないにしても、そのような生産を続けてきたのは間違いないでしょう。

日本の消費者の利益を犠牲にして、産業そのものに大きな負担を強いて、これを根本から変えたりしたら、景気を浮揚させると信じ、基本的な手段をコントロールできなくなると思い込んでいるということのようです。

まさしく前例主義で、今ある問題点を見つけ、それを良き方向へ導くためにはどうすればいいかを考えようともしない、という点に表れていますね。

これもこれまでウォルフレン氏が、いろんな本で指摘してきたことですね。

各省庁は「自分たちは状況を完全に把握している」「外部から助けてもらう必要がない」という虚構を守ろうとしているということですね。

それゆえに阪神淡路大震災のや日航機墜落事故の際も、自衛隊が出動するのに、欧米の場合よりも何倍もの時間がかかったということを指摘しています。 各省庁が組織内の人間や組織の立場を守ることに全力を尽くしてるということですね。

本来、日本市民全体の幸福を守るためにじぶんたちは存在しているということを忘れてしまっているのですね。

他に、日本の問題点をあげています。

政治家は、資金集めに翻弄され、勢力争いに明け暮れ、利益の斡旋にしか目にない。

官僚は、官僚制度に問題点があることを認識している人もいるが、それが壊されるような雰囲気になると防衛反応する、ということですね。

その政治運動を骨抜きするのが非常に上手いということですね。

国民は、日本特有の「仕方がない」という宿命論的な姿勢が、市民の思考を停止させ、民主主義を成立不能にしているということですね。

これもまた目の覚める分析眼ですね。

その既存の制度を壊すさせないためには、市民からそれへの関心をそらす、ということをこれまで多くなされてきた、というのはお分かりですね。

それもまた感心する分析力ですね。

それは私が敬愛するリチャード.コシミズ氏も本で指摘していたことですね。

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リチャード.コシミズ

このことを認識していれば、大きな変革時に関心をそらすための事件の誇張的な報道や、ありもしない自然災害の恐怖を半ばでっち上げがなされても関心が維持できるでしょう。

「大多数の人が、現状に満足しているのなら自分だけが政治改革のために頑張る必要はない」という諦観を持つのはNGです。

問題点は、日々の漫然とした生活では見えてこないですし、ましてやテレビや雑誌などの報道がすべてではないです、このような本を読むことで、しかも主体的に読むことで初めてわかり、それ自分の心の中にインストールされるという性質を持っているのです。

ですから、諦観にとらわれずに市民としての行動をやめるべきではないのです。

その問題点が周りの人がわかってないならば、それを主体的に伝えるという姿勢が大事でしょう。

そういった多角的な視点をもって日本を良き方向へ導きたいとお考えの人には是非とも、その内容と内奥を深く、広く認識してこれから生きていく手段として、この本をお勧めします。

●この本は以下よりどうぞ!

  ↓

日本という国をあなたのものにするために (海外シリーズ)

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●参考ページ その他、ウォルフレン氏の著作の紹介ページ

    ↓

『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/404153213.html?1442740078

『日本に巣食う4つの怪物』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/411025348.html?1442739448

『アメリカからの独立が日本を幸福にする』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/416108583.html?1442739522

『偽りの戦後日本』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/419390846.html?1442739842

『アメリカとともに沈みゆく自由世界』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/403562125.html?1442740154

『この国はまだ大丈夫か』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/403116925.html?1442740217

『怒れ!日本の中流階級』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/474007969.html

『年収300万円時代 日本人のための幸福論』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/376743327.html?1442740414

『独立の思考』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/369324554.html?1442740685

『快傑ウォルフレンの日本ワイド劇場』

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カレル.ヴァン.ウォルフレン 『怒れ!日本の中流階級』

2020-03-12 20:38:25 | 政治学

毎回読むたびに、このウォルフレン氏の本には目を見張るものを感じさせられます。

目を覚まさせられる気分になったのは、一番有名になった『人間を幸福にしない日本というシステム』を読んでからですが、この本とも共通するのは分析力の明晰さですね。

西洋に暮らしてきた氏が、日本に来て西洋と比較すると、日本の異様さが浮かび上がってきたのでしょう。

しかし、それは西洋と日本が違うからという単純な理由ではなく、日本というシステムが「市民」を育成することになっていないということだからですね。

市民とは、自らの思想や行動で自分の住む社会を良き方向に向かわせるように考え行動する人民という感じでとらえればいいかなと思います。

それがなければ、やはり市民ではない、ゆえに人を幸福にしないということですね。

氏が嘆いたのは、そもそもそういう市民の観念の教育がなされていない。

不必要な橋を護岸をつくり美しい自然の景観を損なっている。

国民の意見をくみ取るパイプが政治家と出来ていない。

政治活動をするようなシステムが損なわれている。

こういった事が氏が嘆くことなのですね。

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K.V.ウォルフレン

 

決して西洋と比較して、日本が違っているからといって批判しているわけではないのですね。

そういった内容についてもまた批判があり議論の余地はあるとは思いますが、それはまず置いておきましょう。

氏に言わせれば、「日本は先進国の中で唯一中流階級が政治に影響力を持たない国」といっているのです。

これには驚きました。

都市部のサラリーマンや主婦の代表がほとんど全く存在しない、ということです。

戦前の官が公の皮をかぶってそのまま残ったということです!

非常に明晰ですね!

また、時間をかけて官僚や政治家や実業界とのパイプを作っていったということです。 これが族システムということです。

これがまさに先に挙げた不要な公共建設の最たるものですね。

これにより全国にある50万の建設マフィアを生み出していったということですね。

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非常に明晰ではありませんか?

また、日本のシステムでは政治エリートに大衆からの強い要望を伝えられず、アイディアや希望や分析や警告がフィードバックされない。

ゆえに失政がいくらでもまかり通るということですね。

氏から言わせれば、健全に機能する公的な領域とは、社会の様々な場に生きる人々が互いに話あえる場であるとしています。

しかし、ここが国民には利用されていないということです。

そのことで、権力エリートに圧力をかけることであるというのです。 そのことで国民の関心事をわからせることだ、ということですね。

かねてから氏は、小沢一郎氏を称賛しているのです。

自身とモラルが一致しているからです。

ここで小沢氏の本を引き合いに出しています。

「日本が普通の国になるためには政治家が政治のプロセスを支配しなければならない」という箇所を引き合いに出して称賛しています。

 

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  小沢一郎

 

その是非については、各自が自身で考えて持論を練り上げる必要があるでしょう。

ウォルフレン氏は政治家への要望を以下に要約しています。

政策作りにどのように力をふるうつもりがあるかについて話してもらう。

政治家が官僚の力を制御できる体制づくりを目ざす政治プログラムを壊そうとする動きがあったら大いに怒ること(雪崩のように組織的に)。

この2点のようです。

これはの本を読んで感動し、日本が官僚の支配の強い国であるということに賛同できた人ならば、これらを実行するべきであると思います。

私は、の本をいくつも読んでそう感じてきたうちの1人です。

また、この本でも、先の『人間を幸福にしない日本というシステム』にも言及しているように、系列システムについて批判していますが、そこには大手の会社でなければ銀行からお金を借りれない、ということですね。

しかし、今はネットビジネス、あるいは株トレード、外資トレードなどの手法が開発されて、決して大手の会社でなくても信用が構築されてお金を借りることもできますから、必ずしも氏の批判が今もすべて妥当性を持つかどうかは保証の限りではないですが、しかし、今も通底して批判の内容に妥当性があると感じるものはいくらでもあります。

その内容については、個人でこれらの氏の本を読み、そして感銘を受けた箇所については実際の生活上で行動していくというスタンスが大事でしょう。

それもまた「市民」という性質の1つであることに間違いはないでしょう。

氏が中流階級に呼び掛けていのは、中流階級でなければ金銭的な、そして時間的な余裕がなければ政治的な活動に携われないからですね。

私がこのウォルフレン氏の新刊本が出ると聞いて、数年以上前にネット本ショップに予約したのですが、それが急に取りやめになってしまったのです。

そして、それが再発されることなく、今にいたります。

やはり日本の中枢にとって氏の日本のトップシークレットに触れる本は邪魔になってしまうから圧力をかけたのでしょうか、そんな気がしてならないのですね。

しかし、そこで弱音を吐いていては市民たるものとして失格ですね。

そうならないように努力する人が出てくることを期待して、この本をお勧めします。

●この本は以下よりどうぞ!

怒れ!日本の中流階級

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