ジョルジュ.マルシェ 『民主主義の挑戦』

2020-06-07 20:28:26 | 社会主義論

この本が書かれた73年当時は、資本主義か、社会主義かの2者択一しかなかったゆえに、やはり多くの社会での悪弊が資本主義国で重なると、社会主義に移行するしかない、という結論に導かざるをなかったのでしょう。

社会主義を捨てる国がドンドン出ていったさなかにおいても、フランスが先進国中、富の配分が一番不平等だった時期があったのは事実です。

その時期には、社会主義政党が政権を握っていたのも事実です。

この著者が、そのような結論に達したのは人を思いやる気持ちが充分にあり、多くの人の幸福を願っていたからでしょう。

この本の30ページにおいて

「ところで現代は、真に新たな社会はたった1つしかない。

それは社会主義だ。

まさに、この社会主義のためにフランス共産党は闘っているのだ。」

と書いているのです。

ゆえに、社会主義に国が移行することを望んでいた。

それくらい、フランス人の生活が政府によって圧迫されていたということが明るみに出ていたのでしょうね。

それは、この本に「フランスにいる最も裕福な納税者は1日で最も貧乏な人の年収を稼ぐ。

化学繊維、道路、医療の企業は、68年から71年の間に独占がになった。

牛肉の値段がこの間に14.2%、豚肉ハムソーセージが10.3%値上がりしている。

失業者の数は70~80%の間を上下している。

家賃は一般人の場合、3分の1あるいは2分の1を取られる。

労働者は劣悪な住条件で過ごしている。

騒音、喚気不良、採光条件が劣悪である。

集会場、文化スポーツ施設、駐車場も不良で、水や大気汚染、騒音の中で暮らしている。

とつまびらかに述べているのです。

これだけの悪条件が重なっていれば当然、フランス政府に対して不満を持って当然でしょう。

社会主義国がこういった事がない、という事実を知っていれば当然、社会主義国にフランスも移行すべしという意見になっても当然でしょう。 更に、無政府的な都市化により、郊外へ勤労者を集中させ、そしてお金をもっている人たちが不動産取引きに有利な条件を作っている、というのも許せなかったのでしょう。

フランス政府は、お金を海外であらゆる投機に使い、寄生的な生産を求めていたようです。

更に、この著者が言うには、

「毎日10時間も働き、疲れ切って家にたどり着き、明日もまた苦役につながれるために、ただ食ってねるだけ。

各人が思うがままに、生活したり、あるいは友情を深めたりする時間を与えることと、物質的な諸欲求を満たすことを切り離してはならない。」 とまで書いています。

ここを読んでも、やはりこの著者の人間的な優しさがにじみ出ているのがわかりますね。

その望みをあらゆる人のために実現することが社会主義の任務であるというのです。

その社会主義社会の実現のために、

すべての人に平等な労働の機会を与えること

教育の無償化

教育管理の民主化

単一=非宗教的なサービスを形作る

という4つの方途を呈示しています。

この著者によれば、フランスには、天然資源、経済的な潜勢力、発達した生産装置、試練積みの労働者や知識人が多くいる。

しかしそれらを運営するのに金がかかりすぎであり、官僚的で無数のゆがみや立ち遅れを導き出しているというのです。

しかも公共料金が外国投資のために使われ、少数の独占者に対してのみ利益をもたらしているというのです。

フランスは民間の科学技術研究の立ち遅れ、数百万の知性や才能が未開発のままであるとも言います。

それゆえに、70~80万人の失業者がいたというのです。

これを打開するには、フランス経済のしくみを、経済政策、社会政策を全く新しい方向性を与えることが重要であるのはいうまでもなかったですね。

1握りの銀行家、産業家は好き勝手に工場閉鎖、失業、配置転換、野蛮な規律、成果の1人じめ、必需品を奪う等のことを決めれるというのは当然問題でしょう。

また、農民の所有地を破壊し、工業と金融グループの利益になっているということも遺憾だったのでしょう。

これは社会主義によって、長期低金利の融資あるいは貸与にするのが望ましいとしているのです。

農地以外も不動産は、国有化にすべきであるというのを主張しているようです。

フランス国有鉄道(SNCF)は、近代化を達成したようです当時。

しかしアメリカでは鉄道会社がいくつも倒産していたようです。

「国有企業は新しいものへの適合能力、技術進歩を制御する力、上質の定期サービスを供給する能力の点で民間企業などとても太刀打ちできないモノである。

国有化部門の労働者はその戦いのおかげで一連の物質的、社会的特典や労働組合の権利と自由を確保しつづけてきた。

国有化こそまさに集中化に対する民主的な回答である。」

とまで書いているのです。

ということは、これが上梓された当時のこの著者が訪れた社会主義国は、まさに順調だったのでしょう。

現に世界の経済大国はアメリカ、ソ連、日本の順位でした。

社会主義を標榜するソ連2位だったのですから当然それに見習うべきだとする論調がでても当然でしょう。

マルクスのカリスマ性ゆえか、あるいは資本主義の部分的な失敗ゆえにか、かつては社会主義を採択する国が地球全体の半分に迫る勢いがあったことは事実ですね。

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  マルクス

 

それは何故かということを考えると、ほとんど少数の人間たちがイニシアティブを握って国を指揮し、統治するということになれば、国民大半が同質的に行動する必要があるのはいうまでもないことですね。

それで可能なのは、識字率の低い国でおこなうことが必要でしょう。

識字率が低いということは、本などの媒体が普及していないということゆえに、思想も考えもほとんどない国で可能であったということでしょう。

社会主義政権の樹立が最初になったのは、中国ロシアなどの識字率の低い国だったのです。

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これを見逃してはならないでしょう。

その他、先進国で社会主義国の樹立が可能だったのは、少数でした。

それゆえに、科学や教育が発達しているがゆえに、その是非について議論が戦わされて、なかなか前に進まない。

ゆえに漸進的に進むしかない。 社会主義の良き場面を取り入れて徐々に社会に改良を加えていくという論法になったのだということでしょう。

それが功を奏した、という表現が適切かどうかわかりませんが、フランスが社会主義を採択という事態にはならないままでおわったのです。

前にも書いたように、社会主義的政策をどの国も部分的に取り入れて現在に至るのです。

それが結果的には人類的にはよかったのだと思います。

91年ソ連のクーデターを期に、一気に社会主義国は社会主義を捨てていったのです。

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この本は73年に出されたものですが、これ以降、社会主義の経済面や社会面などのいろんな面でほころびが出てきたのは間違いないですが、それについて察知できなかったのかなあと思います。

そのほころびが出ていたのは確かですが、論文を書くのは1人の作業ゆえに完璧には情報収集できなかったのかなということは予想できます。

この著者と同じように、我が国は社会主義に移行すべきだとする論調になっていて、しかも単純な思考法ではなく、かなり厳密に研究を重ねたうえでその結論付けた本として『現代の哲学入門』を以前に紹介しました。

そん論調は非常に緻密に行われたがゆえに、この人のこの本を読んだら、私が20歳以上の学生であったら、社会主義者に変更していたかもしれないとい思われるほどの緻密さでした。

しかし、社会主義思想が凋落してしまった今となっては、やはりそれはホームラン性のファールだったようです。

※参考ページ

 ↓

『現代の哲学入門』について紹介したページ

https://blog.goo.ne.jp/ladyevil/e/72e2f79a01c117b43fc021479e58b315

 

これまで書いてきたことですが、社会主義国が今や4国だけになり、いずれも市場経済化していることを踏まえれば、もう社会主義に関する本は読む必要はない、というような意見になってしまう人がいるのは致し方ないとは思います。

しかし、どのような本でも学ぶ面は多くありますので、捨てるとか、その手のは一切読まないという意見には私はならないのです。

資本主義には、よき点があってもそれが時とともに風化してしまう危険性もあるのです。

それらを吟味するうえで、社会主義に関する本を読むことは大事と思うわけです。

しかも資本主義は完璧無比ではないですし、欠点はあるわけです。

それに、資本主義の存続が可能か不可かという議論が出て、それは後者という勢いの方が強いというのが昨今のような気がします。

それを裏付ける事実はいくらでもあります。

その論調の本をこれから読んでいきたいですし、良かったらここで紹介したいとも思います。

その際は、この本のように社会主義のよき点を吟味した本を併せて読みながら考えていきたいと思います。

まずはこの本を紹介したいです。

●この本は以下よりどうぞ!

   ↓

民主主義の挑戦―フランス共産党は主張する (1977年)

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サンチャゴ.カリョ 『ユーロコミュニズムと国家』

2020-05-21 14:54:06 | 社会主義論

この著者はマルクスの思想を基本に据えつつ、その実現を志しながら、社会を良くしておこうといモラルが感じれますね。

マルクスの思想がもとになった社会主義の国が今では4か国になってしまった現状をみれば、やはりそういった思想や、それに関する本は読む意味なし、というレッテルを貼ってしまう人がいるのは止むを得ないですが、本というのは何かしら学べる箇所はあるわけで、全くの無用とする必要はないでしょう。

この本は、民主主義的な方法による、社会主義社会への変革の可能性を探り、マルクス主義の諸思想の批判的な進化を目指しているのです。

この著者は、スペイン人ですが、マルクスに影響を受けて、その思想の実現を目指していたのが、この本を読んでわかります。

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これが書かれた78年当時に、南米のチリアメリカ帝国主義やその各種機関や他国籍企業が存在していたのです。

そのチリにおいて、民主主義的政体が廃棄され、狂暴な軍部独裁になったのでした。

やはりマルクスに影響を受けて、その思想を大幅に信じ込んでしまった人にとっては、アメリカ=資本主義の先駆的国ですから、それを遺憾としてそれが悪い結果を呼び起こすといって危惧したのはやむを得ない部分もあることは止むを得ないでしょう。

私は、ソ連=社会主義の先駆的国が崩壊してしてしまった今だからこそ、このように中庸的な発想でいられますけれども、この本が出された当時に生きていたならば、このような思想様式になってしまっていたかもしれません。

しかし、この著者は、詳しく読むに、マルクスの思想を影響を受けながらも、無批判でいたわけではないのがわかりました。

社会主義を採択されさえすれば、そこは地上の楽園になる、というような考えにはなっていなかったようですね。

「ユートピア的な領域から脱するために研究しなければならないだろう」 と書いていますもの。

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やはり、現状をみてそのことを心から感じたのでしょう。

社会主義の国である中国ソ連.ロシアおいて粛清が行われていたり、滞貨と行列が日常茶飯になっていたからでしょう。

やはり社会主義国において、政治的にも経済的にも上手くいっていなかったのでしょう。

著者は「生産手段の全般的な重要性を把握しなければならない」と書いてもいるのです。

そのうえで、「変革と社会主義を放棄することではない」といっているのですから、やはりマルクスの思想が根本としてあるのでしょう。

それゆえに、資本主義国の弊については常にピンと脳が反応してしまうのでしょう。

しかし、社会主義の弊についてはそれほど神経は反応しないのにです(笑)

国家独占資本主義では農業部門の被害が大工業会社、銀行、保険会社が実現した超過利潤によって保証されずに、租税と生産の俸給や賃金の一部を棒引きすることでおこなわれている、ということを批判しているのです。

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これは常に問題点を探し、それを改善に向けての道を呈示する学者として、よく見つけましたといって称賛したい部分ではあります。

けれども、このことについては社会主義の理念の元に制定された独禁法等のいわゆる経済法によって大幅に累進課税が行われ、改められたのです。

だからといってそのままでいいわけはなく、構造改革によってその累進課税が持てるものに対して甘くなっていったことは認識するべきことではありましょう。

この本の書かれた当時は、社会主義が存在していましたが、今はなきに等しいのです。

その対比の構造の現在において、どのようなその経済法の理念が生きているのかを研究した本があれば、是非とも読んでみたいですね。

先に出た累進課税にしろ、協同組合にしろ、社会主義の理念から創造されたものなのです。

ですから、今社会主義国が世界で4か国しかないということだけで、その類の本は読む必要はないと切り捨てるべきではないということがお分かり願えるでしょうか?

この本の出版社は合同出版ですが、その合同出版は今も存続していますから凄いですね。

しかし当然ながらもう社会主義の本は出していません。

今は環境系の本が大多数です。

その合同出版の本で、大学に関する本でいいのがありましたのでそれを今からネットで取り寄せて読んで、良いと思えたらここで紹介したいと思います。

この『ユーロコミュニズムと国家』は以下よりどうぞ!

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「ユーロコミュニズム」と国家 (1979年) (合同叢書)

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凌星光 『資本主義と社会主義』

2020-02-17 18:58:50 | 社会主義論

 今はなき社会主義ですが、かといって完全になくてもいいか、学ぶところはないかといわれればそんなことはないわけでして、やはり人間たるもの誰でも保守的であって、その内容を探っていくと、その良さを自分の内に取り入れたくなってしまう性質を持っているものです。

日本は完全なる資本主義国ですが、その内容を探っていくとやはり社会主義的な要素をふんだんに持ち合わせていることがわかるものです。

その内容は…これから先を読んでいただきましょう(笑) 社会主義はマルクスの唱えた理論を、実際の社会に適応させて地上に天国を作ろうという壮大な試みでしたが、やはりそのようにはいかなかったのです。

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    K.マルクス

生産手段をすべて国で賄って、それに国民が従事すれば、だれもが何不自由なく生活できると考えたのです。

しかし、そのような杜撰な考えではうまくいかなかったようですね。

そのほころびが60年代から出始めて、その理論に対する批判の論文や本はよく出るようになりました。

まず、そのマルクスの歴史観から実際は違っていたようです。

マルクスの規定したプロレタリア革命は、生産力の発達した資本主義国から社会主義に移行する、としていたものが、実際に社会主義を採択したのは、中国、ロシア、東欧など農業国や半農業国から出ました。

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それに社会主義を採択した国の経済は、ただモノを作りさえすればいいということですから、最初モノが足りない国であれば、最初はうまくいったでしょう。

しかし、1たびモノが行き渡れば、更に購買意欲を国民から出るために更により良いものを作り、更に安くする、という工夫がなくてはいけないのは言うまでもないです。

技術革新ですね。

しかしそれが行われないならば物は売れずに滞貨が進むだけでした。

こういった市場原理を無視し、貨幣や商品関係を否定したところにマルクスのいった事には無理があったのです。

それに、社会主義経済では、政策決定の民主的手段がはっきりしておらず、目上の人間のいった事は吟味されることなく間違っていても実行されていたのです。

それがうまくいかなくても、罪を問われることはないのです。

これぞ個人崇拝、官僚主義ですね。

それに、親戚同郷同士が利益配分を就職のあっせんや商売上の利便を図るということも横行していたのです。

上下の平等を目指すはずの社会主義が、まったく自己矛盾に陥っていたのですね。

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社会主義経済の目指していたものが、社会保障であり、最低生活水準の確保であり、教育の無償化、住宅や公共料金の低さであったはずです。

このようなことは社会主義国では実現できていなかったのです。

しかし、こういった事は資本主義国でこそ実現できていることがわかるはずです。

この本は91年に書かれたものですが、それまで自民党が長期政権を維持できましたが、その中で様々な社会主義的な政策を取り続けたことがわかります。

それによって日本が繁栄できたことがあからさまにわかるはずです。

まず日本は計画経済を採択しているのです。

この単語はまさしく社会主義国の単語のような感じですが、日本は採択したのです。

経済企画庁でそれはおこなわれているのですが、日本のほかにフランスオランダに経済企画庁はあるのですが、それは資本主義国では珍しいでしょう。

それは、昭和5年臨時産業合理局や、重要産業統制法などもそれに順応していたのです。

こういった計画経済は、生産性が上がっている国でこそ可能であるということがこの本でわかりました。

やはり日本人が勤勉で働くことに生きがいを持てる国民であるからこそ可能だったということですね。

しかし、中国のように生産性の上がらない国では計画経済は可能ではなかったということですね。

「柔軟さと幅広さをもって、むしろ野党の主張の中の良い部分を先取りするぐらい弾力性をもっていたため日本は発展することができた」 というのは総理大臣になったことのある中曽根康弘氏の言葉ですね。

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   中曽根康弘

また日本は、企業別組合が主流である、ということも経済発展にとってプラスであったということですね

労組が企業ごとに組織されていたから会社側との話し合いに応じることができたのですね。

そういうシステムがなく、ストライキが長期化、泥沼化してしまうと賃金アップが生産性を追い越してしまうようです。

政府の民間への影響が大きいこともまた生産性を維持し、トラブルが起きたら速攻で転換できるということですね。

石油ショック円高などの時にすぐに転換できたのは、日本ならでは現象でしょうね。

このように社会主義を事細かなに見ていくと、また他の資本主義国と比較していくと非常に日本は恵まれた国であるということがわかるはずです。

やはりどんな国にいても、難事は襲い掛かってくるわけで、その際に近視眼的になってそこを嘆いてないで、まずは自分の国の素晴らしい点も同時に認識していかないといけないなと思いました。

その他、日本の経済の素晴らしさについて、この著者は簡潔でわかりやすい文体で書かれています。

難解で読みづらい文章を書いている教授や評論家は、この人を見習うべきだと即刻思いました。

こういった論文は、だれもが読むことで、自分や周りの社会がよくなることを目指すものですから、難解で読みづらい文章を書いてそれを読んだ人が科学から忌避してしまうようなことがあってはならないのです。

この本は、社会主義の崩壊の決定打になったソ連のクーデターの起きた91年に書かれたものですが、その直後に簡潔に毅然と持論をまとめていたことについては感服するあまりです。

その他、日本の経済の素晴らしさについて認識することができる良書ですから、興味のある人は是非とも読んでもらいたいですね。

●この本は以下よりどうぞ!

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資本主義と社会主義―崩壊した「社会主義経済」は、この先どこへ行くのか

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スビクニュー.ブレジンスキー 『大いなる失敗』

2019-07-20 22:40:49 | 社会主義論

『ひよわな花.日本』というセンセーショナルな題名で名を馳せたブレジンスキー氏の本です。

これは社会主義の試みが大いに失敗におわったということに鑑み、その負の遺産として人類が忘れてはならない、ということで言葉をまとめています。

そうですね。

また、いつの日かどこかの国が社会主義を採択してしまわないように、その遺産としてそういったたぐいの本はいつまでも遺しておかないといけないでしょう。

私有財産制が悪の根源として認識されたのは、資本主義の興隆によって、持てるものと持たざる者との資産の差が開き、そのために持たざる者は生活もしていけなくなるという状態が出現したからですね。

その考えに何百万人もの人の心をとらえたということですね。

豊かな階級に対する暴力の正当性まで与えたのですね。

こういった考えに、単純に生活している人も教養ある人達の両方を捉えたのですね。

こういった社会主義の空前の盛り上がりの中、そういう社会主義を採択した国は最盛期で地球の約半分をしめるまでになったのは事実です。

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しかし、その思想とはうらはらに、実際に社会主義を採択した国の現状はどうだったのかといえば、それは歴史の本を読むことで明らかになるのですが、政治的には大量殺りくと検閲、経済的には滞貨と行列を生み出したのでした。

政治的には、政治権力を少数に、恐怖政治を頼みにしたようですね。

国家公認の暴力、新たな創造性を摘み取る警察国家、特権階級のヒエラルキーを生み出したのですね。

社会主義を採択した国では、多くの人が殺されたのです。

それは、政府の中枢の人物が権力を握らないことには指令が出せないからですね。 そのために権力を握って指令を出す人が不満分子を失脚させる、あるいは権力の部から去らせるために殺すなどという行為が平然となされたのですね。

その数、百万単位でなされたのです。

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その例は、ソ連の中心国家であったロシアのみならず、ポーランドハンガリー、中国といった国でも共通して観れる事象でした。

その詳細は、この本を読んでいただくとしましょう。

しかし、ソ連ではそんなおよそ民主主義を満たさない政治の状態であっても、経済的には当初は成長を続けていたのは事実で、はじめてから5年で15%の成長率を達成し、国民所得は4倍になったのでした。

しかし、それは物資の足りない状態であったからこそ可能な数字であったのは確かで、物資がほぼ間に合うようになれば、更に国民に買ってもらう必要があるのは確かです。

そうでなければ更なる発展などないのですから。

そのために、より良いものをより安くという技術革新をおこなわなければならないのですが、国の用意した施設や工場で働くだけでいいという社会主義であってはそれがなされず、どんどん資本主義に成長率で後れをとっていったのでした。

そこで、ソ連ロシアにはゴルバチョフ大統領が登場し、社会主義の国を立て直すために、グラスノスチ(情報公開)や官僚制や中央計画機関の解体などを積極的におこなっていったのは周知の事実ですが、時すでに遅しだったようです。

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ゴルバチョフ

ソ連では91年にクーデターが発生し、ソ連は解体を余儀なくされたようですね。

こういった事実から明かになったのは、中央計画経済は効率的に作動しないということですね。

社会主義を採択した国は共産党一党独裁であることが必然化し、その国の長や、その周辺の人たちは、自分たちの思い通りの政治をおこないたい衝動にかられ、そして自分たちだけが贅沢な生活をしたいがゆえに利用手段になってしまうのですね政治が。

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国民の生活を向上させることによって、そういった事が達成されるわけではないのですから、国民生活の細部の向上などや環境の改善など関心の外にあったようですね。

ソ連には給湯設備などなく、下水施設も不完全だったようです。

しかも、工業化による環境汚染に関しても、ほとんど手つかずだったようです。

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「高い生産性と創造力に富む複数制の社会経済は一党独裁とは共存でいない」とはブレンジンスキーの言葉ですが、これは至言ですね。

そういった社会主義を採択した国の例を歴史的に明らかにしてあるので、その詳細を知るにはこの本を読むといいでしょう。

いまや世界2位の地位を手に入れた中国ですが、この国もまだ一党独裁であるがゆえに、の利益にならないがゆえに、適宜な行政がなされず、国民のほとんどが貧困の中で暮らしているのは、前のページで書いたギ.ソルマン『幻想の帝国』で明らかにした通りです。

やはり、人間の正義感を信じすぎて、政治の関心があって、ある程度の教育水準をあげれば、誰もがそういった社会主義が上手くいくようになるだろうと、理詰めで解決しようとしすぎたことろに失敗の根はあったようですね。

確かに国が社会主義を採択して、政治をおこない共産主義を目指せば出れもが至福になるという試みは失敗に終わりましたし、これからそういう試みはなす国はでないでしょう。

それでも社会主義の理念から学ぶことは多々あります。

例えば、累進課税労働組合といったものに関しては、社会主義から学び、資本主義国が取りいれたものであり、そのことで絶対的な貧困は登場しなかった国も多々あったことは間違いない事実です。

その1つがこの日本です。

こういった事を部分的に適宜、採択して調整していくことは大切なことではありましょう。

ですから社会主義が失敗に終わったからとて、全否定する必要はないということです。

でも、失敗の遺産として人類が忘れてはならないことでしょう社会主義の試みは!

その忘れてはならない面を誰もが学んでいかなくてはならない本として、この本はお勧めします。

非常に読みやすく、366ページの長きにわたり簡潔丁寧に書いてある本ですからねこれは。

●この本は以下よりどうぞ!

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大いなる失敗―20世紀における共産主義の誕生と終焉

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