玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

ワサビより効く「フルスイング」

2008年01月24日 | テレビ鑑賞記
年が改まってからまだ一月もたっていないけれど、2008年最高のドラマは満場一致で「フルスイング」に決定しました。おめでとうございます。
…と、断言したくなるほどいいドラマである。

フルスイング | NHK 土曜ドラマ
  「教える」ことに人生の全てを捧げた一人の男がいました。打撃コーチ高畠導宏さん。七つのプロ球団を渡り歩き、落合、イチロー、小久保、田口を始め、30人以上のタイトルホルダーを育てた名伯楽は、還暦間近で福岡の高校の教師になりました。

  高畠さんは30年のコーチ人生で培った優れたコーチング力で、悩める思春期の子どもたちと現場の教師たちを大きく変えていきます。

  自ら、悩み、迷い、葛藤する姿をさらけ出す素敵さ。高みから何かを教えるのではなく、「生きる力」を伝えようとする熱意。「俺だけの先生」「私だけの先生」と子どもたちに思わせる「好きにならずにいられない」教師の姿がそこにありました。

  わずか1年でがんに倒れ、志半ばで逝去した新米教師「高さん」と、彼の思いを受け止め、成長していく子どもたちと教師たちの感動の実話をドラマ化します。

土曜9時は「世界ふしぎ発見」を見る(というかぼーっと眺める)のが習慣なのだが、NHKのドラマに吹石一恵が出るというのでおっぱい鑑賞のためにテレビを二画面表示にした。気がつくとネス湖の怪物はすっかりお留守になり、心は九州の高校に完全に引き込まれていた。

特に主演の高橋克実がすばらしい。
体温と人生経験を感じさせる厚みを持った人物像を作り上げている。だから生徒たちに「夢」の力を語っても嘘臭くならない。バラエティー番組でおちゃらけているイメージとは違い、包容力と優しさと強さを兼ね備えた「伝説のコーチ」になりきっている。モデルとなった高畠さんの指導を受けた選手が太鼓判を押すほどよく似ているそうだ。

本や映画の宣伝文句で最近(でもないか)やたらと「泣いた」「泣ける」が多い。私などは「そんなに泣きたきゃワサビでも舐めてろ」と普段バカにしているのだが、不本意ながら「フルスイング」を見て大いに泣いたことを認める。いや、むしろ開き直って「あれを見て泣かない奴はおかしい」とさえ言いたい。何にでもケチを付ける2ちゃんねるドラマ板でも絶賛されていた。珍しいことだ。
番組紹介(プレマップなどで流れるあれ)がまたよくできている。約五分とちょっとした長さだが、「フルスイング」に興味を持った方はぜひご覧ください。

  番組紹介 WindowsMedia形式