牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

種雄牛の能力とは

2008-10-24 20:02:35 | 種雄牛
黒毛和種の種雄牛は、供用開始前に試験種付けを行い、それらの産子について、一定の基準に沿って公的施設等で肥育を行い、それらの肥育成績を基にした産肉能力検定間接法に基づく増体能力や格付け結果などを公表している。
この他に、一定の基準を定め、それに沿って、民間肥育センターなどで肥育を行い、その結果をデータ化する所謂現場検定という方式もとられている。
鹿児島県の場合、県有7頭の平均サシ(BMS)は3.73で、かなり高い数値となっている。
また県内で供用されている家畜改良事業団所有の11頭の平均サシは3.07であり、この他に民有の種雄牛も多数頭供用されているが、これらの平均値は、事業団と似通っている。
この数字を比較すると、明らかに県有の方が優秀な種雄牛群であることは、疑う余地はない。
これらの数値を考慮すれば、同県下で生産される子牛の父牛は、県有の種雄牛が圧倒的に多いと予測が付く。
ところが、現実は、民有の種雄牛の方が圧倒的に多いケースがある。
以前同県では、差ほど供用されていなかった事業団の精液も、年々その数を増加させている。
故平茂勝号が繋養されていたさつま中央家畜市場管内では、競りに掛けられる子牛の70~80%は、同牛など民有の種雄牛で占められている。
以前より素牛を導入している離島の11月の上場予定の子牛の約40%が県有である。
このような状況をつぶさに判断すれば、関接検定の成績イコール供用頭数ではないことが伺える。
本来は、検定成績イコール供用頭数が理想である。
例えば、サシが4.1でその当時日本一の能力として折り紙を付けられた種雄牛は、数年経った今、その産子は見られなくなった。
検定自体が、限定された頭数によるデータだけに、時にはその様な結果になることも否定できない。
一方、当初から高く評価され、人気の高い安福久号はサシが2.6である。
全国的には、サシが4.3が最高であると聞くが、産子能力の高い安福久号とのその差を、どのように解釈すべきであろうか。


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8 コメント

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安福久の人気 (南の牧童)
2008-10-24 22:27:41
安福久の素牛が、まだ人気があり高値を付けている。東京食肉市場の共励共進会でトップの賞を続けて獲得すれば当然の結果だと思います。でも、この人気高で誰が得して誰かが損をすると思う安福久が素牛で出始めのころ、一部の肥育家が買い占めて他に出さずに、いい仕上げ牛だけ共励会に出品すれば高成績が出るその結果、精液ストローが高額になり、人気高を利用している人が一番得すると思う?今後多くの安福久が枝肉になった時、本当の結果が出る南九州で素牛最高値が99万で売れた事があります!
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間接検定 (Piyo)
2008-10-25 17:33:56
(^_^;)/
そのサンプル数の少なさと屠畜月齢の若さ故に、
それ程間検の数値を信用している訳ではないのですが、
他に基準にするものもなく、
とりあえずの目安としています。
系統によって早熟・晩熟もあると聞きますので、
やはり参考程度に考えるべきかと。

安福久は2.6でしたか。
もっと高い数値かと思っていました。
八重山でもその評価は高い様で、
数少ない産子は高値で取引されています。
南の牧童さんのご指摘の様に、
その流通経路と末端価格から安福久は使った事はないのですが、
その能力の高さはおそらく本物であろうとも思っています。
しかし、
今の素牛相場だと数万円のタネを使うメリットよりもリスクの方が高いですね。

2.6と言えば、
福栄も間接検定では同じ数値。
しかし、
それ以上の結果を出していると思っています。
北のカウボーイさんのご指摘の年齢による衰えについては、
2年程前にもその様な記述を目にした事があります。

腐っても鯛
衰えても福栄
と思っています。
今回も入賞していた様ですし。

今後はその息牛である事業団の福安照あたりに期待したいですね。


そういえば、
安福誉は最近どうですか?


最後に、
飲み過ぎ食べ過ぎにはお互い気をつけたいですね。

(
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F1の世界 (F1・ジョニー)
2008-10-25 20:16:57
交雑牛(HB)を素牛で買う場合、一応種は選びますが本物か、どうかわからない部分があると思います。一部の酪農家が評価の高い受精証明書を添付している事も考え、又、生年月日を遅らせいる可能性もあります。以前、紋次郎の偽物ストローが出回り裁判沙汰になったと言う話も聞きました!精液ストロー・ブローカーの存在もあり、色々と考えて素牛を買ってます。今、偽装は続かないと思います。真面目に頑張っている生産者が浮かばれません。市場で毛根検査済みと発表される事もあります。黒毛和牛でもあり得る事だと思います。Piyoさん焼酎は島美人ですか?
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思わぬ質問… (Piyo)
2008-10-25 21:16:59
m(_ _)m
…に、
この場を借りて答えさせてもらいます。

ジョニーさん初めまして。

八重山では、
八重泉・請福という銘柄がその大半を占めていて、
島で買えるのもこの2種類のみです。

石垣島まで行けば様々な泡盛を買う事が出来ますが、
入手し易いという理由からもっぱら八重泉を愛飲しています。

今日もこれから飲みます。


授精師さんを抱き込むか、
自分が授精師の資格を取れば偽装は簡単に出来るでしょうね。
自分の仕事にプライドを持っていれば有り得ない事ですが…。
プロがその自覚を持ってプロの仕事をする。
そんな当たり前の事が出来ない人がいるのは悲しい事ですが、
悪意なく、
勘違いで生年月日を間違えてしまう生産者はこの島にもいます。
詳細は書き込みませんが、
完全に放牧状態の母牛群にマキ牛を…
登記登録を手伝う時に明らかに生年月日を間違えてそうな牛を見る事があります。
一応ひと声かけますが、
そのまま登記されるケースが多いです。
ヾ( ´ー`)
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教えて下さい (第一花国)
2008-10-25 22:56:11
10/24 東京食肉市場で全国肉用牛共励会が開催されて名誉賞(第一花国)が797万円で落札された。落札したお肉屋さんはどういうふうに売りさばくのか心配します。何かメリットがなければ落札しないと思います。名誉、プライド、男気などあると思いますがそれだけではボタンは押さないと思います。何か裏付けが無ければお肉屋さんは損する事はしない!出品者は嬉しく、意欲が出ますが本当は年間出荷の平均金額が大切だと思います。日本の牛の業界は何か煽るところがあるようです。牛飼いは資産を増やすように経営したいものです。
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南の牧童さんへ (kuroiusi)
2008-10-26 11:48:40
今月初めの子牛市で99.5万円が出たという話をしましたが、安福久号の産子だったのでしょうか。
この種雄牛は、平茂勝号やその血液割合の多い雌の産子用にサシ系の種雄牛として導入されたと聞いています。
ところが、当初色々な系統の母牛に交配した仔牛もみられ、その様な子牛の1頭は、増体もサシも今ひとつでした。
やはり、増体系に交配した牛はそれなりの成績が得られています。

牧童さんが指摘されるような問題を私も感じていました。
だから、今回のような高値に至ることになります。
これは、時の流れで、徐々に解消されるはずです。
種雄牛は次から次へと優れた新牛が出てきますから。

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piyoさんへ (kuroiusi)
2008-10-26 12:09:38
間検の数値は、その通りで、目安に過ぎませんね。
とくに、福栄や安福久の2.6といえば、県有であれば即淘汰廃棄と言うことになるでしょう。
そういうことを考えれば、優れた遺伝能力を持っている種雄牛候補が葬られていったことでしょう。
直接検定でもそのことはあったと感じています。
とくに、但馬牛などは。

安福誉号については、増体系産子では、5等級は相変わらず期待できます。
何しろ、市場へ出てくる産子数が少なくて残念です。

ご心配をおかけして済みません。
目下、「家庭血圧記録ノート」なるを記録中です。
一切の常習薬を服用していない私には、いやな予感がしているところです。
頑張ります。
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第一花国さんへ (kuroiusi)
2008-10-26 12:40:11
今や、第一花国号・安福久号が話題沸騰です。
これらの交配産子は超高価で競り落とされたというニュースも聞きました。

さて、お尋ねの競り価格のことですが、1,000万円以上で落札される例は多々ありました。
果たして競り手は、それでも受かるかと言うことですが、おそらく損はしない仕掛けがあると思っています。
競り手には、卸屋であったり、牛肉の店舗とすき焼き肉屋を兼ねたり、様々だろうと思いますが、これらのセリ手が最も意識していることは、自らの会社のレベルを評価して貰うためではないでしょうか。
その結果、販路であったり、お客さんに高い評価を得て商売が成り立つというものだろうと推測しています。
落札した当該牛が仮に枝肉重量500kgであった場合、精肉歩留まりが、75%であれば、375kgが精肉となります。
平均100g当たりの店舗販売価格を2,200円であればペイします。
日本一であれば可能な価格でしょう。
一方で、生産者は汗まみれ、糞まみれで努力した上での生産品ですから、すべての牛ももっと高く評価して貰いたいですよね。
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