牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の毛替わりと肉質

2008-05-03 19:16:36 | 肥育

写真上は体毛が生え替わった牛で、写真下は体毛の生え替わりが遅れている牛

陸上に棲息する哺乳動物には体毛が生える。当然我々人類も例外ではない。
人の体毛は、栄養条件によって知らず知らずのうちに抜けるのもあれば生えてくるのもある。
牛はというと、毎年生え替わる。冬の寒さが訪れる頃になると、俗に冬毛と呼ばれるが、寒さに耐えられるように、綿様の毛が密植して生える。綿毛様の体毛は、春か終わる頃から自然に抜け落ちる。抜け落ちた後には、いわゆる夏毛と呼ばれる冬毛よりはやや硬く黒い毛が既に生えている。つまり、牛の体毛は毎年2度生えるのである。
この冬毛の生え替わりの時期は、個体差がある。若い牛の場合は、栄養状態が悪い牛ほど、遅くなる傾向がある。
一方肥育牛については、一般的に体毛が生え替わる云々に至るほど、栄養状態の影響は受けていないはずである。それは、常に飽食給餌しているからである。
ベテランの牛飼い達は、仕上げ時に体毛の生え替わりが遅れている牛は、肉質が良いという。そう言われて注視すると、その傾向は否定できない現実がある。それは、前述したが、俗に牛が枯れるという表現があり、この状態の牛は、皮下脂肪などの体脂肪が減少することと、枝肉のきめ締まり及び肉色と肉の光沢が改善される。俗に言われる「あがり」が良くなる。但し、体毛のこの現象が、脂肪交雑についても良好ならしめるとは必ずしも断言し得ない。
体毛の生え替わりが遅れる牛は、つまりは牛が枯れている状態を指しているようである。


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