前回の研修見学会の2軒目の産直牧場である。
口蹄疫感染を懸念して、シューズカバーが準備され、開口一番「最近外国へ行った人の見学は出来ません」であった。
飼育頭数は1,100頭のうち、160頭は繁殖雌牛で一環経営牧場であった。
興味を惹かれたのは、この繁殖部門である。
先ず、美味しい牛肉を生産するための素牛確保のために繁殖を始めたという。
その後、繁殖用雌子牛を導入する際、但馬牛では小格のために飼いにくい。
肉質系で少しでも飼いやすい素牛作りのため、但馬系の血の濃い他所の雌子牛を導入し、それに兵庫産の精液を交配して、オリジナル但馬牛を生産していた。
それらから生まれ肥育され、BMS11~12の成績がでた母牛は、著明な種雄牛間で受精卵を増産して他牛に移植して素牛を生産しているという。
繁殖牛群の個々は、顔品や角質が良好で品位があり、見るからに但馬牛群であった。
分娩房では、分娩用のセンサーや360度を写せる監視カメラとその映像がパソコンで確認でき、畜舎を離れているときは、携帯電話にもLIVEで受信できる仕組みが取られていた。
分娩直後の子牛はカウハッチで1週間程度飼い、その後は哺乳ロボットに替えて集団管理に移行していた。
一方、繁殖雌牛の管理については、妊娠が確認されるまでは、写真下のような広い運動場を利用して、運動や日光浴をさせ、妊娠が確認されれば、写真上にあるように乳牛の連動スタンチョン様の牛床に妊娠牛を並べて繋養し管理されていた。
畜舎から道路を隔てたところに、産直及び飲食用の建家があった。
この建家の中で、畜主の複合経営の内容について、自信と意欲満々の講釈が続いた。
産直するには、商品に特色が必要であり、それは「美味しい牛肉」で勝負していると言い、美味しい不飽和脂肪酸含量の高い牛肉を生産していると熱弁であった。
75才くらいに見える畜主はパソコンを持ち歩き、新情報を入手し、プラスになることは即試すという意欲の持ち主でもあるようであった。
新技術もさることながら、哺乳ロボットの導入に関連助成を受けるなど、経営手腕は一筋縄ではなく、参考になる事例が多々あった。
畜主曰く「とにかく牛と会話していれば、何らかのアイデアは浮かんでくる」同じような助言を故上坂章次京大教授から聞いたことを思い出した。
牛に関わり経営にかけている拘りの言葉なのであろう。
店舗の周りには、テレビ取材の予告チラシが貼られていた。