肥育現場でなかなか思い通りに行かないのが、素牛選定である。
最近、僅かではあるが肥育成績が好転しつつある。
肥育牛の飼養管理は従前通りであるが、好転の兆しが出始めた決定的な理由が定かでない。
一般的には、素牛の能力、餌の給与パターンに何らかの変化などが考えられる。
このうち、素牛選定については、産地や産地で利用されている主要種雄牛の影響、子牛の育成技術などの関わりが考えられる。
これらの他に競り価格も重要なポイントになる。
この半年間に出荷した肥育牛について、素牛の競り価格が大まかに50万円以上、40万円台、30万円台、それ以下について、差益について集計した結果、30万円台が最も高い差益を得ていることが判明した。
これらの各ランクでの上物率も30・40万円台が高い値であった。
ただ、BMS値の平均は競り価格が高いほど高い値となり、販売価格も高いが、差益となれば逆転している。
この最大の理由は、素牛価格の差に対して販売価格に同様の差がないことである。
飛び級クラスがあって平均的には数値を引き上げているが、どのランクからも等級の分布が均等で似かよって大差ない。
これは、和牛の血統が全国的に斉一化されてきたことも、その一因と判断している。
このところ、50万円台が3等級になる一方で、30万円台の素牛が連続してBMS10を記録した。
購買担当者は複雑な面持ちのようであるが、高額牛が赤字と言うことではないことから、高額牛の見方を変える必要はない。
当方に限っては、結果的に、子牛市場における平均価格を「中」とするならば、「中」および「中の下」程度の素牛がねらい目と結果が出た次第である。