宮城県が繋養している茂洋という著明な種雄牛がいる。
各地の枝共で秀逸していることから子牛市場では茂洋ブームという話も伝え聞いている。
この産子を導入することを考えたほどである。
その宮城県産の肥育牛が福島県産に次いで出荷制限になるというニュースを新聞で知った。
このように原発事故がもとで、国民生活に多大な影響が次から次に明らかになるにつれて、震災復興は着々と進んでいるという菅総理の発言を度々聞くにつれて、東北の農畜産関係者はむなしささえ感じておられることであろう。
先の日本農業新聞の子牛市場の出荷頭数調査では、曽於中央家畜市場を始めて抜いて、日本一の子牛生産県となったのが宮城県の家畜市場であった。
今日に至るまで和牛の子牛生産に官民一体となって意欲的に取り組んできた宮城県の生産者に、今回の放射能汚染は計り知れない打撃を与えてしまったのである。
まさかのまさかである。
国の行く末を傲慢と高圧的に導いた国の指導者らが執った政策のツケが広島や長崎に原爆が投下され、多くの人命が奪われ、同時に原爆病で多くの被害者が苦しんできた。
今回の福島原発事故は、未知の世界に夢を抱いた政治家や学者の傲慢さがもたらした原発行政のツケであったことは否めない。
また宮崎県での口蹄疫の発生と拡大同様に、今回の放射性セシウム被害も、いずれも初動時の対応に問題があったが、今にして思えばそれぞれの危機管理のマニュアルが、存在さえしていなかったのであろう。
稲ワラの給与制限が徹底しなかったことからも、その不備が伺われる。
国や自治体は、口蹄疫や津波被害への貴重な教訓を、今後の係る伝染病対策や災害対策に、生かして貰うことが国民一人一人の偽らざる願いである。
こうした災害や伝染病発生時からその後の対応マニュアルは、常に国民へ周知されなければならないが、菅総理は、各省庁へそのマニュアルの制定について、通達を出しておられるであろうか。
政局目当てのマニュアルよりも災害時のマニュアルの方が、国民生活には重大事であることを重々ご認識されているであろうが、現状では、一抹どころかただならぬ不安を抱かざるを得ない。