牛を管理し、暇があれば牛を丹念に観察している御仁なら、写真の意図が理解できるはずである。
つまり、痒いところに手が届かないところを撮ったつもりである。
牛は、舌が手の代わりになると前述したことがある。
写真の牛は、舌足らずなのか、舌の使い方が下手なのかもしれないが、大方の牛は、頸を大きく揺らしながら背中の痒いところを舌先に力を入れて掻く。
また、尾をうまく振り回してハエやアブを追っ払らう。
このように絵になるような埃まみれの△の形状を残している牛を見ることは希有なことである。
日常管理の中で繁殖雌牛であれば、牛刷毛を使って背中をブラッシングするが、肥育牛の場合は余程のことがなければ刷毛を使うことはない。
それにしても、頸を後10cmも左右に振り回せば、痒いところに届くものを。
その後、筆者が取った行動は言うまでもない。