低迷中の肥育経営についてのコメントを頂戴した。
和牛の子牛相場は、全国的に下落の傾向にあり、今後も暫くはその傾向が持続されることが予測されている。
しかしながら、素牛価格が下がっても現行では、枝肉価格も低迷中で差益が残らないのも事実である。
このような状況に至ったのは、景気低迷に連動している潜在的な牛肉消費の低迷に加えて、東日本大震災と原発事故の影響、ユッケなどによる食中毒の影響などによることは周知のことである。
食肉卸売業によれば、ユッケに用いられていたモモ肉や一部のウデなどに加えて、内臓とくに肝臓の動きがかなり減少し冷凍庫が満杯になりそうだとのことである。
この状況はお盆前までは続くと予測しているようであった。
最近の肥育経営では、大げさに5等級:4等級:3等級の格付け割合が25:50:25%であれば、平均差益は±0円と見なした考え方である。
現状では、この±0円を確保するのに四苦八苦の状態である。
これを打開するには、①当たり前のことであるが、素牛選定時に数揃えでなく、子牛を見抜く審査眼を高め、仕上げ時の枝重や肉質レベルを想定した競り価格の上限を設定してセリに挑む。
②その他の必要経費の低コスト化。
③①②の成果を上げることにより3等級でも損をしない肥育を行う。
この3点を重視して取り組んでいるところである。
一方、子牛価格の低迷は肥育サイドでも、大きな不安定要因の一つである。
この数年、西日本を中心に子牛生産頭数が年ごとに減少しているが、子牛価格の低迷が、この減少に拍車が掛からねばと案じられる。
東日本大震災で好調であった東北地方の子牛生産にブレーキが生じたこともかなりの重大事である。
子牛生産と肥育経営の関係では、あちら立てればこちら立たずの関係であるが、景気動向が好転し、牛肉の消費が回復することにより、互いの関係も改善し互いの経営も安定する。
当方でも、100頭足らずの子牛生産部門もあり、部門ごとに赤字を出さない経営を目指しているところである。
そのために子牛生産でも、データに基づいた交配計画や、出荷時期を早めたり、配合飼料の給与体系を抑えるなどで低コスト化を図って、1頭30万円でも赤字にならない経営の確立を目指している。