肥育が中盤に入り、最も増体する頃になると、この様なビックリするような光景を見かける。
慣れない頃は、牛には余計なことであったろうが、鼓脹症ではないかと疑い起こしてしまった経験がある。
この様相は、決して病的ではなく正常な肥育牛の寝姿なのである。
むしろ、増体状況が好転している得意な姿でもある。
食って呑んで反芻が一段落すれば、この状態になるは理想的な肥育牛の日常サイクルの一齣に過ぎないのである。
これが肥育末期の頃になっても、この様な寝姿では少々問題である。
第一、仕上げ時にこの様に食欲があって、ひっくり返るほどの勢いがあっては、まだ仕上がっていない証拠みたいなものである。
肥育末期の頃になれば、体重も800kg前後となり、次第に食い込み量も減少し、牛の動きも俊敏さが欠けてくる。
仕上げ期の牛がこの様な体勢を取ることは、寝起きがままならず、起きあがろうとする動作をやたらと繰り返すが余り、心臓や呼吸器等に圧迫がかかり体調の不調を来たし、非常に危険が伴う原因になり易いのである。
肥育牛の管理は、そのステージ毎の食い込みや体調の変化の特徴を常に把握して監視を行うことが肥育担当者の常識でもあり、不可欠で重要な技術でもある。
とくに肥育末期は、過剰な肥満状態のために、事故の発生如何は紙一重の状態なのである。