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牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

近畿東海北陸連合肉牛共進会

2008-11-25 23:54:47 | 予防治療

今年の近畿東海北陸連合肉牛共進会は、京都・滋賀・静岡・兵庫・福井・三重の6府県が参加して神戸市で開催された。
今大会の最優秀賞は、去勢牛に三重県、雌牛に兵庫県が選定された。
同共進会の06~08年の3年間について調査したが、この3年間は神戸市と京都市での交互開催となっている。
今大会から撤退した石川県と富山県のデータは除外して集計した。
①出品県別の成績
◎頭数
○去勢牛 兵庫44 京都43 滋賀29 福井18 静岡11 三重7 計152頭
○雌牛  三重35 滋賀29 静岡27 兵庫24 京都15 福井5 計135頭
◎枝肉重量(kg)
○去勢牛
  滋賀559.4 京都550.17 静岡537.63 三重524.3 福井511.2 兵庫448.87 
○雌牛
  滋賀497.97 静岡486.4 京都473.3 福井472.73 三重461.8 兵庫405.27
◎BMS no.
○去勢牛
  滋賀9.17 静岡8.55 福井7.89 兵庫7.3 京都7.0 三重5.86
○雌牛
  三重8.09 静岡8.04 滋賀7.79 兵庫7.17 京都7.07 福井5.4
◎5等級率(%)
○去勢牛
  滋賀82.97 福井73.8 静岡72.23 兵庫40.5 京都36.8 三重33.33
○雌牛
  三重63.13 静岡60.1 滋賀52.83 京都46.1 兵庫45.9 福井38.9
○雌雄  
  滋賀67.27 静岡64.93 福井61.9 三重57.13 兵庫42.77 京都41.53

出品頭数は、京都・兵庫・福井は去勢牛を、静岡・三重は雌牛に力点を置き、滋賀は雌雄同数の参加であった。
枝肉重量は雌雄とも、滋賀が最も大きく、滋賀の素牛は熊本と宮崎産が大部分を占めており、その影響が拘わっていると思われる。
兵庫のみが出品牛の全てが自県産で占められ、但馬牛の特徴と神戸ビーフの認定条件の枝重制約もあり、雌雄とも最も小さい重量であった。
BMS no.は、去勢牛では滋賀が29頭で9.17と最も高く、次いで静岡・福井で肥育先進地である兵庫と京都が今一の成績となっている。
雌牛では、雌に力点を置いた三重が8.09で最も高く、僅かの差で静岡・滋賀、その後に兵庫・京都が続いている。
出品頭数の内5等級を占める割合は、去勢牛ではダントツで滋賀、雌牛では三重が高い割合を示した。
雌雄平均では、滋賀・静岡・福井・三重・兵庫・京都の順位となり、上位3県の成績には目を見張る健闘が光っている。
これらの成績には、出品各畜主の肥育技術に加えて、優れた素牛の導入技術が深く関わっていると判断している。
 (写真は前回大会)


自給率

2008-11-09 13:11:27 | 予防治療

今朝の朝日新聞に「食糧自給率って?」と言うテーマが連載の「ののちゃんの自由研究」欄にあった。
小中高生向きの本欄であるが、誰でも理解しやすい図解入りである。
そもそも自給率とは、日本であれば、日本国民が食している国内で生産されている食糧に占める割合と簡単に思っていた。
が、最近は、日本人が食しているカロリー量で自給率を算出しているのだそうである。
当紙を愛読されていない方のために、その一部を紹介する。
その具体的な算出基準は、国内生産される食糧の一人1日当たりの熱量が現在1,016kcalで、一方国内で一人1日当たり消費する食糧の熱量は現在2,551kcalだそうである。
この一人1日当たりの生産熱量を分子に、消費熱量を分母で除し100掛けたものが、所謂日本の自給率と言われているようである。
その答が、39.8275と言うことで、一般的に40%に満たない自給率などと言われている。
新聞によると、主要先進国ではオーストラリア270%、カナダ140%、アメリカ・フランス125%、ドイツ・イギリス・イタリア80~60%、スイス・韓国50%で、日本は最下位である。
日本国内で消費している食糧熱量の中で、60年から07年の47年間で、米は48.3%→23.3%とかなり減少し、その代わり畜産物と3.7→16.6%、油脂類は4.6→14.2%と増加している。
その他の小麦や魚介類などはほぼ変化はない。
大まかに以上が現状のようである。

近年は、外国の大干ばつや農薬残留など様々な事象により、食品等の輸入が減少することがある。
これらを考慮に入れると、生産主要国に一大事が起こり、輸入がストップする可能性を否定できないのではないだろうか。
政府は、それらが起こらないために、国際親善を深めるといい、多額の援助を施してきた。
本当に政府の言うとおり、食糧の安全保障は盤石なのだろうか。
ヨーロッパの国々は、我が国とは、その発想が全く逆である。
食糧に対する安全確保に、消費者が理解を示し、生産者へ国費で援助している。
それらの政策により自給率を高めていることが、上記新聞の紹介からも伺える。
国内における食糧備蓄は、有事が生じた場合、たちどころに空っぽになると言われている。
そのような事態が起きた場合、大都会の消費者らは一体どのように対処するであろうか。
日本の消費者は、問題が起きても何とかなるだろうとタカをくくっているようであるが、低開発国の人らだけのことではなく、自給率40%では、60%の国民は食糧難民になる計算となる。
戦争だけが国際親善を損なうのではない。
伝染病であったり、化学薬品や地震災害などの気象異変など国内外の影響は、食糧生産に危機なる現象を来さないとも限らない。
日本の農村地帯には、ある時だけの白ご飯という諺がある。
また、農家は生かさず殺さずと言うのもある。
農家の貧しさを物語る昔ながらの格言であり、農家や生産者を実に軽視した国策の姿が見えてくる。

余談であるが、写真は、今日の質素な朝食である。
一口目は、アレルギー体質の筆者が10年来手作りしているヨーグルト(手前右端:手作りイチゴジャム入り)であるが、その甲斐あって数年前より、鼻炎から解放された。


食肉業界の内情

2008-11-08 15:06:30 | 予防治療


再び、先日の会合での話である。
食肉の流通関係者も様々である。
高級牛肉を取り扱う老舗、高級牛肉から輸入牛肉に加えて、豚肉や鶏肉などオールマイティーの店舗、これらを取り扱い、パック詰めしてスーパーなどへ卸す卸売業者、輸入牛肉や乳用種や豚肉鶏肉など安価なものだけを取り扱う業者、ウインナーやハンバーグや唐揚げなどを加工して販売する業者、ブロイラーを九州で展開し、関西のスーパーへ卸す業者等々、実にその業種は多種多様である。
生産から加工販売までの一環経営されているケースは、順調な経営のようであり、消費者に出来るだけ安価で提供することをモットーとしている業種では、必ずしも順調な経営ではなさそうであった。
「売れば売るほど損することが、これまで何回もあった。」といい、現況のように消費が停滞している時は、経営はかなり厳しい。
「だから、こういう時は、かかる業界だけが苦しむのではなく、卸も小売りも、そして生産者にも赤字を被って貰いたい」という発言が飛び出した。
今のように、消費停滞などの社会状況を生み出したのは、何も生産者や流通関係者ではなく、政府の舵取りにこそ問題があり、景気の停滞や偽造問題を引き起こす一部の悪徳業者にその原因がある。
個々の生産者が犠牲になることは、生産意欲を低下させ、大前提である自給率の低下に繋がりかねない。
また、かかる業界では、BSE発症以降、食肉の販売に対して、生産履歴をパックごとに貼付する義務が生じた。
このことのために、新たな部署を設け、必要以上の人手と時間を費やさなければならない。
これらの安全性の確保のために、コストが上がり、その分消費者が負担するか、経営者が負担するか、業界を圧迫しているようである。

畜魂慰霊の日

2008-11-07 23:57:59 | 予防治療


牛を飼い、牛たちの生命を犠牲にして生計を立てたり、それらを食糧としていること、また飼育中に治療の甲斐無く敢え無く亡くなったあらゆる畜魂に対して、哀悼の気持ちと感謝の念をこめた慰霊法要が、関係者の参列を仰ぎ、本日筆者が関係する牧場で厳かに執り行われた。
この法要は、毎年開催され、開場以来27回目であった。
行政関係者、地域行政役員、農業共済診療関係者、食肉流通関係者、飼料関連業者、牧場関係者など総勢37名が、礼服に身を固め、御年90歳になる住職の読経の中、丁重に焼香を重ねた。
参列者には、それぞれの思いの中での慰霊であったであろうが、筆者自身は、畜魂への慰霊とともに、常日頃、彼らへの惜別の悲しみを心底に潜ませながらの胸の支えの幾ばくかが、その石碑に手を当てることで回避できたと考えている。
飼育の途中にある家畜たちには、早期発見早期治療を徹底して、斯様な犠牲のない様に、心新にした次第である。
ちなみに、この畜魂慰霊法要に際して、先月天寿を全うして天国に逝った故平茂勝号の御霊にも、同様に合掌し慰霊した。
同牛の産子はこちらでも、約500頭が飼育され、最も優れた成績を記録している。
現在でも10数頭が在籍するなど、深い拘わりがあった。

追記であるが、同牛は、先月15日に死去し、同日の拙欄で同牛の産子は平成17年3月現在で、245,000頭と記したが、その後今年まで、約315,000頭に至ったとのことである。
まさに、歴史的な貢献であろうと確信している。




さらに調べる

2008-10-30 00:38:49 | 予防治療


ある県産の去勢牛1,810頭のうち、379頭が5等級に格付けされ、5等級率は20.9%であった。
日格協が報告している黒毛和種の5等級率を上回っている。
因みに上物率は74.7%であり、子牛市場価格で「中の下」ランクにしては、まずまずの成績であると判断している。
これらを産次別に調べてみる。
先ず、5等級379頭の産次別分布であるが、初産~2産で34.9%、3~5産37.5%、6~8産16.1%、9~13産まで7.7%、産次不明4%であった。
産次が若いほどその分布割合は高い。
この数字から、必然的に考えられることは、産次が若いほど、産子数が多いための影響があることが考えられる。
そこで、出荷頭数1,810頭について、産次ごとの頭数に対する5等級率を調べると、初産~2産次27.6%、3~5産次22.5%、6~8産次14%、9~13産次14%、産次不明25.9%であった。
同様に、産次別のBMS値についても6.31、6.00、5.63、5.44、5.77であり、これらの結果は、前者同様、産次が若いほど、5等級率が高いと判断できる。
この数字は、限られた例数からの目安に過ぎない。
産次が若いほど肉質がよいことの理由には、交配する精液を産する種雄牛が年々新牛の発現により、より複雑な遺伝子を有し、その相性が合わなくなるケースも考えられる。
これは、種雄牛の場合も若齢時の産子は好成績であるが、12~13歳以上になれば、統計的にはその成績が落ちてくる傾向がある。
この場合も、年々若い雌牛群との交配による相性の影響ではないだろうかと判断している。
若い牛を対照にした成績が、良好であると言うことは、年々和牛のかかる改良が進展していることに他ならない。

ところで、牛の名前のことを前述したが、上記379頭の5等級のうち、同一名前の多いランキングは、①やすこ 6 ②たかこ・はるみ 5 ④あきこ・かつこ・さちこ・はるか・みつこ・ゆきこ 4 であった。


和牛雌牛の命名

2008-10-28 19:55:41 | 予防治療


導入牛をパソコン管理するようになり、5年が過ぎた。
そのお陰で、帳面が不要となり、画面を開けば、個々の牛の詳細が一目瞭然である。
出荷牛の詳細なデータ入り一覧表や写真入り生産履歴なども行番号さえ入力すれば忽ちプリントアウトできる。
出荷後の肥育成績や販売データなどの入力で、様々な分析も楽に出来る。
楽でないのは、導入時の詳細なデータの入力である。
数字であったり、英字であったり、漢字など日本語であったりである。
問題は、日本語入力で、種雄牛の代々三代祖であったり、母牛の名前、導入牛の名前、生産者や産地名など複雑である。
種雄牛については、賢いパソコンのこと、ちゃんと名前を覚えていてくれるので、頭文字がダブらなければ、「も」と入力すると「紋次郎」が現れる。
だから意外と楽に入力が可能なのである。
苦労するのは、母牛の名前である。
「かめただ4の2」などと延々入力するのに骨が折れる。

母牛の名前は、当然子牛時に命名されるが、それらの名前を記録しながら、様々な思いが浮かんでくる。
以前は、「安福×しらゆり」の産子で雌子牛であれば、確か「しらふく」、雄子牛であれば、「安百合」という法則があった。
今では、それはなく、子牛から親牛を判断することは出来ない。
具体的な名前の付け方には、畜主の家族愛、趣味、スーパースターや芸能界への憧れ、地域愛や個々の生活感など様々な背景が伺える。

既に出荷済みの約3,000頭の母牛の名前に目を通すと、畜主やその家族の名前、歌手であろうか「あきな・せいこ・ひばり」、女優「ありさ・さやか・ちはる・さゆり」、美しさを求めているような「あんくるい・おりひめ・ふくひめ」、地域愛「すずらん・ささゆり・はいびすかす」、「いちろう・しんざん」、未来志向「きぼう・のぞみ・みらい」、皇室の「きこひめ・かこ・あい」、行きつけのお店「いえらいしゃん・きゃさりん・きらり」など、これぞ牛の名前かいと言いたくなるような名前ばかりである。
これらの名前を入力しながら、つい、子供の頃の同級生たちの名前が次々に現れるので、彼女らを思い、どう暮らして入るであろうかと余計なことではあるが、懐かしさを抱かせてくれるのである。

そして、これらの名前のランキングである。
①たかこ 40 ②みつこ 24 ③ふくこ 20 ③しげこ 20 ⑤はなこ 19
⑥かつこ 18 ⑦あきこ 16 ⑦さくら 16 ⑦さつき 16 ⑦めぐみ 16

このランキングから、畜主の身回りの女性が引用されているのかな?

牛の写真(2)

2008-09-19 16:14:21 | 予防治療





2頭の写真は、同一の牛である。
全く昨日の写真と同じ手法で撮ったものである。
写真上が遠距離ズームで、下は近距離撮影である。
体幅や色合いは昨日同様である。
一般的に遠距離で撮ると、その被写体/距離の関係から被写体すなわち撮る牛の遠近感が殆ど表せない。
近距離で撮ると、被写体/距離の関係から、被写体の遠近感がしっかり表される。
そのため、近距離では、牛の手前が大きくなる、つまり顔が大きく、後ろの方は小さく撮れる。
遠距離では、牛全体が同様の大きさに撮れる。
これらの関係から遠目に撮った方が、バランスよく撮れることになる。

牛の写真テクニック

2008-09-18 23:03:41 | 予防治療






写真上は、腹容が有って、素晴らしい貫禄の牛である。
同下は、ごく普通の体幅で必ずしも素晴らしいとは言えない。
しかし、2枚の写真は、同じ牛を同じカメラで同じ時に撮ったものである。
撮り方によって、こうも異なる。
何故、同じ牛なのにこの様な違いが表現できるかである。
実は、実に簡単なことなのである。
同上は、遠くからズームアップさせて撮り、同下は、近距離で撮っただけである。
離れたところから撮ると、被写体の色合いも若干変化する。
牛を格好良く撮ろうとするなら、こうしたテクニックを駆使することで、きゃしゃな牛でも貫禄牛となるのである。
また花などをマクロ撮影すると色彩豊かに撮れる。
牛のそれのヒントもそこらにあるようである。

飼ってはいない!

2008-08-21 23:13:15 | 予防治療


牛の写真ではない。
困った侵入ものである。
最近は、一家だけではなく、2~3家族の巣立ったうり坊どもが、昼間堂々と現れる。
夜はと言えば、それらを生産した親猪どもが侵入して、わらなどを散らすなどの悪さをする。
施設の周囲が山林であることが、彼らを侵入し易くしているらしい。
害虫駆除を自治体に申請中であるが、その期間が過ぎたとのことで、目下門前払い。
近頃は、猟師の数が高齢化で激減しているとのことであった。
肥育牛に実害はないが、畜舎の外には、牛の糞かと思えるような大きいものを散らしている。
悪いことだけではない。
敷地の雑草が生えそうなところは、その殆どを鼻先で堀巡らし、掃除刈りせずにすむ。
ある人が、子牛が高すぎるようなら、天然肉を飼ったらもとで無しで将来性があるんじゃないか、と皮肉る。
実は、 彼らだけではなく、鹿の一団も来ているらしい。
山野の状況に変化が起きていることだけは確かなようである。
後は烏どもである。
先日、低・高周波とテープで騙された。
烏より人間の方が手に負えない!