深田亨「勇者カガセオ」(《幻想と怪奇11》所収)を読みました。
主人公は作家志望の青年。仕事も辞め、アルバイトしながらせっせと小説を書いては応募したりしている。しかし、まだどこにも引っかからない。
ある日、「こう○んしゃ」(聞き取れなかった)の編集者と名乗る女から電話があり、「今度作品集を出すので、先生にもぜひお願いしたい」と。
天にも昇る気持ちになるが、しかし、待てよ、ただの作家志望者にそんないい話があるものか? 稿料の話もはぐらかされたし。
とはいえ、過去に同人誌に書いた「香香背男」という作品を換骨奪胎した作品を仕上げる。われながらなかなかの出来だと自信を持つも、待てよ待てよ、もしかしたら稿料どころか、あとで掲載料をふんだくる詐欺かも。
そう思った主人公は、懇意にし、信頼もしている古書店うみひこ堂の店主に相談にいく。
そういうことなら、と、店主は主人公に策を授ける。うみひこ堂の二階は喫茶店になっている。そこを借り切って、くだんの編集者を呼び出し、自分は喫茶店のマスターに扮して、その編集者がまともな者かどうか、観察してみよう。
やってきた編集者は名刺を差し出し、そこには講談社でも光文社でもなく、「紅蛮社」と書かれている。一気にがっくり疑惑マックスの主人公だったが、書き上げた原稿を読みきった編集者、これは一世一代の傑作だ、と大絶賛、主人公から無理やり原稿の束を取り上げ持ち帰ろうとするも、うみひこ堂店主の機転で、からくも取り戻すことに成功する。
その後もう一回、編集者と喫茶店で会うのですが、一回目だったか二回目だったか、店主は、編集者が手にしていた企画されている作品集の目次を写真に納めることに成功する。
そこに並んでいた作家名は、
――牧野信一、渡辺温、藤久生、久坂葉子、山川方夫、伊藤計劃、真城(名前は切れていて見えず)……
いやー面白い面白い!!
みなさん、ぜひこの謎解きをしてから、本篇お読みくださいね\(^o^)/