ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

源氏物語 <若紫2 紫の上>

2009-01-20 | 源氏物語覚書
この巻は『源氏物語』の中でも、後の展開に関わる重要な部分です。

ひとつには、<若紫1>に書いたように、
義母である藤壺が光源氏の子を懐妊します。
それは、自分の子が帝の子として生まれることであり、
そのことが彼の人生に栄光と苦悩を与えることになります。

もうひとつは、紫の上の登場。
さまざまな女性と関わりを持つ光源氏ですが、
生涯を共にする紫の上は彼にとって特別な存在。
その紫の上がまだ少女のときに出会います。


光源氏は、北山で見かけた藤壺によく似た少女を忘れることができません。
少女の面倒を見ていた祖母の尼君が亡くなり、
父親である兵部卿の宮(藤壺の兄)が迎えに来る直前に
なんと少女を奪って連れて帰ってしまいます。
つまり、これって、今で言う少女誘拐!?拉致!?

光源氏にすれば、藤壺との辛い恋のうさばらしに身代わりの少女をそばに置き、
一流の教育をし、素晴らしい女性(自分の理想の女性?)に仕立て上げたい、
という願望があったのです。

母桐壺への思慕が、義母藤壺への憧れとなり、
藤壺に満たされぬ思いが、彼を少女の略奪という
とんでもない行動にかりたててしまったのですね。

この光源氏という人、すんなり手に入ったものにはすぐ冷めてしまうようです。
葵の上や六条御息所という高貴で美しい女性がいながら、
障害の多い恋にのめりこむ困ったタイプなんですね(笑)

この紫の上も、祖母である尼君に引き取りたいと願い出ても、
まだ幼いからとなかなか許してもらえなかったわけです。
そうこうしているうちに尼君が亡くなり、
正妻やその子がいる父親の家に引き取られることになり、
そうなったら面倒だ、とばかりに強引に連れ去るわけです。


以前は、この紫の上はシンデレラのような女性だなあ、と
ある意味羨ましく思っていました。
幼い頃母が亡くなり、頼りにしていた祖母も失って、
父のもとへ行けば継母にいじめられたかもしれない。
それが、源氏のような今をときめく素敵な男性に庇護されるのですよ~

でも、一方で彼女は光源氏しか知らず、また後ろ盾もないため、
彼に頼らざるを得ない不安定な身の上です。
心のうちでは常に不安を抱えていたのではないでしょうか。

また光源氏の浮気に嫉妬したくても、そういうことをするものではない、
と教え込まれているために、自分の心をずっと押し殺してきたと思うのです。
美しく、教育もあり、何でもできる素晴らしい女性ではありますが、
ひたすら光源氏を待つしかない、かわいそうな女性といえるかもしれません。

年末にテレビを観ていたら、瀬戸内寂聴さんが源氏の話をされていて、
光源氏の父桐壺帝は藤壺と光源氏の関係を気づいていたのではないか、
みたいなことをおっしゃっていました。

それでは、紫の上はどうだったのでしょう?
藤壺と光源氏のことを気づいていたのでしょうか。
自分が藤壺の身代わりだった、と知っていたのでしょうか。

生涯光源氏に大切にされてきた紫の上ですが、
彼女の人生は果たして幸せだったといえるのでしょうか・・・。


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