ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

『一瞬の風になれ 第一部』

2007-09-04 | 読むこと。


     『一瞬の風になれ 第一部
              イチニツイテ』
         佐藤 多佳子


先日、世界陸上が閉幕しました。
私はほとんど見ていないのですが、
ひとつだけ「見たい!」と思っていた競技があります。
それは、400mリレー。

図書館で10人以上の予約待ちだった『一瞬の風になれ』の
順番がようやくまわってきたのです。
世界陸上開幕直前のことでした。

あちこちで話題になったこの作品は、
高校の陸上部を舞台にした青春スポーツ小説です。
なんともタイムリー


スポーツものといえば、私たちの世代では
『巨人の星』、『アタックNo.1』、『エースをねらえ』などの漫画が大人気。
中学校のクラブ選択は好きな漫画で決めてたようなものでした。
(年がばれるなあ・・・

そして今やそれが児童小説の分野にもなっているのですねえ。
(ヤングアダルトというのでしょうか)

私も子どもたちも森絵都さんの『DIVE!!』や、
あさのあつこさんの『バッテリー』にはまりました。
特に『DIVE!!』は森絵都さんの作品の中でも一番好きなくらい。

さてさて、この『一瞬の風になれ』はそれを超えるでしょうか!?


第一部はまだ序章で、それぞれの人物紹介といったところ。
サッカーから陸上へ転身した主人公新二や、
友達の天才的スプリンター連など、
いまどきの若者が魅力的に描かれています。

また、陸上初心者である新二の目を通して、
読者にも陸上競技のことがわかりやすく説明されます。

「速く走る」という、ただそれだけのことが、
いかに人を惹きつけ、感動させるのか。
走るのが苦手な私にも、
少しは理解できるような気がしてくるから不思議。

ストーリー全体にテンポがよくて一気に読めます。

今の若い男の子の雰囲気がよく出ていて、
そういう意味でこの作品が20年後、30年後に読まれるときは、
あちこち注釈がいるだろうなあ、と思ってしまいました。

そのころBUMP OF CHICKENを
知ってる若者は少ないでしょうから(笑)。

とにかく、この作品は素直で爽やか~という言葉につきます。
そういえば『DIVE!!』も『バッテリー』も、
男の子たちが主人公の作品を書いているのはたいてい女性作家。
男性作家はこういうの、書かないのでしょうかね~。
(私が知らないだけかもしれませんが)

主人公たちが(脇役でさえ)爽やかで、一生懸命で、かっこよくて。
だから女の子の読者が(オバサンも含めて)夢中になるんだろうなあ。



そうそう、400mリレー。
画面に釘付けなって見てたのに、
ほんとあっという間に終わってしまいました。

この一瞬に賭けるアスリートたち。
本当に風になって駆け抜けていったみたいです。

長い距離を、自分のペースで、
自分と戦いながら走るマラソンと、
短い距離を、いろんな条件に左右されながらも、
持てる力を一瞬に出し切る短距離走と。

形はちがっても、ゴールに向かうひたむきさは同じですね。

まっ、ウチのおとーさんみたいに、
美味しいビールを飲みたいがためにゴールを目指す、
というオヤジもおりますが・・・ 

コメント (6)
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