骨髄移植 治療に有効
北大大学院研究科皮膚科学分野(清水宏教授)の阿部理一郎講師(41)と藤田靖幸医師(32)らの研究班は、骨髄移植が難病の表皮水泡症の症状を改善させ、治療に有効なことをマウスで確認した。最新の米科学アカデミ-紀要(電子版)で発表した。
北大研究班マウスで確認
皮膚表面の表皮とその下の真皮をつなぎ留めるタンパク質がないために起きる同症は、根本的な治療法がない。今回の研究は骨髄移植が有力な治療法となる可能性を示した。研究班は、原因タンパク質の一つ、17型コラ-ゲンが生まれつきない同症のマウス20匹に、健康なマウスの骨髄を移植。その結果、移植した骨髄の一部が皮膚細胞に分化し、8割以上のマウスの皮膚に移植でできた新しい細胞や17型コラ-ゲンを確認した。水疱ができにくくなるなど皮膚の症状も改善した。研究班によると、同症の根本的な治療法としては、欠損タンパク質の遺伝子を患者の皮膚細胞に導入する遺伝子治療や、タンパク質自体を皮膚に補充する治療法か゛挙げられるが、まだ研究段階だ。阿部講師らは「今後は、ヒトでも骨髄移植でタンパク質や皮膚を形成できるか確かめねばならない。骨髄移植は白血病などの治療で既に行われており、他の研究段階の治療法に比べ、障壁は低く、実現性は高い」と話している。
治療法発展に寄与
大阪大大学院医学系研究科の玉井克人准教授(50)=遺伝子治療学、皮膚科学=の話 骨髄移植が有力な治療法の選択肢の一つとなる道を開いた。今回のマウスの実験で、治療の安全性や有効性、メカニズムや課題などを検討、評価できるようになり、治療法の発展に寄与する成果だ。
治療進めてほしい
患者会「表皮水泡症友の会 デブラジャパン」(札幌)の宮本恵子代表(55)の話 毎日のように水泡の処置や患部のガ-ゼ交換で痛みに耐えている患者にとっては、希望となる研究結果だ。治療法がないこの病気が1日でも早く治せるようになるため、さらに研究や治験を進めてほしい。
表皮水泡症
生まれつき皮膚が弱く、ちょっとした接触や刺激で表皮と真皮の接着がはがれ、水ぶくれ(水泡)やびらん(たたれ)ができる。繰り返しできる水泡などで手足の指が癒着したり、できた潰瘍ががんになったりすることもある。国内推定患者(難病)で医療費が助成される。
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