味は何種類ある? 基本は5種類「うま味」は独立
北海道の代表的な料理であるラ-メンは、函館 や札幌、旭川など各地で味が全く違います。この ような味の違いは、ラ-メンの中に含まれている 味物質の種類と割合が異なっているためです。 いったい味というものはいくつあるのかと問われる と、その答えは「何万種類もある」となります。 ただし、味を感じさせる物質は甘味、うま味、苦味、塩味、そして酸味を 有する5種類だけです。これらの味は「5基本味」と呼ばれ、味らいの 中の味細胞で受容されます。このうちうま味は長い間、独立した味で はなく、甘味や苦味など他の四つの基本味が混ざることで生ずると考 えられていました。しかし、私の恩師である栗原堅三・青森大学長が 実験で、うま味が独立した味であることを示しました。うま味を表す言 葉が英語になかったため、日本語のままの「umami」が世界的に使 われています。タンパク質を形作るアミノ酸の一つのグルタミン酸や、 遺伝子を形作る核酸のイノシン酸やグアニル酸がうま味の味物質とし て機能します。昆布だしとかつお節のだしを合わせるとうま味が深まる ことは、古くから知られていました。これは、昆布だしに含まれるグル タミン酸と、かつお節に含まれるイノシン酸の相乗作用です。最近、ア メリカで見つけられたうま味受容体で、この相乗作用が再現され、うま 味が増強されるメカニズムが科学的に明らかになりました。また、トウ ガラシの辛味は、味細胞ではなく、温度を感じる神経で受容されてい ます。(柏柳 誠=旭川医大医学部教授)