サイエンス言誤学=清水 義範著(参考資料)
遺伝子についての記述 遺伝子の発見が20世紀の出来事だというのは、一応そう考えても いいんだと思う。実は、1865年にメンデルが遺伝の原理を発表した のだが、その時に彼は、遺伝がおこるのは体細胞の中に遺伝にか かわる要素があるからだろう、と推測していた。そしいそれをエレメ ントと呼んでいた。次に、1869年にスイスの生理学者ミ-シェルは、 人間の膿(体細胞には違いない)から、DNAを取り出すことに成功し ている。ただし彼にはそれが何なのかはわからなかった。という事実 もあるのだが、やっぱり遺伝子の研究といえば、20世紀に入って、 ト-マス・モ-ガンがショウジョウバエを使って遺伝子の存在をつきと めたことを、初めとしていいだろう。・・・・ 次にヒトゲノムに関する記述・・・・ヒトゲノムの解読が着々と進行して いるらしい。まずその意味を簡単に説明する。ヒトの染色体の中のす べてのDNAを解読し、どこが何をやっている遺伝子なのかを突きとめ るのがその研究である。ヒトの染色体は46本だが、それは両親から 半分ずつ受け継いだ23対なので、23本の染色体を調べるだけでい い。ただし23対目は性染色体で、XとYがあるから、それは両方調べ る必要があり、合計24本を解読するのだそうだ。昨年(1999年)に は、日米欧のグル-プが22番染色体のすべてを解読した。21番の 解読ももうすぐだとか。この研究にはアメリカが熱心で、そこではかな り進んでいるらしい。あと2~3年でヒトのゲノムのすべてが解読され ると言われている。なんだか、大変なことがわかってしまうのだなあ という気がする。(後日の書き添え・それどころか、2000年中にもう、 すべて解読できた、ということが伝わってきた。・・・)ところで、人間の 遺伝子のすべての役割がわかってしまう、というのはどういうことなの だろう。私はそれについて、ちょっと極端な想像をしていた。人間を形 成している情報は遺伝子にあり、そのすべてが解明されるというんだ から、生物としての人間の構造がすべてわかってしまうしいうことなの かと思っていた。この遺伝子が人間を老化させるんだ、とか、この遺伝 子の働きで短気な人が出るんだ、とか、この遺伝子がギャンブル好き のもとだ、なんて。でも、実はそうシンプルな話ではないらしい。遺伝子 の働きがすべてわかったって、人間がなぜこうなのか、がわかるわけ ではないのだ。遺伝子が持っている情報は、どんな時にどのタンパク 質を作れ、という指令である。つまり、遺伝子のことがすべてわかった ら、その次に、その遺伝子の働きのせいでどうなるのか、という次の研 究が始まるのだ。その研究から、病気の原因がわかったり、薬が開発 できたりするだろうと、期待されている。
その後、遺伝子関連の情報を目にすることが多くなりました。例え ば脳にスム-ズに血液が供給されないのは、ある遺伝子の不足に よって起るとか最近の最も重大なニュ-スに再生医療に画期的に 関わるであろう、万能細胞の情報です。これもある遺伝子が重要な 働きをしているようです。人や動物は常に新陳代謝を繰り返し、生存 していきます。これらの根幹をなす、指令役の大元が遺伝子の役割 のようです。この遺伝子の指示によってアミノ酸との合成で酵素を 形成したり、各種のホルモンを排出したり形成したり複雑に関わり あっている。体内で生成されない重要な物質は体外から供給される。 必須アミノ酸などである。体内で日夜、24時間とどまることなく活動 しています。この遺伝子の人に関わる、総数の解析は完了したが、 個々のもつ機能はこれからの研究に待たなければ成らないようです。