2017/08/17(木曜日) 曇り一時晴れ
UHFをVHFに変換したり、SWをVHFに変換するコンバータを
工作して遊んでいるが、ひとつ気になることがある。
このコンバータにはLC発振のLOCを組み込んでいるのだが
使用しているトランジスタのhFEが「2」とか「4」とかの非常に
小さな値になってしまうことだ。
トランジスタ:2SC3355 (fT:6.5GHz hFE:50~300)
hFE測定:SOAR8050(三昔も四昔も前のデジタルテスタ)
MIX回路で使う場合にはこのようなことは起きない。
確かにこの2SC3355はちょっと変わっている。
自作のトランジスタチェッカーでhFEを測定しようとするとメータの針が
ふらふらと揺れ動いたり、手を近づけると更に大きく変化するようになり、
測定ができない。
今までのトランジスタではこんなことは起きたことがない。
そこで今日はこの辺のことを調べてみた。
先ず半田付けのときの温度が悪さをするのか・・・・だ。
使用している半田ごてはANTEX MODEL CX 18W。 こて先は細く尖っている。
半田付けでこてを当てている時間は長くても5秒ぐらいだ。
今回はわざと長い時間(30秒~40秒ぐらい)リードにこて先をくっつけてみた。
(1) テスト前のトランジスタの測定。 hFEは186で規格表の範囲内だ。

(2) コレクタ・リードにこて先を接触させて熱を加えた。

リードに熱を加えた瞬間からメータの数値は上がっていく。
(3) 30秒ばかり加熱した状態のhFEは318にもなった。 (-マークは警告か?)

こて先を離すとhFEは減少していく。

約4分後、手で触ってもほとんど熱を感じない状態になった。
hFEは196. テスト前より+10だ。
(4)

(5) 更に25秒後には192になった。

(6) 次はエミッタ・リードにこて先を触れさせた。
hFEメータの値がふらついた。 トランジスタに誘導作用が働いたのかな?

(7) 約40秒加熱してこて先を離した。
デジタル表示が変化しているので正確ではないが相当大きな数値(300以上)になっている。

(8) 熱を感じなくなった頃のhFE。 198だ。

この後、ベース・リードに対しても同じような加熱を行った。
温度が上昇するに伴ってhFEは上昇していくが過熱を停止すれば190台に低下する。
トランジスタのリード線に30秒も40秒も加熱することはほとんどないだろう。
でも、もしこの程度の過熱をしてもhFEは規格値近くに戻ってくる。
「2」とか「4」とかにはならなかった。
これでもトランジスタは動作するだろうか?
このトランジスタを使ってLOCを組み立てた。
(9)

(10) 基板に半田付けしたトランジスタ。
次は部品がくっつくのでhFEは測れない。 もう一度hFEを測っておいた。

(11) 組み立てたLOCの動作テスト。
コレクタ電流は2.8mAだ。 絶対最大定格は100mAだから十分余裕のある値だ。

(12) 発振テスト。 SW→VHFでは100MHzを基準にするのでこの発振確認をした。

発振は安定していてかなり強力だ。
トランジスタは半田ごての長時間過熱を繰り返したのに問題なく動作している。
hFEが「2」とか「4」の異常低下は熱が原因ではなさそうだ。
(13) 発振テスト後、このトランジスタを取り外してhFEを策定してみた。


(14) hFEは46に減少していた。 わずか10分ぐらいのテスト動作でこんな値になってしまった。

これでもトランジスタは正常に発振している。(ちゃんと100MHzを確認している・・・)
もう一度組み込んで今度は短波放送を受信してみよう。
コンバーターを再組立てした。
今度はLOCはバリコンを使ったVFOもどきにした。
(15)


(15) SDRドングルを接続してHDSDR(ソフト)を起動した。

HDSDRの周波数設定を調節して短波放送を探った。
やがてフェージングしながら放送が入ってきた。
今回は結構よく聞こえた。
そんな受信の様子を動画でお聞きください。
トランジスタの足(リード)に半田ごてを何十秒もくっつけて加熱したり、
何だかわからないけどhFEが46に低下した(発振テスト前は186)トランジスタでも
正常に働いているようだ。
MIX回路で使用しているトランジスタ(LOCと同じ2SC3355)は大分前から使っていても
hFEが減少してしまうようなことは起きない。
発振回路は何か特別なことがあるんだろうか・・・
今度はこのhFEが低下したトランジスタをMIX回路で使ってみる実験をしてみよう。
私の方も後は組み合わせて試験するだけですが、野暮用が多くて進められません。
ドングルですが、私の今使っているものはどうも感度が低いようです。
3355の試験面白いですね。温度が上がると電子の元気が良く成ってHFEが上がる? そして意外と熱に強い! ここまでやったことは無いので興味深いです。
それと発振器使用するとHFEが下がるという現象も未経験です。
コンバータは何とか作動してドングルで短波が聞こえるようにないました。
HDSDRのスペクトラム窓に表される表示にはたくさんの放送局があるんですね。
なかなか面白いです。
ドングルでずいぶん差があるようです。
私が買った青ドングルが一番安かったのに一番性能が良いです。
(これは「820T2」と書いてある)
後で買い足した黒ドングルは青より高いのにイマイチです。
(ExtIOの新バージョンでは動かないことがある。
レベル変動があって画面がピクン、ピクン・・・と
上下に動く等)
トランジスタは結構熱には強いようですね。
こんな実験をしたのは初めてです。 ふつうは何十秒もコテをあてませんよね。
hFEが下がったものでもLOCでは正常につかえます。
アンプではどうかはわかりませんが・・・
今度は頂いたDBMでの実験をしてみます。
先ず、ケースに収めなくては・・・・・