koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

3/28 プレイルーム出張修理

2021-04-03 | おもちゃ
またもや宇部多世代ふれあいセンターのすくすくプラザプレイルームより修理依頼があり、3/21に道具抱えて行ってきました。追加も含めて6件ですw。

1件目、「4ヶ国語なまえずかん」です。(ペンのみ預かり)

電池2本のうちの1本が完全にダメでした。電池の説明して終了。(こういうのがあるので、全部持ち帰らずに道具持って行った方がいいのよね。)

2件目、入院で赤外リモコンのヘリコプター。(しまった、分解前の写真が無かった。写真は、「充電中」のLEDが点灯してホッと一安心の所w。)

現場にて、充電のDCプラグで電圧確認するもゼロ。しかし、線は切れてない…。これは…今まで出会った記憶が無いけど、Li-PO電池の充電がすっからかんになると、付属の充電回路で充電できなくなるパターンだな?と、持って帰って対応にしました。

家に帰って再度分解。

…電池の両面テープに、謎のパチンコ玉が引っ掛かってる…。これ、基板をショートしてないか?と思ったけど、のけても動作は変わらなかった。(結局このパチンコ玉、分解せずに外から紛れ込む隙間は無いので、バランサーで付けてあるんだろう判断して、ショートしない位置に付けておいた。)

で、電池一旦外して90~50mAぐらいで約1時間充電。

すると、1枚目の写真の様に、コントローラ付属の充電ジャックで充電できるようになったので、このままLEDが消えるまで充電。40分ぐらい掛かった。
これでちゃんと飛ぶようになりました。一旦上がりきらなくなるまで動かしてみた後、再度充電して確認しましたが、良さそうです。

さて次にラジコンがあったのですが、難航してるうちに次の修理品預かりの電話があったので、翌週:3/28にヘリ返すついでにまた道具抱えて行きました。
という事で、3件目、アンパンマンことばずかんDX。(写真は使いまわし。)

「大人がやるとちゃんと反応するけど、子どもがやると反応が悪い。ガリガリ言ったりする…」という訴えでしたが、動作確認するとどうもない…。電池も悪くない。
プレイルームに依頼のお母さん・子どもさんがおられたので、やってみて貰って悪くない事を確認して頂いて、そのまま返却としました。
(しかしまあ、断線とかイメージセンサーの取れ掛けとかが無いか、念のため開けてみるんだったと後で後悔…。)

4件目、まねっこネコ。

ちょっと前に見たねぇ…内容は忘れたw。確認すると、モータ線の断線だけど、ネジが全然足りなくて怪しい…といった内容でした。
今回分解すると、プーリーベルトが外れてました。

なんで外れたかねぇ…と思うけど、とりあえず付けておきました。連絡すると「分解してみたけどよく分からなかった」との事でした。(やっぱり怪しい…w。)

5件目、メリー。

「何もぶらさげないと回るけど、ウサちゃんたちをぶら下げると回らなくなる」との事。
ギアの割れかクラッチの滑り辺りだろうと思いましたが、プーリー駆動でした。

現場で修理を試みたのですが難航して、入院にしました。
3段減速全部プーリーなんですね…。3段目(最終段)のベルトが明らかに緩かったので、現場でベルト作って取り替えたのですが、まだ回らず。
今回ベルトは、手芸用のコードを熱溶着する治具を作ってたのを初使用w。

樹脂製のピンセットに溝を切っただけの物です。日本おもちゃ病院協会の掲示板で紹介されたものをだいぶ前に作ってたものです。これはなかなかいい治具でした。嵩張らないし軽いしw。(なかなか一発で成功しませんでしたが、温調ハンダごてを最低=240℃に下げて使うとよさそうです。)

ギアボックスの隙間からプーリーが見えるので、どこが空回りするか確認。2段目のベルトも作って取替。そこそこテンションのかかる状態にしたのですが、まだ空回り…。これ以上テンション上げたくなかったので、小径プーリー側に瞬間接着剤で凸凹を作ってみたところ、なんとか回るようになりました。

さて最後の6件目、難航して後回しになってたラジコンです。

キャタピラ駆動の「Wild Wheel」というラジコンですが、「右はちゃんと回るけど、左が半分ぐらいの速さでしか回らない」という訴えでした…が、現場で確認すると、そんな事はない…。
これは多分…「トリミング」の問題と思われます。

コントローラにトリミング用のボタンがあります。(左右レバーの間の赤い三角のボタン)
左右とも前進に入れて直進させるとき、左右のキャタピラの回転数がちょこっと違うと、まっすぐ走りません。それを補正するためにトリミングができる様ですが、これを間違って(よく分からずに)押してしまったせいと思われます。(ボクが操作した時は、電圧確認の為に送信機の電池を一旦抜いた時にリセットされたと思われます。)

多分これだけだろうと、動作を確認していると…、パタっと操作できなくなることがある。気まぐれで30秒ぐらいで動かなくなったり、最初からほとんど動かなかったり。それと、ちょこ、ちょこ、と5cmずつぐらいしか動かなかったり…。
「パタっと操作できなくなる」状態から、「ペアリングが切れてるんじゃないか?」と思ったり、ちょこちょことしか進まない事から何らかの保護が働いてる感じだったりとか、現場で悩んだけど解決せずに入院。

基板はこんな。

短いアンテナ線がついてますね。本体に何も書いてないけど、無印のICが乗ってて高周波回路がほとんどない、典型的なワンICの2.4GHzトランシーバでしょう。
操作できない時に、モータドライバーへの信号を確認すると、駆動信号自体が出ていない。
「水晶の発振不安定?」とか思ってオシロ繋いで確認するも、操作できなくなっても水晶はちゃんと発振してる。(12MHzだったかな?)

モータ駆動回路部はこんな。

モータドライバーは、型番からすぐ調べがついた。Wuxi Smart Microelectronics社のRZ7889:3A Single-CH DC Motor Driver。一通り、温度上昇シャットダウン・短絡保護・過電流保護がついてるけど、モータ駆動側からトランシーバーICに何の情報もフィードバックはされておらず、モータ駆動側から駆動信号をカットさせるような仕組みは何もない…。

基板の表はこんな感じ。

リセッタブルヒューズと220μFの電解コンデンサ2つと水晶と…ガラスボディのダイオードの様な謎の部品が1個、わざわざスペーサで嵩上げして付いている。この部品、ボディにわざわざ穴をあけて、電池BOXの中に覗いてる。

これは……電池BOX内の温度監視かしら…?

この辺りでへこたれて、しばらく放置w。放置してる間に思いめぐらせた。やっぱり温度監視に違いない!
秋月のページで温度センサを検索してビンゴ!「アキシャルサーミスタ」でした。

この温度監視周辺の基板はこんな感じ。

この「U4」が何か分からなかったのも、修理が進まなかった理由なのよねw。
見慣れた「ST」のマークがある。ロゴから間違いなくSTMicrocontoroler社のICなんだけど、マイコン…?ところが、書いてある「MZ701」ではヒットしない…。
右上に「358」と書いてある。358と言えば…汎用オペアンプのLM358が思い浮かぶ。ST社のホームページで358を検索すると、ST社もLM358を製造・販売してるっぽい。

これがLM358と仮定して回路を起こすと、こんな感じになりました。

コンパレータ回路と思うんだけど、どうかなぁ、間違いないかなぁ。GNDが回路全体のGNDに直接繋がらずに、コントローラICのPIN11にしか繋がってないっぽい。この温度監視回路の動作を、コントローラが入/切するのかしら…。

とりあえずこのままじゃ全く遊べないので、温度監視切っちゃろうか…とも思いましたが、サーミスタの分圧抵抗を変えて動作点をズラす事にしました。R6:10kΩを手持ちのチップ抵抗から18kΩに変更して動作確認→ちょこちょこ動きが解消されて、ちゃんと走るようになりました。

かなり負荷の高いおもちゃですね。単3×6本ですが、しばらく動かすと手で触って確実に分かるぐらい電池の温度が上がります。電池の温度監視は、やはりしたほうがいいかもしれませんね…。

密林のレビューを見ると、「片方のキャタピラが回らなくなった」という訴えがかなりありました。残念です、故障じゃなくてきっとトリミングのせいだと思われます。
そもそも、トリミングしてもプラマイ20%ぐらいの範囲に抑えてればいいのに、トリミング押してくと片側が完全に止まるまで調整できてしまう。これは…設計ミスじゃないの?
「カクカク動きになって遊べない」というレビューもありました。これは今回と同じ症状と思われます。残念です、せっかく安全の為に付けた温度監視回路なのに、全く遊べない状態になってしまうんじゃ意味ないじゃん…。
堅牢でしっかり作られた機体、これはおもちゃドクターには出来ない仕事です。それなのに、電子側の設計がいまいちで不良品呼ばわりされてしまうとは…。実に残念ですw。

以上、難航してしばらく抱えてたものがやっと片付きました(まだ、おもちゃ病院の3月度定期開院の分の入院が残ってるのですが…w。)。既に次の修理依頼が1個来てるそうなので、明日にでも返却ついでにプレイルームに、また道具抱えて行くしかないですね…w。
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4 コメント

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電池の温度監視 (大泉茂幸)
2021-04-04 21:09:06
電池の温度監視をやっているトイラジがあるんですね。初めて知りました。
トリミングも合わせて、確かに残念な設計ですね。
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師匠! (kohei)
2021-04-04 21:43:17
コンパレーターの回路は、あれで間違いないでしょうかw?

同じ部品(ガラスボディのサーミスタ)は、エネループの充電器にも付いてました。わざわざケーシングに穴をあけて電池の所にのぞかせてたので、電池の温度監視なのは間違いないと思います。
こういったものはキャリブレーションが必要ですよね…。
返信する
電池の温度監視 (大泉茂幸)
2021-04-05 10:55:54
そう言う呼び方はやめて下さい。

フツウのヒステリシス付きコンパレータ回路ですね。コンパレータ回路のGNDの行き先と設計の意図はよく解りませんが。

子どものおもちゃでこんな過負荷な動作条件での設計が宜しくないような気がします。それに、おもちゃは大量生産品なのに、個別のキャリブレーションを必要とするような設計が合っていませんよね。
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電子回路についてはまだまだ勉強不足なものでw (kohei)
2021-04-05 20:25:24
ヒステリシス付きのコンパレータですか。どうなってヒステリシスになるのか今度ちゃんと調べて、LTSpiceで検証してみます。
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