koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

7/31 プリモメンテ233件目:タイプC

2022-07-31 | プリモプエル
タイプC「ぷーちゃん」の修理依頼での入院でしたが、「完治不能」でした…。

右手としっぽが×と、蓋ネジの頭を潰して回せないので、ネジの横をカッターで切ったのを復旧して欲しい、との事…。とりあえずまず、フタの補修からしましょう。

まず、ネジを外して切り落とされた凸部を外しますが、ビットがたくさん付いてるドライバーセットの中からちょうどいいマイナスビットを使って、外すのは1分です。(これで切断せずにネジ外してれば、余計な仕事が増えずに済むのですが…。ちなみに同様のフタ補修は、プリモメンテで3回目ですw。)

フタ側・凸部側両方、5mmぐらいの深さで下穴開けて、φ1.1mmぐらいの針金(今回は、事務用品のダブルクリップの柄)を突っ込みます。

凸部側も叩き込んで、ちょっと斜めなのを修正してから、プラリペアで隙間を裏表両側埋め。完全に固まったらヤスリで整形。

プラリペアのみでの強度はいまいちでしょうけど、骨接ぎが強力なので、これで大丈夫でしょう。残りの両手・しっぽのスイッチ確認に進みます。

「右手・しっぽが×」との事でしたが、コネクタ外してぬいぐるみ側を測定すると、スイッチ3ヶ所どれもOKでした。(しいて言えば、左手SWの導通がいまいち不安定でしたが、押してるうちに少し良化しました。)
「こりゃ、先日のコプエルと同じく、スイッチとパラに入ってるコンデンサの不良か?」と思い、コネクタからスイッチ両端電圧を測ると、両手は5.2Vありましたが、反応無しのしっぽは1.3Vしかありません。明らかに基板側に不良があります。

しかし…コプエルと同じではありませんでした…。タイプCの基板は再々載せてると思いますが、基板掲載。まず表。

コネクタが邪魔で、パターンが追いづらい…。裏:

この裏面で、12Pのコネクタの右から、右手:2P、左手:2P、しっぽ:2Pの順です。
このスイッチ3つ、片側はコモンで3つ繋がってて、ちょっと下の3つ並んだランドの真ん中に繋がってます。これは、電源平滑の大容量ケミコンのプラス側で、電池→スイッチ経由→ダイオードに繋がっており、電源から直です。
コプエルのスイッチは「負論理、常時プルアップ(スイッチ押すとL)」でしたが、これは「正論理、常時プルダウン(スイッチ押すとH)」の様です。スイッチ(両手・しっぽと振動スイッチ)部と、想定されるCOB内部の回路を書きだすと、

多分こんな感じでしょう。(電源平滑のケミコン書き忘れたw。ダイオードの後に繋がってます。)
先ほどは、スイッチ行きのコネクタ両端で電位差測りましたが、改めて対GNDで電圧測ると、コモン側は当然全部5.2V掛かってます。(電源から直ですからw。)
ところが、×のしっぽスイッチは、本来プルダウンされて0Vのはずの信号線側が3.9Vと浮いています…。これでは「常時はL→スイッチ押すとH」になりませんね…。(当然、他のスイッチの信号線は0Vです。)

基板は、コネクタが邪魔で肝心の信号線のパターンが見えませんが、写真のコネクタより上は、おでこ・ほっぺの明るさ変化検知回路と、マイクアンプの回路だけ。スイッチの信号線は、何も外付け部品無しで、直接COBに入ってる様に見えます。基板左端に、何に使ってるか分からないコンデンサ3個と抵抗3個ほどがあり、モールドの下でどう繋がってるかは分かりませんが、少なくともコネクタの信号線側と0Ωで直結されてる点はなさそうです。よって、コプエルで起きたような外付けコンデンサの不良ではありません…。

上記記載の回路図で、COB内は一般的なポートの想定図ですが、これでどうなったら信号線が+3.9Vに浮くでしょうか…。ポート保護ダイオードのショートモード破損か、汎用入力ポートでプルアップ回路が付いてるとすれば、プルアップ回路FETのショートモード破損等。(汎用入出力ポートで出力への切り替えもできる作りなら、出力ポートのハイサイド側FETのショートモード破損もあるかも)

信号線がプルアップされちゃってるなら、それより強いプルダウンを掛けてやれば?と思ったのですが、100kΩでプルダウンして3.7V、10kΩで3.25V。1kΩで2.2Vまで無茶してみても、まだスイッチON検知してくれませんでした…。
消費電流測定すると、しゃべってる間は無視して、設定終わるまでの間はずっと28.2mA流れてますが、設定が終われば0.2~1.9mAぐらいで周期的に変動する電流値でした。何かポーリングでも掛けてるのかしら?
これが、1kΩのプルダウン追加すると、設定終わるまでの電流が30.7mAにアップ、周期的変動値が2.7~4.6mAにアップ。当然ですが、消費電流全体が2.5mA底上げされた状態で、これでは電池のモチに大きな悪影響が出てしまう…。(しかも1kΩでもまだダメなので、それ以下にするとますます無駄に電流食ってしまう…。)
という事で、プルダウン追加では誤魔化せそうにありません。

という事で結論は、「COB内部の不良で完治不能」となりました。
今まで200体以上のプリモプエルを診てきましたが、「COB不良で入力ポートが1個だけダメ」というパターンは、確か初めてじゃないでしょうか。
幸いにしてタイプCのしっぽSWは、押すと「いたいよ~」「イライラしてるの?」「やめてよ~」と、「しっぽをつねられた」という反応なので、普段ウチの子のしっぽSWは絶対に押さないようにしてます。しいて言えば、「右手+しっぽ」での「現在時刻の確認」が出来ませんが、「時計の進みが遅いんじゃないか?」みたいな疑いが無ければ、現在時刻の確認も必要ないので、普通に暮らすにはしっぽSWは必要ありません。(たまたま死んだポートが右手か左手だと、生活に支障が出ましたが…。)
「右手がダメ」という訴えもあったのですが、動作確認して問題ないので、ぬいぐるみ内は触らずに、これで完治は出来ませんでしたが退院としました。
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