映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』感想

2012-09-05 17:27:12 | 戦争映画

こんばんは、ゆっきぃです。
昨年末に公開された映画、「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を観た。

山本五十六とは、日本海軍のトップとして、
太平洋戦争に於いてその開戦から緒戦を指揮した男であり、
本作はそんな彼の生き様を描いた映画である。




欧州戦役に於いてドイツ軍がポーランドやノルウェー、オランダ・ベルギー、フランスなど周辺国を電撃的に下すと、
これに熱狂した日本国民や世論は「バスに乗り遅れるな」とばかりに日独伊三国同盟を支持し、
日本は時代の流れに逆らえずアメリカとの戦争に突入していく。

山本自身はドイツとの同盟もアメリカとの戦争も反対の立場だったが、
アメリカとの戦争が不可避となると、真珠湾奇襲攻撃を立案。
ハワイの真珠湾は米太平洋艦隊の根拠地であり、ここを航空機の爆撃と魚雷のみで攻撃し、
米太平洋艦隊を一挙に壊滅に追いやる投機的作戦である。

「艦の建造能力は4,5倍、飛行機は6倍、車は100倍、石油に至っては700倍。日本の一年分の消費量を僅か半日で生産する…」
山本は日米の国力差を正確に認識しており、長期戦になれば兵力差は開く一方であると考え、
始めの一撃で決定的勝利を得て早期講和の交渉に持ち込むしか日本が生き残る術はないと見出した。

そして1941年12月8日、「ニイタカヤマノボレ」の暗号電文で真珠湾奇襲攻撃は決行され、
日米太平洋戦争の戦端が開かれることとなる。


昨今の日本の戦争映画にしてはかなり大真面目に作られた作品で、
場違いなジャニーズやアイドルはいなく、
わざとらしい人間ドラマも誇張されたアクションもない。
特に主演の役所広司がとても素晴らしい、渋い。

ネガティブで反戦的なメッセージ性も強くないが、太平洋戦争に対して
「扇情的なマスコミが世論を作って戦争に誘導した」というスタンスが見える。
偶然だとは思うが、韓流や竹島問題に関してのマスコミの偏向報道が騒動となっている昨今だからこそ、
ある意味重要で冒険的な問題提起にも思える。


真珠湾やミッドウェイ海戦、ドーリットル空襲やガダルカナル島砲撃など主要な戦闘シーンは挿入されるも、
さほど多くなく、あくまでも主題は山本五十六の人物そのもの。
日米の国力差から勝ち目なしと理解し、対米戦争に反対しながら、
全力で対米戦争に臨んだ男の胸中をよく表現できた映画だと思う。


ところで山本五十六は名言が多いが、作中にはそれがあまり登場しない。
できれば開戦の是非を問われた際の有名な文句を聞いてみたかった。

「是非やれと言われれば半年や一年の間は随分暴れてご覧に入れますが、しかしその後のことは全く確信を持てません。
三国同盟が出来たのは致し方ないが、かくなる上は日米戦争を回避する様極力ご努力願いたい」