Wargame:ALBに於ける航空機の兵装について解説

2013-05-09 21:09:29 | Wargame: EE

今作Wargame: Airland Battleには固定翼機が登場しているが、それら戦闘機や攻撃機は多様な兵装を有しており、
もしかすると軍事マニアでもない限り、それぞれの役割や性質の違いが十分には把握できないかもしれない。
単に対地攻撃用の兵装といってもそこに様々な使い分けがあるのだ。
ここにそれらをできるだけわかりやすく書いてみる。

尚基本的には現実の軍事知識をベースに書くので、
細かい部分でゲーム内での役割や効果とは違う部分もあるのかもしれない。
このゲームでの航空機での対地兵装は以下の8種類。




機銃は一部を除いて大半の航空機に取り付けられている。
概ね20mmバルカンから30mm級のもので、例えば有名なアメリカの攻撃機A-10のガトリングは戦車をも破壊し得るが、
基本的に敵に肉薄する機銃掃射は危険な攻撃となるので副武装程度に考えた方が良い。

無誘導爆弾は最も基本的な対地兵装で、ただの爆弾を投下するだけである。
爆風と破片で敵を攻撃する為、歩兵や軽装甲車相手に効果が高い。
ゲーム中に於いては[AoE]の効果のみが付いたものがそう。(Area of Effect、直撃しなくても殺傷範囲があること)
HE(榴弾)パワーと制圧力が高く、250kgから500kg、1000kg級もあり、サイズが大きくなるほど威力が高い。

誘導爆弾は恐らく今作ではアメリカのF-117ステルス攻撃機のみに装備されている。
命中精度が高くピンポイントの精度で狙えるのだと思うが、ユニットではなく地形に誘導させるものなので基本的には対歩兵用。
威力もHEパワーが28と、1000kg爆弾のHEパワー20を大きく上回るが、一発しか搭載していないので使い道は限られるかもしれない。

ナパームは焼夷効果に重点を置いた爆弾で、特殊な燃料で投下地点を燃やし尽くす。
これも歩兵や軽装甲車相手に効果が高く、敵兵が潜んでる都市や森に有効だ。
燃焼効果が残りしばらく燃えている為、火災中は敵ユニットの侵入を阻むこともできる。
ステータスでは[NPLM]と表示されている。

クラスター爆弾は子弾をバラまき広範囲を攻撃する。
その性質上歩兵にも効果があるが、このゲームに於けるクラスター爆弾は対装甲用のものなので、
戦車や装甲車に対して子弾をバラまきトップアタックすることを目的とした兵装だ。
威力は高く、対戦車に使うなら無誘導爆弾よりはこちらの方が効果が高い。
ステータスでは[CLUS]と表記されており、対装甲を示す[HEAT]も付与されている。

ロケット弾は無誘導ロケット弾を多数斉射する。
命中精度は悪いが一定の範囲に制圧効果があり、戦闘機よりもヘリによく搭載されている。
対装甲用の兵装ではなく基本的には歩兵などのソフトスキン用。
しかし対歩兵には無誘導爆弾やナパーム、クラスター爆弾などもあるので、
あえて戦闘機でロケット弾を使う意味はあまりない。

対戦車ミサイルは移動する戦車や装甲車に対して誘導し高い命中率を発揮する。
効果範囲がないので対歩兵には使えないが、かなりの威力を発揮するので戦車戦での近接航空支援で有効だ。
対歩兵にもある程度使えるクラスター爆弾も便利だが、ピンポイントで戦車を撃破したいならこれ。

対レーダーミサイルはレーダー発信源に対して誘導するミサイル。
敵の対空ミサイルのレーダー波を感知すると、その対空ミサイルに対して飛翔していく。
対空網の制圧に有効で、この任務を負う機体自体も撃墜される危険性をはらんでるが、
爆撃部隊に同行させたりするとカウンターできるかもしれない。
要注意なのはミサイルには赤外線式とレーダー式の誘導方式の違いがあり、赤外線式には反応しないのでそれを誤ると、
敵に対空ミサイルがあるというだけで向かわせてみると一方的に撃墜されることもある。
ステータスでは[SEAD]という属性が振られている。


航空機による対地兵装は以上!
ついでなので一応ミサイルの誘導方式、
そして戦闘機に搭載されている対空ミサイルについても少しだけ。




米軍の対空番長F-15Aをモデルにみてみると、
中距離対空ミサイルのAIM-7M Sparrowと、
短距離対空ミサイルのAIM-9Lを積んでいる。
そして兵装の属性の下にSemAct Radar missilesとかInfrared missilesとか書かれている。
一般にレーダー式(Radar)のミサイルは射程が長く、赤外線式(Infrared)は射程が短い。

これは地上ユニットの対空兵器にも当てはめることができ、
レーダー式を用いる対空ユニットは射程が長く広範囲を守ることができるが、
対レーダーミサイルを呼び寄せ駆逐される可能性がある。
赤外線ミサイルは範囲は狭いが対レーダーミサイルからは安全ということになる。

また上のF-15Aのステータスを見れば、中距離対空ミサイルのSparrowはセミアクティブ式[SA]の属性が振られている。
これも誘導方式の一つで、敵機をロックオンしミサイルを発射し、命中するまで機首を向け誘導を続ける必要がある。
つまりその間自機は回避行動を取れないので、危険なのだ。

そして短距離対空ミサイルのAIM-9Lの方には[F&F]の属性が振られており、これはFire and Forgetの略で、"撃ちっ放し"能力のこと。
セミアクティブ式と違って発射すればミサイルが勝手に敵機まで自律誘導してくれるので、
自機で誘導を続ける必要がなく、発射後即退避行動に移れるので安全性が高い。

昔の中距離対空ミサイルは上記のセミアクティブ式が多かったが、
最近ではレーダー式でもこの"撃ちっ放し"能力を得てるものが多く、
このゲームでもより最新型のF-15Cが搭載しているAIM-120なら
レーダー式かつ撃ちっ放しであるので対空では強力だ。


これらの空対空ミサイルの誘導方式については、現実の方の軍事記事であるが、我がブログでも
尖閣諸島を巡る航空戦力について の記事の後半にて詳しく解説しているのでイメージが掴みやすくなるかもしれない。