金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

(注)文字サイズ変更が左下にあります。

金色の涙(鬼)43

2008-07-30 20:36:25 | Weblog
 白犬の群れは子犬・老犬を棲家に残し、戦える成犬・9匹が来ていた。
うちの3匹がすでに首を捻り潰され、絶命している。
 ボス犬も相手に噛み付き、その正体に気付く。
血が流れないのだ。
目の奥を覗き込めば、生気の欠片もない。
蘇った死鬼と悟り、仲間達に「間合いを置く」ようにを指示する。
捕らえようとする相手の手を噛み砕き、自らも逃れた。
 死んでいる鬼が相手では、戦いようが無い。
死鬼達を威嚇しながら、仲間達を集めた。

 バロンは犬達に策が無いのを見て取るや、無視して洞窟へ急いだ。
鬼達の行方を確かめなければならない。
見失っては一生の不覚。
 バロンを中心に据え、一団となって洞窟へ突入する。
どこかで鬼達が待ち伏せている筈だ。銀鬼が手を打たぬわけがない。
慎重かつ早足、相反する行動で先を急ぐ。
 鬼ヶ島側の長くて暗い洞窟から、光の通路に入る。
黄色の光から始まり、進むにしたがい光の色が緩やかに変化していく。
高所から落下するような感じを受ける。時空の歪み。
そして橙色の光の通路を抜けると、再び暗い洞窟が続いた。
 枝道が多いが迷わない。バロン達は鬼の臭いを辿り、鞍馬側へ駆けた。
出口が見えたところで、前後を鬼達に挟み撃ちにされる。
 直前まで気配を消すことのできる手錬を揃えていた。
およそ20数匹。いずれもが槍を構えている。
バロンを逃さぬように、翼を刺し貫くつもりのようだ。
 鬼達は予期せぬ死鬼の存在に戸惑っていた。
互いに顔を見合わせる。
バロンのみであったなら、即座に葬っていたものを・・・
 バロンは好機を逃さない。
死鬼達に正面突破を指示する。

 鬼ヶ島側の洞窟では、白犬の群れが二の足を踏んでいた。
彼等もこの洞窟の存在を知っている。ただ、どこに出るのかまでは知らない。
昔から立ち入りが禁じられていたからだ。
 ボス犬が決断を下した。
仲間達に棲家への引き揚げを命じる。
バロン退治も大事だが、一族の存続も同じ様に大事。
仲間達に一族の存続を託し、己一匹で追跡を再開した。
 ボス犬が洞窟に消えても、仲間の犬達は立ち去らない。
名残惜しそうに入り口を見ている。
が、1匹がボス犬を追って洞窟に入ると、他の犬達もそれに続いた。

 全てを木の上から見ていたヤマトとエビスが、洞窟の前に降り立った。
気の毒そうな顔でエビスがヤマトを振り返る。
「面倒臭い事になったな」
「蘇らせるとはね、計算外だよ」
「人生はとかく計算できないもの。だから面白い」
 言葉とは裏腹、心配そうな顔。
「誰の言葉だい」
「山奥で暮らす坊さん。大昔に聞いた」
「だろうね。エビス、一緒に鞍馬へ行こうよ」
 目で洞窟を促がす。
「それは勘弁してくれ。人の顔は見たくない」
「そうか・・・そうだったね」
「ヤマトこそ、こちらに住まないか」
 心底からそう思っているらしい。
「ありがとう、でもオイラの仲間は向こうにいるんだよ」
「仲間・・・猫とは違うんだろう」
「どういうわけか、人だね」
「家ではなく、人につく猫か」

 コスモとぴょん吉の考えを、佐助と若菜が人間と天狗の両者に伝えた。
2匹は「鬼達を一ヶ所に集め、狐火で葬る」つもりでいるのだ。
 人間も天狗も異存はない。
僧兵と天狗は指揮を慶次郎に託す。
 慶次郎が陣頭指揮を執り、鬼達を銀鬼のいる方へ巧妙に追い込んで行く。
山三郎・五右衛門・阿国の3人に佐助・若菜が加わり、陣の乱れを補う。
 肝心の銀鬼は一心不乱に樹を叩いていた。
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」と、単純に拍子を刻むだけではない。
時折、拍子を変化させ、遊びをそっと織り込む。
 周辺の鬼達も戦いを忘れ、手拍子・足拍子。
女鬼達が中心になり、拍子に合わせて合唱する。
銀鬼の遊びにも余裕を持って乗る。
 気の利く鬼が手頃な木をへし折り、祭壇を組み、巧みに火を点ける。
子鬼達が枯れ枝を探しに走り回る。
 京周辺の仲間を集め、数に勝る狸達だが、鬼達の勢いに押されてしまう。
自然「ポンポコリン」の拍子が弱くなる。

 異常な気配に、最初に気付いたのは慶次郎。
絶妙な差配で陣形を動かし、鬼達を1匹の洩れも無く、銀鬼の方へ追い込んでいた。
もう少しという時に、洞窟からそれが・・・
 30数匹の鬼が争いながら、洞窟から転がるようにして出てきた。
そして、中心から1匹が宙に舞い上がった。
 それは全長2メートルくらいで、手足が長く、大雑把には人に似ていた。
皮膚が赤く、大きい耳に長い尻尾。話に聞いた「バロン」だ。
翼を広げ、宙を浮遊している。
鋭い牙がヌラリとして、薄気味悪い。
 バロンの下で、槍を持った鬼達と素手の鬼達が二手に分かれ、争っていた。
普通なら槍を持った方が有利なのだが、違っていた。
素手の方が、槍に刺されながらも、止まることなく攻めていた。
 言葉は理解できないが様子から、バロンが素手の鬼達を叱咤激励している。
鬼達は答え代わりに、力任せに前進する。
腹部に槍が刺さっていても、気にも留めずに相手に襲い掛かる。
そして躊躇うことなく首を折る。




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久しぶりに秋葉原に行きました。
人が大杉。
人出と暑さで燃えー


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