戦場に、
「上方より援軍到着。数は十万。先鋒は真田家の小松姫率いる一万」
と知らせる声が響き渡った。
前田慶次郎の指示で、狐狸達が手分けして触れ回っているのだ。
効果覿面。
一揆勢を、「本当なのか、それとも奸計」と半信半疑に陥らせ、
その勢いを削いだ。
そうなると戦どころではない。
武器を持つ手が、足運びが、重苦しいものになった。
逆に徳川方には勢いを与えた。
一進一退の攻防を続けていた大久保忠世、忠隣親子の部隊が、
無勢ながらも気勢を上げて一揆勢に果敢に挑んでゆく。
小松姫の真田勢は先鋒の騎馬隊の勢いに任せ、
無鉄砲とも思える斬り込みをしていた。
真田勢の強さと、狐狸達の触れ回りが功を奏した。
動揺する敵勢を瞬く間に断ち割った。
生憎、魔物部隊には効果がなかった。
操り人形でしかない彼等は動揺することなく冷静に戦っていた。
それでも魔物部隊の防御陣を攻めていた徳川方には朗報であった。
騎馬隊を入れ替えながらの突入に追い風となった。
すでに孔雀と狐狸達、それに中山兼行隊が一画に穴を開けていたので、
さらに崩し広げる事は難しくはなかった。
まず榊原康政隊が切り崩した。
それに井伊直政隊、宇喜多秀家隊が続いた。
白拍子は立ち塞がる魔物兵を斬り捨て、天魔のもとに辿り着いた。
丁度、赤狐哲也の狐火と緑狸ポン太の鎌鼬を受けたところであった。
「気の鎧兜」で防御した天魔が激しく渦巻く炎に包まれた。
天魔が炎の内側から幾度も雄叫びを上げた。
悲鳴とは違い、明らかに生存を主張するもので、威圧する響きがあった。
天魔の警護役を務めていた信平が傍でウロウロしていた。
赤い目の影響があるにも関わらず、郎党の頭の責任感だけは残しているようで、
心配げな表情で燃え盛る炎を見ていた。
やがて、みんなの見守るなかで炎が小さくなってゆく。
遠巻きしている敵味方に緊張感が走った。
白拍子は天魔が生きていることを確信していた。
何故なら人肉の焼け焦げる臭いがしなかったからだ。
実際、炎が消えてしまうと、そこには焼け焦げて煙る天魔がいた。
彼の全身を覆う「気の鎧兜」が燻っていたのだ。
直にそれがひび割れし、雪崩のように足下に崩れ落ちた。
そこには本物の鎧を身に付けた天魔がいた。
刀を構え、狂気じみた目で辺りを見回すではないか。
白拍子に気付くや、グッと睨み付けた。
白拍子より先に、隣で肩を並べていた豪姫が地を蹴った。
離れているにも関わらず、一気に跳んだ。間合いを物ともせぬ跳躍力。
一刀両断にすべく大きく振りかぶって真っ向唐竹割り。
天魔は不敵な笑みを浮かべてガシッと受け止めた。
続けて素早い前蹴りを放つ。
腹部を蹴り飛ばされる豪姫。体勢を崩し、後方へ倒された。
慌てて起き上がろうとするところを天魔は見逃さない。
体を寄せ、刃先を喉元に向けた。
その瞬間、白拍子は目を大きく見開き、
知らず知らずのうちに絶叫を上げていた。
これまでとは違う質の声。
絶望の色に染められているのは、どこまでも深く沈みゆく心の現れか。
けっして甲高いわけではないが、それが高く遠く、どこまでも鳴り響いた。
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今週は週初めから仕事が忙し過ぎました。
多忙で文章が練れない、練れない。
だから限界。寝ます。
「上方より援軍到着。数は十万。先鋒は真田家の小松姫率いる一万」
と知らせる声が響き渡った。
前田慶次郎の指示で、狐狸達が手分けして触れ回っているのだ。
効果覿面。
一揆勢を、「本当なのか、それとも奸計」と半信半疑に陥らせ、
その勢いを削いだ。
そうなると戦どころではない。
武器を持つ手が、足運びが、重苦しいものになった。
逆に徳川方には勢いを与えた。
一進一退の攻防を続けていた大久保忠世、忠隣親子の部隊が、
無勢ながらも気勢を上げて一揆勢に果敢に挑んでゆく。
小松姫の真田勢は先鋒の騎馬隊の勢いに任せ、
無鉄砲とも思える斬り込みをしていた。
真田勢の強さと、狐狸達の触れ回りが功を奏した。
動揺する敵勢を瞬く間に断ち割った。
生憎、魔物部隊には効果がなかった。
操り人形でしかない彼等は動揺することなく冷静に戦っていた。
それでも魔物部隊の防御陣を攻めていた徳川方には朗報であった。
騎馬隊を入れ替えながらの突入に追い風となった。
すでに孔雀と狐狸達、それに中山兼行隊が一画に穴を開けていたので、
さらに崩し広げる事は難しくはなかった。
まず榊原康政隊が切り崩した。
それに井伊直政隊、宇喜多秀家隊が続いた。
白拍子は立ち塞がる魔物兵を斬り捨て、天魔のもとに辿り着いた。
丁度、赤狐哲也の狐火と緑狸ポン太の鎌鼬を受けたところであった。
「気の鎧兜」で防御した天魔が激しく渦巻く炎に包まれた。
天魔が炎の内側から幾度も雄叫びを上げた。
悲鳴とは違い、明らかに生存を主張するもので、威圧する響きがあった。
天魔の警護役を務めていた信平が傍でウロウロしていた。
赤い目の影響があるにも関わらず、郎党の頭の責任感だけは残しているようで、
心配げな表情で燃え盛る炎を見ていた。
やがて、みんなの見守るなかで炎が小さくなってゆく。
遠巻きしている敵味方に緊張感が走った。
白拍子は天魔が生きていることを確信していた。
何故なら人肉の焼け焦げる臭いがしなかったからだ。
実際、炎が消えてしまうと、そこには焼け焦げて煙る天魔がいた。
彼の全身を覆う「気の鎧兜」が燻っていたのだ。
直にそれがひび割れし、雪崩のように足下に崩れ落ちた。
そこには本物の鎧を身に付けた天魔がいた。
刀を構え、狂気じみた目で辺りを見回すではないか。
白拍子に気付くや、グッと睨み付けた。
白拍子より先に、隣で肩を並べていた豪姫が地を蹴った。
離れているにも関わらず、一気に跳んだ。間合いを物ともせぬ跳躍力。
一刀両断にすべく大きく振りかぶって真っ向唐竹割り。
天魔は不敵な笑みを浮かべてガシッと受け止めた。
続けて素早い前蹴りを放つ。
腹部を蹴り飛ばされる豪姫。体勢を崩し、後方へ倒された。
慌てて起き上がろうとするところを天魔は見逃さない。
体を寄せ、刃先を喉元に向けた。
その瞬間、白拍子は目を大きく見開き、
知らず知らずのうちに絶叫を上げていた。
これまでとは違う質の声。
絶望の色に染められているのは、どこまでも深く沈みゆく心の現れか。
けっして甲高いわけではないが、それが高く遠く、どこまでも鳴り響いた。
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多忙で文章が練れない、練れない。
だから限界。寝ます。
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