金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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金色の涙(江戸の攻防)293

2010-12-15 20:45:28 | Weblog
 白拍子は遠間より天魔を睨み付けた。
狂おしいほどに相手を求めていた。
「あの首を撥ねて高い場所に晒したい」と。
 後方で気勢が上がった。
静まっていた戦場が忙しい音に包まれた。
敵味方が戦いを再開したのだ。
 白拍子の周辺でも徳川方と魔物部隊が衝突し、入り乱れた。
徳川方に守備陣を突破された魔物部隊は、
再び大掛かりな陣を敷き直す事は諦めざるを得なかった。
徳川方の騎馬隊により各魔物部隊が分断されてしまったからだ。
それでも少人数で隊列を組んで、徳川方に抵抗した。
 白拍子は片手を頬に伸ばした。
傷口に指を走らせた。
すでに頬の傷は癒えていた。
彼女に備わった治癒力をもってすれば浅い傷は傷とは言わない。
無かったも同然。実際、跡形もなく消えていた。
 そんな白拍子を数名の魔物兵が襲った。
天魔の身辺警護を勝手に務める信平と、彼の率いる魔物兵五人であった。
いずれも俊足で、瞬く間に彼女を包囲した。
槍が三人、刀が三人。
同士討ちせぬように交互に襲う。
 見事な連携攻撃。
攻めも早ければ、退くのも早い。
上から下から、右から左から、刀が槍が、意表を突いてきた。
普通の人間が相手であったら効果を発揮したに違いない。
生憎と、相手にしていたのは白拍子。
 白拍子は直ぐに目が慣れた。
と、次の瞬間には反撃を開始した。
魔物兵の刀の切っ先、槍の穂先に身を晒し、
紙一重で躱しながら得物を持つ手を斬り離した。
刀槍を失った六人に容赦なく止めを刺す。
次々と首を刎ねてまわった。
 最後に首を刎ねられたのは信平。
彼は両手を失っても闘志だけは失わなかった。
退くこともせず、迫る白拍子を睨み付けていた。
 天魔は信平達と共に戦おうなどとは一度として思わなかった。
彼等と白拍子の戦いを、まるで他人事のように見ていた。
 最後の首が飛ぶのに時間はかからなかった。予想通り。
最初から当てにはしていなかった。
これからは自分の時間・・・と。
 信平の生首が宙を舞った時に初めて気付いた。
妙に気にかかるのだ。
何だろう。
生首に目が吸い寄せられた。
他の者であれば何も感じないのだが、信平の生首には心の琴線に触れる何かが。
 天魔は信平の出自も事情も知っていた。
割り切ったつもりでいた。だが違った。
ようやく、「最後の大切なもの」を失った事に気付いた。
 心の奥底に眠っていた人の感情に火が付いた。
沸騰する怒りが溜まっていた澱を吹き飛ばした。
「これは」と自分自身の変化に戸惑うが、抑制が効かない。
全身が怒りに染まってゆく。
 天魔は人としての感情を露わにした。
心の奥底で死んだように眠っている木村弘之の影響か・・・。
自分を確かめるより先に身体が動いた。
刀を振りかざして白拍子に跳んでいた。




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寒い。
雨が降って洗濯ものが全滅しました。
・・・。
氷雨降り
洗濯物が
風邪を引く

なんてこったい。
乾くまで干しておこう。

何かが頭に落ちて来た。
・・・。
 町中が騒然としていた。
「大変です。椅子が囓られています」と。
家具屋やホームセンターで売られている椅子のみならず、
会社や学校の椅子までもが、「囓られている」と言うのです。
それも中途半端に囓られている・・・。
 足立区の河川敷にある地球連邦政府が調査を開始した。
孫請けの三丁目交番の調べによると、「椅子噛んだる星人」の仕業とか。
 宇宙の最果て、難波に住むのが「椅子噛んだる星人」。
彼等は何かある度に、「椅子を囓んだるねん」と叫き散らした。
 彼等の難波言葉に対抗するために選ばれたのが、
罵倒が得意で、 「罵倒シップ・トマト」とも呼ばれる初代トマト。
武器は相手を罵倒する歯恫砲。
とにかく歯に衣着せぬ罵詈雑言の連発、連発・・・。
 初代トマトは世界の植物の起源種であった。
彼から全ての野菜、果実、草木等が生まれ、世界中に分かれた。
そんな彼は今は栃木の農園にいた。
ひっそりと暮らしていた。
 何故か、彼は「椅子噛んだる星人」撲滅の仕事を引き受けた。
 栃木のみならず群馬、茨城にまで、
「罵倒シップ・トマト、発進」と言う声が響き渡った。
 農園を中心とした一帯が地響きした。
派手な土煙を上げて一本のトマトの苗木が飛び立った。
地上に見えた部分の幹は細いが、地下に隠れていた幹は太い。そして長い。
横に広く根を張っていたので、傍の村もろともに持ち上げた。
「罵倒シップ・トマト」はボロボロと土塊を落としながら上昇を続けた。
枝に実る色とりどりの果実がやけに眩しい。
 彼の正式名称は「五里霧中戦艦トマト」。
・・・。
頭に浮かんだので本編そっちのけで書いてしまった。
これで良いのか。
いかん、いかん。
でもラストまで、もう少し。
何だか心に余裕・・・たぶん。


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