7月11日は奈良国立博物館へ。
7月8日から9月3日まで「浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展 聖地 南山城」展が開催されています。
平成26年(2014)京都国立博物館で「南山城の古寺巡礼」の特別展が開催されており、奈良博がどの様に違いを出すのかが楽しみでした。
現在の南山城地域は行政区分では京都府に属していますが、地理的には奈良に近く興福寺や東大寺の影響を色濃く受けて来た地域です。
"浄瑠璃寺九体阿弥陀修理記念"の冠は付いていますが、南山城の諸寺院から貴重な寺宝が展示されています。
木津川市にある浄瑠璃寺のかってはご本尊と考えられている薬師如来坐像(平安時代・重文・現在は三重塔のご本尊)と現在は東京・静嘉堂文庫美術館が所蔵している十二神将(亥神を除く十一体は鎌倉時代・重文)は前者の眷属で実に約140年ぶりの再会となります。
寿宝寺の十一面千手観音立像。
お寺で3度お詣りしましたが、こんなに至近距離で見たのは初めてです。
実際に千本の手があり、施主や仏師の執念を感じます。
また、昼間と夜間ではお顔の表情が異なって見えます。
京都や滋賀の十一面観音を巡礼された白洲正子さんは寿宝寺にて月明かりの中で、この観音さまを見られたそうです。
木津川市にある現光寺の十一面観音坐像(鎌倉時代・重文)
現光寺は無住のお寺で現在は海住山寺が管理されています。
毎年5月のゴールデンウィークと秋の木津川市特別拝観の時にだけ収蔵庫が開けられます。
浄瑠璃寺の九体阿弥陀坐像の内の1号と8号です。
平安時代の造立で国宝に指定されています。
宇治田原町にある禅定寺が所蔵されている十一面観音立像(平安時代・国宝)です。
漆箔の上に金泥が残り、造立当時の神々しさが想像出来ます。
白洲正子さんの「十一面観音巡礼」をなん度も読み返しているので、どうしても十一面観音さまに目が向いてしまいます。
木津川市にある神童寺が所蔵する愛染明王像(重文・平安時代)です。
真言密教の影響を色濃く受けた像です。
ひとつひとつ紹介したいのですが、きりがありません。
しかし、凄い寺宝をこれだけもよく集められたものです。
奈良博の学芸員さん、関係者の皆さまのご苦労を思います。
京博で行われた「南山城の古寺巡礼」展より身近に展示され、古代から近世の期間を7章に分けられた展示は非常に分かりやすかったです。
個人的な感想ですが、京博での展示より工夫が感じられて非常に有意義な内容でした。
(京博の平成知新館をフルに使っての展示は広すぎて正直、疲れます。)
学芸員さんや研究員さんの意気込みは感じますが、展示物の見せ方や展示スペースの事を再考してもらいたいです。
(あくまで、個人的な意見です。)
いつもは"図録"は購入しないのですが、今回の展示が非常に気に入り購入しました。
29日の"土曜講座"に当選したので、もう一度、観覧できるのが楽しみです。
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