5月13日はメルパルク京都主催の講座「関西の洋館ノスタルジー」で大阪日本橋にある「高島屋東別館」を訪ねました。


















講師は華頂大学の川島智生先生です。
昨年に国の重要文化財に指定されました。






昭和の始めに松坂屋大阪店として建築され、設計は鈴木禎次、施工は竹中工務店で、ヨーロッパ歴史様式にアール・デコ調の装飾デザインが採用されています。
特に堺筋に沿って11連アーチは圧巻です。
当時、大阪の道路の大動脈は堺筋で市電が走っていたのでこのような11連アーチが採用されたのだと思われます。
外壁にはアカンサスの葉飾りをモチーフとした装飾が付いたテラコッタ(装飾焼物)で覆われています。
伊賀窯業が制作したそうです。



エントランスには大理石が使われ百貨店建築らしい重厚感を感じます。



エレベーターホールには4基のオーチス社製のエレベーターが設置されています。
(1基のみ改修され使用されています。)
扉の両側に配された大理石の柱頭飾りにはホワイトブロンズのアカンサスの葉飾りの意匠がはめ込まれています。
黄更紗や長州錦紋などは主に山口県産の大理石が使われています。
松坂屋大阪店の竣工時には、1階から5階までは売場、6階は美術館、7階はホールやお稽古場で構成され、当時、地域の文化的な要素も兼ね備えていました。



地階のさらに下には地下鉄堺筋線が走り、ここに駅が出来る構想もあったそうです。



地階の階段のデザインは村野藤吾の意匠だそうです。
曲線の意匠がなんとも美しいです。
(通称"村野カーブ"と呼ばれています。)






3階には令和2年(2020)には開館50周年を記念し高島屋史料館が設置され昭和の息吹を感じる貴重な資料が展示されています。
明治、大正、昭和の貴重な建物が次々に失われている現在、リノベーションされ残す決断をされた高島屋の試みを他社にも広がっていく事を願います。