〈ネタバレしています。再放送時の訪問にはお気を付けください。〉
恐ろしい女が二人・・・・・・。
一人の鬼女は母の顔を持ち、行き場を失った青年たちを手のうちに取り込んでは、自分の計画に利用していました。
保険金殺人と言う計画の。
バンカラで懐が大きいようなそんなイメージを醸し出し、美味しい食事を与えて寂しい青年たちを操る女はビックママと呼ばれていました。
寂しい中年の女に近寄っては、若い相手を結婚相手として紹介し結婚させてそして殺したー。
逮捕したビックママに右京は言います。
「あなたはアイリーンジャスミンの花のような人ですね。」
「あらっ、嬉しいね。花にたとえられるなんて。」
もちろん右京が言うのはその花の持つ毒の事。
美しく可愛い青い花。アイリーンジャスミンはアルカロイド系の毒を持っていたのです。
ああ、この花ってどんな花なのと検索したら・・・・
出ない。見つからない。
これ、架空の花だったみたいです。
げげっ。
こんなところでやられていましたよ。今度こっそりベランダで栽培しようと思ったのにぃって・・・・嘘ピョン!
この花のアイリーンは、シャーロックホームズを唯一感嘆させた愛すべき女性の名前で、このライターさんは「右京さんの友達」でも感じるものがあったのですが、作家さん自体がかなり推理小説マニアなんじゃないかなと思ってしまいました。「相棒」的にも嬉しい感じですね。
自供したビックママが言いました。
「あの女たちだって、ずっと寂しく生きてきたのに、ちょっとの間でも夢を見られて幸せだったんだ。」……いつもの事だけれどセリフは不正確。
事件は解決したのに15分もあるー。
まだなんかあるわけ?
と思っていたら、とんでもない恐ろしい女がもう一人出てきました。
最初にカイトが追っていたのは、ビックママに操られていた田無。
田無は20歳もの年上の女性と結婚し、そしてアイリーンジャスミンの毒を少しずつ妻に飲ませ殺害したのでしたが、その妻の優しさに触れて情がわき殺害することに躊躇していたのでした。それでもビックママには逆らえずとうとう犯行に及び、そして今でも複数の女性たちだまし続けていたのです。
警察の手が伸びたと察した田無は逃亡し、そしてカイトの目の前で
「諦めるわけにはいかない。」とビルの屋上から飛び降りてしまったのです。
目撃者でもある視聴者から見れば、明らかにカイトの責任ではないのは分かるのですが、それでも目の前で死なれたらショックは大きいですよね。
ましてその時点では、不用意に彼を追いつめてしまったのかと自責の念にも駆られるわけですから。
俺の責任だと辞表まで書いてしまうカイトだったのです。
だけれど最後に出てきた女性は、他の男との間に出来た子供を田無に自分の子供と思わせて、養育費を出させていたのです。
しかも更にお金を出させようと、子供は病気でその為には2千万のお金がかかると嘘をついていたのでした。
その大金を作るために、自ら、かつて殺してしまった妻に飲ませていた毒を飲んでいたのです。そして徐々に弱っていき病死のように見せかけようとしていた計画でしたが、警察に捕まってしまったら、その計画もダメになってしまうと、警察に追われた末の事故死というシナリオをとっさに作り飛び降りてしまったのでした。子供に自分の保険金を渡したいがために。
「子供の為に、俺は自分が死んで金を作る事を諦めるわけにはいかないんだ。」
田無の短い人生は嘘で操られ嘘を言い続けた人生。
嘘で手に入れた優しさも自分の気持ちに嘘をついて、妻を殺して手放さなければならなかった。
そんな人生で、子供と再会した恋人はやっと手に入れた真実の愛だったと思うのです。結局はそれも実は嘘だったのです。
だけど彼はその子供を守るために自分の命を懸けたのです。
やっと見つけた真実と信じて。
ビックママの言葉が蘇ります。
―ずっと寂しく生きてきたのに、ちょっとの間でも幸せだったんだから良かったんだ。
なんだか裏と表の物語って感じで凄く好きなお話でした。
※ 今回は「相棒」ファミリー、駒としてよく使われていて楽しかったし 面白かったですね。特命が近寄ってくると背中が痒くなるイタミンとか。アレルギーかって笑ってしまいました。
右京さんとカイト君、カイトとカイトパパの会話も良かったわ。