森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「いねむり先生」

2013-09-22 18:16:26 | テレビ・ラジオ

感想を書くのが遅くなってしまいました。

なんたってこのドラマ、裏番組が『半沢直樹』。

ちょうど先週予告編で半沢が「100倍返しだ。」と言い、グッグッっと引き込まれた後、急いでチャンネルを変えました。その後の後編だけでもかなり感激したのですが、やっぱりちゃんと録画を見てからと思っていたら、このように遅くなってしまったのです。

 

しかしテレ朝、前回の『遺恨あり』もそうでしたが、竜也くんに良いお仕事をさせてくれましたね。思わず贔屓する者として御礼の言葉を述べたくなるほどでした。

最愛の美しかった妻、夏目雅子を失った後、自らを見失い酒に溺れ幻覚に苦しんだ伊集院静の再生の物語。

 

 

いねむり先生 (集英社文庫)
伊集院 静
集英社

 

漫画にもなっているんですよね。

 

いねむり先生 1 (ヤングジャンプコミックス)
伊集院 静
集英社

 

美しかった夏目雅子さんは、私にとっても失って本当に悲しいと思った女優さんでした。

テレビドラマの「西遊記」で彼女が三蔵法師を演じると、その魅力にあがらえず、心がときめきました。

ドラマの中でも
「素敵な人だった。」「良い女優さんだった。」「好きだった。」と様々な人の口からそんな言葉が聞かれました。
それはみんなの彼女への想いだったと思います。

「そんな人からもっていかれる・・・」

彼女は佳人薄命を地で行った人でしたね。

だけどそんな彼女を失った身近な人の喪失感など、その時は想像すらしませんでした。 もちろん目を向けることもなかったからですが、このような彼の物語に触れると、彼の苦しみは本当に説得力がありました。立ち上がれない苦しみに、胸がキリキリと痛みました。

酒とギャンブルに溺れ、幻覚に苦しむサブロー。そんな彼を助けたのはデブリンな天使、いねむり先生と呼ばれる男でした。

この人のモデルは色川武大。

この人のこと、この先生が患っていた病気のこと、そして物語の解説については、HPがすこぶる充実していますので、そちらで「ふむふむ」と感心していただきたいと思います。→「いねむり先生」HP

 

なので私は感想のみで、しかも好きだったシーンの感想を思いついた順で少々書かせていただきます。

前半を見てから感想を書いて良かったなと思ったのは、谷原さん演じる井上陽水氏がサブローを朝から(徹マンの帰りだから)飲みに誘う所で
「先生の話をちょっとしないか。」 と言い、そして最後に同じセリフを言うところ。

いねむり先生がいなくなっても、そうしてみんなで彼を語り合って、残された者たちを支えるんだなと思いました。

 

美しくて映像的にもグッと来たのは、棚田で二人でお酒を飲むシーンです。

青い夜の棚田。そして静かに流れる川。天空と川の中に浮かぶ煌く月。

その風景を肴に飲む二人の男。

一人はたぬきのような容貌で、一人は華奢で若く美しい。

絵画のような美しいシーンでした。

そこである意味におけるクライマックスが来るのは予想が出来ましたが、演技派二人。思わずこう来たかと引き込まれました。

強いお酒に、思わず幻覚に襲われるサブロー。のたうちまわる彼をいねむり先生は静かに見守ります。その冷静な眼差しに、何故と思わず思いたくなった時、サブローが「助けてくれ―」と叫び手を差し出した時に、迷わず手を差し伸ばし、幻覚の世界から引きずり出し彼を救ったのでした。

 

サブローを救ったのは、先生との会話だったと思います。

「泣いていた顔や苦しんでいた顔ばかりを後生大事にしていないで、その前にたくさんたくさん良い時があったでしょう。笑っていた時があったでしょう。どうしてそんな彼女を思い出してあげないの。」←いつものことですが不正確。「のようなもの」です。

 

妻マサコとの想い出のシーンも、最初は苦しむ彼女を見つめるサブローも無表情で無機質な感じがするのに、同じシーンでもそれが変わっていき、そして最後には、彼女との出会いから楽しかった時大事な時間の想い出が彼の中で煌くのでした。時間にしたら短いと思うのですが、しっかりとサブローとマサコの物語が伝わってきました。

今回も流石ですね。シナリオも演出も。

そして藤原竜也さんの演技も。

彼はいろいろな役を経て、また結婚して落ち着いたのも良かったのか、このような静かな役が更に上手くなったように思うのですが、それは私の贔屓目っていうやつでしょうか・・・。

 

良いシーンはたくさんありましたが、書ききれないので最後に、エンディングのことを書かせてくださいね。

エンディング、良かったですね。

直ぐ傍にいたはずの人が、ふと気がつくといない。でも心の中にはしっかりとちゃんといる。

最後の最後のシーンまで丁寧に撮られたドラマだったと思います。

 

あっ、そうだ。最後の最後に我が家の秘蔵のお宝をお見せしちゃうね。

昭和60年の10月10日号「Emma」

夫殿が
「永久保存版だ。」と言って買ってきたものです。本箱にしまっておいただけなのに保存状態はあまり良くなくて、我が家らしいっちゃ我が家らしいって感じですが、 彼女はみんなの心の中で今でも生きていると思います。

 

 

 

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする