英語は、勉強した方がいいよ~。<SONO1>の続きです。
英語が苦手で困った事がなかったかと言う事で、唯一私が思い出したあの日の出来事。
まだ学生時代、私は大手町の官庁街の裏通りを歩いていました。今はどうなのかは分かりませんが、その頃は如何に東京と言っても、表通りとはうって変わって裏通りは、ビルの背中が並んでいると言った感じで、「ビルの谷間」と言う言葉がぴったりな寂しい通りでした。
山の中を歩いているように、私は迷ってしまいました。前を向いても後ろを見ても、風が吹いているだけ、誰もいないのです。まさか東京で遭難は無いですが(そういう物語があっても面白いかもしれませんね。)、私は不安になって、決めました。次に人と出会ったら迷わず道を聞こうと思いました。と、その時タイミング良く、4、5人のグループがやってきました。
ああ、でもその人たちを見て、 がーん
(この効果音じゃ、古い?)
彼らは外国人のグループで、しかもみんなで地図を覗き込んで、ああでもないこうでもないと言い合いながら、こちらに向かってくるところでした。
もし彼らが、私のように次に誰かにあったら迷わず聞こうと思っていたらどうしようと、私は思いました。そう思った途端に、頭の中が真っ白になってしまいました。英語がどうのこうのという問題以前に自分が迷っていると言う現実があるので、どう対応していいのか分からなくなってしまったのです。
で、どうしたのかと言うと、私も地図を広げ彼らの横を、彼らと目を合わせないように只管地図を見ながら通り過ぎました。
私も迷っているので、話しかけてくれるなというアピールです。
でも、ああ、かっこ悪~い(涙)
うつむいた顔を上げたら、折りしもそこに同年代ぐらいの素敵な女性がやってきて、私の目的地を教えてくれ、私は大都会遭難を免れたのでした。振り向いてみると、ずっと続くビルの谷間の一本道の遠くに、地図を覗き込んでうつむいて歩く、彼らの姿が小さく見えました。
―聞かれても、わからなかったんだから仕方がないよね。
と、私は自分に言い聞かせました。
何気ないワンシーンですが、ビルの谷間に吹く風のような、ちょっと寒い遠い思い出です。