バラの住人

花弁の中の小人を探す そんな小さな日記です
もしもあなたが見つけても どうぞ秘密にして下さい(笑)

「敬礼」

2013年10月06日 | 我が家の伝言板


 妹達はそれぞれが父によく尽くしていました。
札付き(笑)のプータロウの姉が、父の定期健診の「病院行き付き添い係」でした。
ひとつくらい役に立つ事もあるものですね(笑)
昔ばなしに今ばなし、長い待合時間を二人はよくしゃべりました。

自己管理の徹底した父はボケも無く、自分の飲み薬には細心の注意を払い、難しい名前も効能も良く知っていました。
長年父の体を見て下さった先生や薬剤師さんが、父の自己管理の徹底振りを揃って誉めて下さいました。

療養型患者になり、大きな病院の先生の手を離れる時「僕が今考えられる最良の調薬をしました」と言って地域の先生にお渡しする薬を預かりました。

皆から非常に近い場所になって、妹達の誠実さや、孫も代わる代わる訪れて、心を寄せて来ました。
老人特有の痒(かゆ)みで、娘達の手が上手く痒い所に届くと、「わぁ~っ!」と言って喜びました。
父をとても可愛く思う瞬間でした。
励ます言葉が見つからなくて、「女ばかりのきょうだいだから、男のおじいちゃんがいなくなると困る」と言いますと「うんうん」と頷きました。
どうやら父のプライドを刺激しているようでした(笑)

そんな父でしたが、「思い出ごはん」をわたくしが一人で食べに行った明くる日に、静かに息を引き取りました。
享年九十歳。卒寿の父の長い人生に、わたくしの隣でもうひとりの私が、母の時と同じように最上級の敬礼をしていました。
感謝でいっぱいでした。


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コメント (2)
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