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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

ジェイン・オースティン 秘められた恋

2010-05-22 18:56:54 | the cinema (サ行)
原題 BECOMING JANE
製作年度 2007年
上映時間 120分
製作国・地域 イギリス/アメリカ
脚本 サラ・ウィリアムズ/ケヴィン・フッド
監督 ジュリアン・ジャロルド
出演 アン・ハサウェイ/ジェームズ・マカヴォイ/ジュリー・ウォルターズ/ジェームズ・クロムウェル/マギー・スミス/ローレンス・フォックス/アンナ・マックスウェル・マーティン/ルーシー・コウ/ジョー・アンダーソン/イアン・リチャードソン

「高慢と偏見」などで知られるイギリスの女流作家ジェイン・オースティンに迫る伝記ラブストーリー
1795年、イギリス。オースティン家の次女ジェイン(アン・ハサウェイ)は、裕福で家柄のいい相手との結婚を望む両親に迫られ、地元の名士レディ・グリシャム(マギー・スミス)の甥(おい)との結婚をしぶしぶ検討。しかしそんな中、ジェインはロンドンで法律を学ぶ知的なアイルランド人青年トム(ジェームズ・マカヴォイ)と出会う。

ジェイン・オースティンの短い42年の人生の中で、たった一度の激しくも叶わなかった恋を、
自身も大のオースティン・ファンのアン・ハサウエイが演じる。
アンは好きなお顔の女優であるけれども、あまりに各パーツが大きくて、生真面目でつつましい印象のジェインは果たしてどうなの?と思っていましたが、
田舎のプライドの高い貧しい才女、好演していました♪

ジェームズ・マカヴォイはこの時代の堅苦しい衣裳もよく似合ってますし、何より彼にはラブストーリーがよく似合う


アクロス・ザ・ユニバース」でもそのイケメン振りは光っていたジョー・アンダーソンも、またまた素敵に優しい兄貴ぶり

この時代を舞台にすると、どうしても登場人物のセリフ(特に貴族層の)が、侮蔑的で露骨で、それは殆ど下品なくらいなのだけれど(笑)
そこまでして初めて、この時代に貧しい人が幸せな家庭を築いていくことがいかに困難なことかが伝わるのも事実。

その当時の娘の母親にとって、引っ越してくる金持ちの男子はすべからく花嫁募集中であり(笑)
どんなにお金がなくても、娘を売り出すために仕立て屋の払いは削れない!必要経費。
オースティン作品お馴染みの、母親が婚活に注ぐエネルギーと執念はここでも健在。


序盤でレディ・グレシャムを訪ねた一家がウィスリー氏を紹介される場面では「プライドと偏見」のダーシーさまとの出会いを思い出すけど、
観ているうちにダーシーの原型は、きっと、このトム・ルフロイであったに違いないと思ってしまう。
ウィスリー氏は「いつか晴れた日に」(原作=分別と多感)のブランドン大佐という感じを受けた。

お互いの背負うものの為に諦めざるを得なかった恋。ジェインの決心は、トムへの愛の証.....
情熱的なふたりが理性のスイッチを押した瞬間は、目が、胸が痛みます。。。

終盤、お互いによき理解者となったウィスリーに、作品の結末を訊ねられるジェインが執筆していたのが、後に書き直されて「分別と多感」となる原型の「エリナとマリアンヌ」。
そう考えると、生涯を独身で過ごすことになる姉・カサンドラと自分の実らなかった想いを、小説の主人公の幸せなラストにしたことも、また感慨深い。


1795年に二十歳のジェインとトムがクリスマス休暇でであったこと。
ジェインは短期間ながら1796年にロンドンを訪れており当時トム自身も暮らしていたトムの叔父の家に滞在したこと。
1798年末にアイルランドに戻り、学友の妹と結婚したトムはその後娘の名前をジェインと命名したこと。
この3つの事実を元に描かれるジェイン・オースティンの世界。

歩きにくそうなドレスも、淡い色は富裕層のもので、労働の多い貧乏な娘たちは濃い色のドレスだとか、
舞踏会の音楽もパーティーのダンスも、楽団とともにダンスの振付師も雇われていたんだとか、
DVDの特典も面白かったです。