観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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「デンデラ」。

2012年03月22日 | 映画・ドラマ
 「楢山節考」の今村昌平監督の子息・天願大介監督が、父と同じ姥捨て山を題材に描いた、捨てられた老婆たちのその後の話し。
 捨てられた婆さんたち共同体を作り、己たちを捨てた村への復讐を誓う。
 タイトルのデンデラとは、エジプト中部に存在する町の名であるが、ここでは「遠野物語」に記される姥捨て地「デンデラ野」が引用されたのだろう。
 物語は、雪山に70歳を超えた斎藤カユ(浅丘ルリ子)は村の掟に従って息子に背負われ、姥捨ての場へ向かうところから始まり、雪山ならではの雪崩や野生の熊との戦いなど、デンデラでの共同生活が描かれている。
 最年少で70歳という年齢の割には結構足腰も、頭もしっかりしており(そうでもなければ話が進まないしね)、きっちりと意志と個性を持った婆さんたちに描かれている。
 主要キャストは、浅丘ルリ子、倍賞美津子、 山本陽子、草笛光子、山口果林、白川和子、山口美也子、角替和枝、田根楽子、赤座美代子。皆さんやはり巧い! これぞ日本を代表する女優。若くて美しい盛りを過ぎても押しも押されぬ大女優の地位を保っているだけあって、演技力は折り紙付きだ。
 こうして顔を揃えると、潔く甥を受け入れ年相応の美しさを保つ方と、若さへの飽くなき追求を続けている方とが一目瞭然。
 テーマが重い割りには、婆さんたちが矍鑠としているので、然程の悲壮感がないのも特徴的。 それにしても、男尊女卑の酷い村があったもんだと思わざるを得ないが、領主様は何をしているのやら。
 ラストは斎藤カユと熊との対決。図らずもデンデラの婆さんたちに成り代わり(?)村人を襲う熊に、カユは、「教えてけれ、どっちが勝った?」と問い、熊がカユに向かってもう突進するシーンで画面は暗転。
 「俺は斎藤カユ。今年七十になった」。と、浅丘ルリ子の声が入る。
 勝ったのは熊=自然。人の作った掟など自然の前には儚いものであると介錯して良いのか? 今年七十になったは、七十という年をどう解釈するべきなのかを問い掛けているのか?
 ちいとばかり難しい終わり方のような気がした。最も分かる人には分かるのかも知れないが。
 

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