観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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「老親」

2008年01月16日 | 映画・ドラマ
 長男(榎木孝明)の嫁で専業主婦の成子(40歳・萬田久子)は、姑の死後、子どもと共に東京を離れ、残されたオトノサマ舅・兼重(76歳・小林桂樹)と奈良・斑鳩(いかるが)で7年間を過ごすが、介護に疲れ、夫(52歳 榎木孝明)と離婚。娘(18歳 岡本綾)と共に東京に戻り、作家としての自立を志していたところ、他人となったはずの兼重(83歳)が「ただいま」と転がり込んで来た。
 お茶一杯入れられなかった舅が、半年で一家の主夫に大変身。成子親娘を支える生活に生きがいを見出していくが、その矢先、兼重他界。
 今度は骨粗しょう症で寝たきりの実母・まさ(80歳 草笛光子)を引き取るはめになる。
 原作者・門野晴子さんの体験に基づく老人介護の生活を描いている。
 東京から奈良に引っ越した成子親子の風習、文化にとまどうシーンが、関東人の私には、「うんうん。分かる。分かる」と共感でき、序盤のスタート。
 本当に関東の人間から見たら関西人は「外国人」そのもの。同じ人種とは思えないほどなのである。というか、大嫌い!(笑)。和宮さんもそれを迎えた将軍様もきつかっただろうなー。
 そして、舅の小林桂樹が、お見事。寂しさを、嫌みで主張する、子供帰りした歳よりを好演。さらに、皿を割ったりの失敗や倒れてのそそうで、「すんません、すんません」と頭を下げるシーンはジーンときた。哀れを誘うほど。
 人間、だれもに訪れる、決して目を背けてはいられない問題なのだ。どんな人にも老いは平等にやって来る。
 気持ちでは分かっていても、ついきつい言葉を発してしまう嫁の心境も痛いほど分かる。
 そう、寿命が延びたといっても、老人の時間が長くなっただけの現代。このテーマは永遠に続くだろう。
 が、成子の実母・まさ役草笛光子の寝たきり我がまま婆ぶりは小気味よかった。こんな口が達者で介護の必要な婆って迷惑だが、悪びれること無い我がままさは、悲観的な口先だけの謝罪や感謝をする人より、個人的には好きだ。