邦題「新・愛と復讐の挽歌」ってのがとほほな感じ。色気も素っ気もありゃしない。香港の大御所・周潤發が「愛と復讐の挽歌」シリーズを樹立させたからなのだろうが、やくざ絡みのアクション物って言えばみんなこれだ。
明日はよくなるチムサーチョイの東ってのが直訳か?「明月照尖東」。「明日があるさ」ってところかね。それもなんだかね。
で、このお話はホステスのロザムンド・クアンに恋しちゃった新米刑事の黎明と、そのホステスの元情夫で、クレイジーなマフィアの張学友の三角関係の挙げ句…。というだけの話。
なのだが、張学友がクレイジー振り全開の演技でかなり笑わせてくれる。なんたって、彼女の誕生日を祝った男は叩きのめすし、花は食っちゃうし、彼女奪回のためには爆弾まで身体に巻き付けたり、銃は連発するは、車にはねられるは…てな奴。こんな男を最初から好きになるとは思えないのだが、彼女は大好きだったんだよね。まあ、「いい女」とか「きれい」とか賞賛されてはいるが、この当時ですでに頬のたるみが気になるロザムンド・クアンだから、まあ、いいか。
銃を構え合った男2人の間で、指輪らしいプレゼントを渡されて、しかもそれを開けて中を確認しちゃう女ってどうよ? 肝が座ってると言えばいいのか、うーん、やっぱり下品だろうな。
彼女の勤める店にやって来ては嫌がらせするやくざの親分、観ていて息苦しいほどの下品なことったらないのだけれど、映画全体の作りが下品って気もする。
しかし、これだけの話で映画1本作っちゃう香港映画界のエネルギーたるや凄いもんだ。
それにしても黎明若っ。刈り上げ頭で走り回る青年姿には好感は持てたけどさ。今だったら黎明も学友もやらないだろうなこんな役。
まあ、こちとら香港から戻った翌日に観たものだから、懐かしくって、背景を観てるだけで満足だったけど。