観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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そして日本は助かった「新日本沈没」

2007年02月03日 | 映画・ドラマ
 「頑固一徹」な面構えの子役を救うためにレスキュー隊が、火災現場へロープでピューンと飛んで来るが、どこに繋がっているロープなのかとか、ほかの隊員はとか、ロープでターザンやってるときの背中は確かに男性だったのに、着地したら柴崎コウだったとかは気にするまい。大地真央がなんでズラを被っているのかについて追求するまい。日本が沈没するってので、みんな大慌てで取り乱したり、国外脱出してるのに、普通に勤務して、業務をこなす銀行員とかスーパーの店員とか…なんて素晴らしいんだ。彼らこそ真の日本人なのだ。これがわが国の武士道なのだ。
 草薙剛も、豊川悦司もこんな銀行員の前に目に入らなかった。
 あまり感想もないが豊川悦司には「一緒に生きて空を見よう」くらいは言って欲しかった(「海猿」参照)。そしたら熱いドラマになったのに。
 

ジャニーズのためのジャニーズによる「白虎隊」

2007年02月03日 | 映画・ドラマ
 薬師丸ひろ子は泣かせてくれた。浅野ゆう子は魅せてくれた。ほかお母さん役の女優陣は頑張ったんだけど…「白虎隊」じゃないよね、もはや。
 前後の現代劇はいらなかったし、全体に作りがちゃっちい。戦闘シーンなんか50人くらいで「えいや、えいや」って戦っている感じで、経費をかけなかった分、カメラワークでカバーしてた感が否めない。カメラマンさんお疲れさまでした。
 ジャニーズは? 田中聖は頑張ってた。だてにジャニーズなのになんで坊主なの? キャラではなかった。東山紀之もお侍顔で時代劇向き。何を考えてるか分からない殿様って感じは本のせいなのでこれは置いておこう。が、山下智久。完全にキャスティングミス。台詞回しがまったく「黒鷺」でそこいらの兄ちゃんだもん。これは観てる側もきつかった。ビジュアル的にはいけてたのでこれは○だけど。
 全く関係ないけど、最近のジャニーズって「なんであんなに無意味にマッチョなの?」。
 それにしても長州って悪い奴だよねー。薩摩も腹黒い。ってな描かれ方で薩長的にはいかがな作品だっただろうか? 坂本竜馬は登場しなかったが、薩長連盟に貢献しちゃったのって竜馬でしょ。大政奉還も竜馬。ってことは会津の悲劇は竜馬が産んだってことじゃん。
 前々から感じてたけど、やっぱり、西と東は同じ日本人じゃないってこと。人種が違うんだよなー。
 京都守護職に薩摩を置いておけば、こんな悲劇はなかったんじゃないかってのは後の祭り。どう考えても島津さんが配置されるべきだったでしょうが…。
 しかし「白虎隊」って一戦も交えず自刃した、早とちり君たちのお話だと思ってたけど、違ったんだね。飯沼貞吉以外は全て死んでしまったとも思ってたけど、飯盛山で自刃したのは25%。
 ドラマだから、特にジャニーズはかっこ良くなければならなかったんだろうけど、精鋭の武士たちが歯も立たずに敗退してる長州軍と戦って初陣の「白虎隊」があれだけ戦えるはずないじゃん。
 内館真紀子さんは凄い作家だとは思うけど、ハードボイルドな本格時代劇を求める人には不向きな本。「毛利基成」もそうだったけど、どうしてもこの人「女女」した目でした物事を捉えられないから。今回も完全に行き過ぎ。
 ラストに「一部登場人物とストーリーは架空のものです」とテロップが出てたけどさ、「ここまで史実曲げるなよ」ってな感じ。
 それと薬師丸のナレーションを先読みし過ぎだよ。
 最終的に、ドラマを観終わって、「やっぱり西の人間は嫌な奴だ」ということと、「男気溢れる東北人に拍手」(新政府軍を向こうに、奥羽越列藩同盟を結成して新政府との間で東北・北越戦争が展開。9月の会津戦争を最後に同盟側の敗北に終わった)戦わなくてもいい戊辰戦争に参戦した。これを男気としないでなんとする。
 司馬遼太郎は「会津藩を思うと我が民族も捨てたもんじゃない」って言ってるんでしょ。まさにその通り。でもさ、今の会津の人って違うよね。会津藩は国替えになったもん。どこにいるんだ? 正義と忠義の武士たちは?
 「幾人の涙は石にそそぐともその名は世に朽ちじとぞ思ふ」 松平容保
 しかし、20年ほど前の、森繁久彌が子供と走り回ってた「白虎隊」の方が好きです。堀内孝雄の歌と、蘇生した飯沼貞吉を宮川一朗太が演じてたのと森繁久彌、松平容保を風間杜夫が演じてたくらいしかもはや覚えていないが、坂上忍、新田順一が白虎隊士で、近藤正臣が土方だったらしい。
覚えてないのになんで? となると20年の年月を経ても、風間杜夫が馬で京都から敗走するシーンとか、森繁久彌が子供を抱えて、城に立てこもり砲弾を浴びたりとか、終結後、お国替えで野山を歩く宮川一朗太とかの姿がまだ脳裏にこびりついているから。それだけ印象深かったってことです。

空を見るために生きるのだ。「海猿 LIMITED OF LOVE」

2007年02月03日 | 映画・ドラマ
 1960年代、70年代に多々ありました。こんな熱いドラマ。「でっかい太陽」とか「これが青春だ」とかね。それをまねてできたのが、「飛び出せ青春」「我ら青春」などなど。当時は若者も今より単純だったのだろう、熱い台詞に胸打たれてジーンとしたりしたものだった。
 ということで、「海猿 LIMITED OF LOVE」。熱っい映画だったぜ。ドラマの1、2は観てたけど、「まあ、こんなものか」という感じで映画にあまり興味は湧かなかったのだが、観てみた。
 そしたら熱いのなんのって。沈没船に取り残された伊藤英明に時任三郎が「生きて帰って来い。そして一緒に空を見よう」だよ。そりゃあ、時任三郎にそう言われたら、何が何でも生きて帰らなくちゃ。
 ラスト近くなんか、空を見上げる時任三郎。
 とにかく全編熱い台詞のオンパレードで、「大マジ」。
 このドラマのどこに石黒賢を配置する必要があったのかは疑問(ほかのそこいらの役者でも良かったくらいな役回り)はあったにせよ、加藤愛が「うるせー」という不満はあったにせよ、「あんな文句っ垂れ助けるな」という不服はあったにせよ、佐藤隆太、また船から動けなくなって海中で死ぬのか(ローレライと同じ)という不安はあったにせよ、「和製タイタニック」と表題されている(バッタもんだから?)不可思議はあったにせよ、良かった。かなり良かった。映画としては感動大作。
 撮影秘話で、通常船が沈む映画に船会社は協力をしないが、この船会社の広報部の女性が伊藤のファンだったため、単独で承諾しちゃったって話があったけど、これだけの「いい映画」のテロップで社名が流れたら、結果オーライだ。
 人間死ぬ時は「空」なのだ。と目から鱗の「海猿」だった。
 忘れてたけど、主演の伊藤英明、すげー純粋で、「いいやつ」ぶりが役に合ってた。確か、一連の「海猿」シリーズでは彼はチェリーボーイなんだったよね。