香港四天王のアンディ・ラウとジャッキー・チュンが16年ぶりに共演したフィルム・ノワ-ル。闇世界に生きる男たちの宿命と絆を、“第二のウォン・カーワイ”の呼び声も高い新人のウォン・ジンポ-監督がスタイリッシュに描く。大先輩に負けず劣らず艶やかな演技を見せているのは、新・香港四天王と目されるショーン・ユーとエディソン・チャン。新旧2組の男たちの運命が交差する予測不可能な人間ドラマに魅了される。[もっと詳しく]
香港映画界は、若手とベテランが上手にタッグを組んでいる。
「インファナル・アフェア」のシリーズより、前と後では、香港映画の映画作法は大きく、異なっている。
好き嫌いは別にして、もう、昔の「香港映画」とりわけ暗黒社会を描いた作品に、戻ることはできない。
香港映画界を代表するスタッフの意識と方法が、飛躍したのだ。
こうしたエポック・メイキングな作品の登場によって、それぞれの国における、映画史は、新しい段階をむかえていくことになる。
「ベルベット・レイン」は、まさに、「インファナル・アフェア」以降のスタッフの高揚感と達成されつつある水準を、正確に伝えてくれる映画といえなくもない。
製作・総指揮のアンディ・ラウ お久しぶり、ジャッキー・チュン
アンディ・ラウと、ジャッキー・チュン。
香港四天王の登場は嬉しい。
しかも、16年前の名作「いますぐ抱きしめたい」(ウォン・カーワイ監督)の義兄弟コンビの復活だ。
そして、ショーン・ユーとエディソン・チャン。
新四天王といわれるふたりが、「インフォナル・アフェア」と同様に、重要な役回りで登場している。
身体をくねらすエディソン・チャン ニヒルなショーン・ユー
香港黒社会のリーダーであるホン(アンディ・ラウ)の暗殺計画が噂される。
義兄弟であるレフティ(ジャッキー・チュン)は、後継者争いに走る3人のボスを抹殺しようとする。
そして、子供が生まれるホンに、妻と一緒に、引退して、安全なニュージーランドに移住することを勧める。
ホンは、レフティの友情を信じながらも、「根こそぎ抹殺する」という強引なやり方に対して、否定する。
レフティの新装成った豪勢なレストランで、長い机の両端に対峙して、ふたりは、昔を懐かしみながらも、「いまある危機」に対して、方法論の違いから、激しく口論する。
一方で、冷静だがキレルと怖いイック(ショーン・ユー)と、道化を演じながらも兄貴と慕うイックのために走り回るターボ(エディソン・チャン)は、金を得て名を上げるために、ヒットマンの役回りを引き受けることになる。
そして、新旧ふたつの「義兄弟」の運命が、交錯するかのように、映画はクライマックスを迎える・・・・。
映像的には、香港フィルムノワールの様式美に、磨きがかかっている。
ことに、ホンとレフティが土砂降りの雨の中、暗殺を狙う一群と揉み合う、スローモーションのシーンは、日本のヤクザ映画の様式美を髣髴とさせる。
この映画の監督であるウォン・ジンポーを発掘してきたのは、配下のボス役でも登場しているが、「インファナル・アフェア」のボスの演技も記憶に新しい、性格俳優エリック・ツァンである。
そして、アンディ・ラウ自身が、製作総指揮をとり、ラストのエンディング・ソングを自ら作詞・作曲し、ついでに、「江湖」(黒社会の意)のタイトルまで、その達筆で揮毫している。
暴力シーンの過激さから中国では上映中止になったが、香港では1300万香港ドルのヒットを記録しており、監督は、香港電影金像奨の最優秀新人監督賞に輝いている。
スタッフは、「インファナル・アフェア」で召集された、一流のプロたちだ。
抜擢されたウォン・ジンポー監督
アンディ・ラウの達筆!
異なる世代が結集し、香港映画の新しい現在をつくっていこうとの気迫がうかがえることが、この映画の最大の魅力かもしれない。
長髪で、存在感に満ちたボスを演じるアンディ・ラウ。
映画作りが楽しくてならないといった様子が伝わってくる。
自分が主役を張るだけではなく、この最前線をプロモートしていくことの、喜びのようなものが伝わってくる。
邦画にも、新しい才能は続々と登場している。
けれど、ロバート・レッドフォードが新人監督を自らが製作・総指揮となって育てていくような、韓国映画でもベテラン監督が支援にまわり、次々と若手監督を輩出していくような、そして、アンディ・ラウが自らも身体を張って100作以上の作品に主演しながら、次の世代をプロデュースしていくような、そんな「映画界」としての熱気が少ないように思える。
だから、つまるところ、テレビ的手法で、前売り券をばらまくような、いわゆる「大作」と、お笑い芸人と器用なマルチタレント化したシナリオ・ライターの自己満足的「小品」と、ビデオ・レンタル市場の一定の数量をあてにした「Vシネマ」シリーズに代表される「商品」と、その構図から、なかなか脱却することができない、といえば、言い過ぎか。
世界の動きが、必ずや、邦画の風穴を大きく開けていくことを願うものだ。
兆しはいくつもあるのだから。
><坊主憎けりゃ袈裟までに憎い>事件と知られる事件なのです(笑)。
はは、そういうこと、ありますよね。
僕も、ぼろくそ書いたレヴューに、ファンの人たちが殴りこんでくれないかなあ、とおもってるんだけど、いまのところ、失笑される程度です。
しかし、それも映画自身の責任である、と大いにこきおろしてしまいました。
わが記事における映像に関する悪口は明らかに言いすぎでした。わが周辺では<坊主憎けりゃ袈裟までに憎い>事件と知られる事件なのです(笑)。
エディソン・チャンはいいですね。
ミーハー層だけでなく、大人にもアピールする役者センスを持っていると思います。
ベテランと若手の組み合わせは香港映画ではホントに上手く活用されている気がします。
エディソンは本当に良い俳優になってきましたね。
新作が楽しみな一人です。
今度はちゃんと公開できました。
ありがとうございました~。
もう一度、送ります。
コメント待ってます。
せっかくトラックバックしていただいたのに、間違えて消しちゃいました。
すみません。
もし良かったらもう一度お願いします。
まだブログ初心者でトラックバックのやり方がわかっていなくて・・・本当にすみませんでした。
この若手ふたりは、もう何度目かの共演ですが、本当に、おもしろいペアだと思います。それぞれが、今後も、年相応の風格をつけてくるんでしょうね。楽しみです。
香港映画は若手俳優が着々と力を
つけてきている感じがしますね。
「ベルベット・レイン」の二人は特に
成長著しく、今後も注目していきたい
俳優と思っています。
安心して、見ることが出来ました。
香港ノワールの様式美は、新しい水準に達しつつありますね。
ベテランと若手?のパートがどのようにシンクロするのか楽しみでしたが、まさかあのようになるなんて驚きです。
若いくせにバイプレイヤーと化しつつあるチャップマンも良かったけど、主演の2組が、若い方は若いなりに、ベテランはベテランなりにかっこよかったです。
インファも素敵でしたが、私はこのベルベット・レインに香港映画の可能性を感じました。
これからの香港映画に期待したいです。もっともっと、ベテランがバックアップして、才能ある新人が世に出ますように・・・。
この映画も、当然「インファナル」とかぶりまくっているけど、それがいいんですよ。やっぱ、勢い。役者さんも、出まくるときにはそうしたらいいと思う。
石原軍団以外は、旧黒澤一家とか旧木下一家とか。あとは、たけし軍団か。うーん、苦しい。
アンディの達筆まで見せていただき感謝です(笑)
韓国映画も香港映画もおっしゃるように若手を育てようという意気込みを感じます。
外国ではベテラン監督や俳優さんたちがバックアップしているのを見るにつけ、邦画はそのシステムが違うのか考え方が違うのかどうも上手く機能していないような気がしますね。
石原軍団では・・・・うーん、寂しい物があるなぁ(爆)
日本映画界に対する苦言、まさにその通りだと思います。
アンディーとか、これには関係ないですケド、ジャッキー・チェンとか、
次世代を育てようという心意気が、よくわかりますよね。
まだ、10日ほど前の記事だから。
次で、この監督さんの本当の評価が決まるでしょうね。
1ヶ月近くもブログを放置していたので、今さらのコメントで申し訳ありません。
4人の役者は、それぞれ持ち味を発揮していて、とてもヨカッタと思います。
音楽や映像もまずまずでした。
ん~でも、私はストーリー展開の強引さとういか「アラ」が気になって、いまひとつ乗れなかったくちです。
でも、香港映画の新星として、この監督さんの次回作が楽しみではあります。
そうね、ほかのは、届いているみたいだけど。僕も、よくありますよ。腹たって、カチャカチャやっていると、いきなり、数個スパムみたいに、送っちゃうことになったり(笑)サーバーのご気分なのかしらねぇ。
どうしてものときは、コメントだけでも送ってくださいね。こちらから、TB貼りにいきますからね。
ところで話題がそれますが、こちらのページには、すぐにTBできたのですが、「村の写真集」のページには、何度やってもTBできません。どうしてでしょう?
この監督は、可能性を感じさせますね。
なににしろ、映画の世界に、活力があることは、いいことです。
トラバ逃げして申し訳ありませんでした。
香港映画もしかし、若手監督はまだまだ少ない感じで
それ故懸命にエリック・ツァンやアンディら実力者が発掘しようとしているんだと思います。
ウォン・ジンポー監督は荒削りですが、可能性を
感じさせますね。
邦画ももっと若手で実力のある監督が出てきて欲しい
ところです。
映像的には、かっこよかったですね。
アンディには、ますます香港映画界をリードしていってほしいですね。
ストーリー的には??のところもありましたが、ラスト雨のシーンも含め映像美に溜息がでてしまうところもありました。
おっしゃるとおり、アンディ達の映画界を想う気持ちにもやられてしまった映画でした。
VMチーフ
僕はRINさんのように、華流で「家系図」とても書けないので、いつも、その「おおおばさんのような」(笑)、温かい気配りの仕方には、本当に感心しています。
ショーンくんて、僕にはちょっと、草薙君のようにみえますけど、駄目?
アンディ兄さん、なぜか「婦人公論」でもインタビュー受けていましたからね。
(赤裸々に自分の結婚願望と具体的青写真を語っていました)
この映画への意気込みが感じられました。
(まあ、いつでもサービス精神旺盛な方ですが・・・)
確かにエディソンくんは身体をくねらせていましたが、
ショーンくんは、いまひとつニヒルになりきれていなかったような気がします。
「ナニ考えてるのかよくわからない、突然キレル奴」
のように見えてしまったのが残念です
なかなか、あんな文字は書けませんよ。立派!
>jesterさん
中国映画で、もっと残虐なのあったような気がしたけどねぇ。
>sabunoriさん
ああ、なかなか、いい声もしてますね。普段は、歌手ですよね。
>麻波郎さん
80年代~90年代前半、香港映画といえば、早撮りだけがとりえ、みたいな雰囲気があったんですけどね。
>@KOBAさん
してやったり、の脚本といえるでしょうね。普段は平気でネタバレ前提ですが、さすがに、この作品は(笑)
TBありがとうございます。
今作のストーリーには、思わず「やられた!」
って思いました。
全然気がつかなかったです。
「インファナル・アフェア」好きの私としては、ついつい比べて評価してしまう為、ちょっと辛口の感想になってしまったのですが、香港映画の新しい局面を見せられたのは事実です。
新しい映画を作って行こうというスタッフ達の意気込みが感じられた作品でした。
イックの彼女を演じるリン・ユアン(林苑)の歌声もですが、しゃべる声がどうにも心地よかったのが印象的でした。
この映画、なぜ上海で上映禁止になったのか、よくわかりませんでした。
子供を殺すシーンがあったからかなあ?
でもインファナル・アフェアーズの1の中国バージョンのエンディングというのを見たら、ちょっとわかりました。(インファナルDVDBOXに付録としてついていたのです)
あれじゃ、後に続かないし・・・・・(爆)
アンディが製作総指揮なのは知っていましたが、
タイトル習字まで手がけていたとは!内心、
あの長髪は似合わない(笑)と思っていましたが、
やはりアンディはすごい!
確かに、日本にはベテランが若い世代を育てている
空気はないかも。この点は香港、韓国映画に学ばなけ
ればいけませんね。