イラストレーターの門坂流氏死去
産経新聞 4月10日(木)23時57分配信
門坂流氏(かどさか・りゅう、本名・敏幸=としゆき=イラストレーター)3日、胃がんのため死去、65歳。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻、極子(きわこ)さん。
細密な鉛筆画やペン画、銅版画などで人気を博し、作家の司馬遼太郎さん、小池真理子さんの本の表紙や、雑誌の挿絵などを数多く手掛けた。
門坂流という名前を知らない人でも、絵や本が好きな人は、どこかで彼の作品に出会っているはずだ。
版画の手法のひとつなのだが、ビュランという先端に硬い刃のついたノミのようなもので 銅板に線を彫ってそこにインクを埋めて、それを刷るのだが、この極めて古典的で難易度の高いエングレービングという手法の第一人者であった。
彼の作品では線が交差しない。
それは波でも風でもなんでもいいのだが、波動そのもの粒子の動きそのものを感じ取ろうとするような描線なのである。
単に精密ということでもない。
僕たちは門坂流の作品の前に佇みながら、時間の流れ、空間の細部の微細な揺れを感じながら、作品の前から動けなくなってしまうときがある。
この人は、自分のことを画家ではなく、絵師であるというように言っておられる。
細密描写は、いま、いろんなところで注目を浴びているが、このひとの作風は「スーパーリアリズム」という領域にはおさまらないものを持っていたと思う・・・合掌!
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