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サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

310日目「ヨーロッパ絵画に見る永遠の女性美」(ニューオータニ美術館)」紀尾井町

2012年04月25日 | 姪っ子メグとお出かけ

姪っ子メグ ウイルデンスタイン東京で、開設四十周年記念ということで、佐藤忠良展をやってたね。ウィルデンスタインといえば、フランス出身の国際的な画商よねぇ。印象派のコレクションでも有名な。競走馬のブリーダーとしても有名だと聞いたことがあるけど。
 キミオン叔父 世界有数だね。佐藤忠良さんは、フランスやイギリスでも招かれて個展をやった稀有な日本の彫刻家だけど、ニューヨークはウイルデンスタイン画廊でやっている。71歳の時だったかな。
「当画廊の先代オーナーが秘蔵してきた」とあったけど、あの「帽子・夏」もあったよねぇ。「ボタン」もあったかな。基本は少女と若い女性像が中心だったけど。 
2010年の暮れから2011年にかけて、世田谷美術館で佐藤忠良展があって、 その会期が終了したのが3月6日、で3.11があって3月30日に佐藤さんがお亡くなりになった。佐藤さんの記念館が誕生地の宮城県にあるしねぇ、関係者は作品の搬送後だったらしいけど、肝を冷やしたみたいだ。
その後も、NHKでも特集されていたけど、 晩年に依頼された仕事で、東北地方初の小児医療総合病院のレリーフがあったでしょ。テーマは佐藤さんの絵本でも人気のあった「おおきなかぶ」。
入院する多くの子どもたちや親御さん、スタッフの方たちが毎日手で触っているみたいね。震災後に訪れる親子も多いみたい。
佐藤忠良さんや、最後まで同期の彫刻家だった舟越保武さんのことなんかは、どんなに言葉をつくそうが語りつくせない人は多いと思うけど、ことに佐藤さんは「私は職人です」と謙虚におっしゃって、賞もいらないと広言されていて、事実芸術院会員を二度断って、文化功労賞も二度断って、勲四等も断っている。 
彫刻には、対象の時間をこめるんだとよくおっしゃっているわよね。最初の頃ははじめて日本人が日本人の顔をつくったと言われた「群馬の人」とか「母の顔」とか「王貞治」とか「きたな作り」と言われる時代があって、娘で女優のオリエさんや仲良しだった朝倉摂の一人娘をモデルにした「小児科時代」があって、その後教え子の笹戸千津子さんをモデルにした「帽子」シリーズがあって。晩年はアトリエで「木」のデッザンを続けておられた。
オジサンもこの人の作品の前からは立ち去りたくないというか、いつも離れるときに後ろ髪を引かれるようで。モデルが誰かと言うより、自分の中の記憶の誰かが、佐藤さんの作品の中に甦ってくる。
その佐藤さんがおっしゃっていたけど、「美人」というのは書きやすいんだけど、あんまり価値がないんだ、と。西洋でも美人画と言うのは誰でも書けるから、そんなに評価されないんだ、と。

ニューオータニの「永遠の女性美」展。こちらはヨーロッパ絵画だけど、17世紀から19世紀に描かれたもの。日本ではあんまり馴染みのない絵描きが多いね。
このコレクションされているのが、「山寺 後藤美術館」。これ、後藤さんと言うコレクターが平成六年に日本でも有数の史跡名勝である宝珠山立石寺という、比叡山延暦寺の別院のなかに、美術館をつくられたみたい。
山形市から山のほうに行ったところにあるみたいだな。ヨーロッパ絵画以外に、ガレやドームといったガラス工芸品や、ロダンの彫刻なんかがあるみたいだけど、すごい資産家なんだろうな。美しい環境だと思うけど、ちゃんと現地まで行く人がどれほどいるか。まあ、ほんとは自分で独り占めするのが贅沢かもしれないけど(笑)
 「永遠の美」というと、やはり原点は聖マリア像になるわよね。そこから時代によって、さまざまな題材が選ばれたんだけど。あたしはジョージ・エルガー・ヒックスの「孤児」とか、アウグスト・フォン・ヘッケルの「神よりの授かりもの」がよかったな。なんか、社会的階層が出来てきたとき、まだこの頃は、よき敬虔なよきブルジョアジーの慈悲に満ちた女性がいたというか(笑)
オジサンは、えーとジャン=ジャック・エンネルの「栗色の髪の少女」。なんか、グループサウンズの歌詞みたいなタイトルだけどさ、なんかきりりとして美しい。
ほんとに知らない絵描きさんばかりだけど、こんな絵に何十点も囲まれていたら、ちょっと普通には暮らせないわよねぇ。本格推理ミステリーの古い謎の洋館にあるような。
そうだな。オジサンは佐藤忠良さんの少女像が一体あればそれでいいよ。まあ、一生持てることはないだろうから、宮城県の佐藤忠良記念館に足しげく通うとしましょうか。 


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