サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

387日目「幽霊・妖怪画大全集(そごう美術館)」横浜

2013年08月31日 | 姪っ子メグとお出かけ

姪っ子メグ おじさん、今までで一番怖い思いをしたことってなーに?
キミオン叔父 いろいろあるんだけどさ、記憶の底に封印してる。夢かなんかで形を変えて表出してると思うけどね。怖いこと考えると、脳裏から映像が離れなくなっちゃうだろ。なんとか意識をそらそうとするんだけどさ、そういう時がたいへん。小学校から中学校にかけて、十年近く金縛り体験があったから。オジサンの田舎の家は庭がすごく広かった。で、和室に寝ているんだけど、絶対に電気を真っ暗にはできないの。窓の外からさ、誰かが覗いている気配がする。寝付くまで怖くて、ラジオを聴いてたな。金縛り体験では、女の人が髪の毛をふりかざしてしがみついてくるのはしょっちゅうだった。
ヒエー!聞かなきゃよかったよ。
あと、森ね。何度も迷子になったから。ぐるぐる回っても出口に達しない。だんだん日が暮れてくる。絶望的になったことが小さい頃何度かある。誰かが足をつかまえようとするの。もう泣きながら、無我夢中で走ってさ。で、振り返ると・・・。
やめて!
学校の怪談、「トイレの花子さん」さんとか都市伝説は多いけど、オジサンの場合は、小学校の時、体育室の用具いれの空間に入り込んで眠り込んでしまったことがあったの。隠れん坊してたのかな。跳び箱の中で。で、気がついて、誰もいないし、持ち上げようとしたら、どうにもふたがあがらないの。で、薄明かりの中、隙間から外を覗くんだけど、ときどき不思議な影が目の前を横切る。どうも人間とは思えない。息を凝らして、結局明け方までそこにいたんじゃなかったかな。
もういいよ、話題変えよう!


この夏の怪談シリーズ、とうとう三井記念美術館、横須賀美術館、そして今回のそごう美術館と三館制覇しましたねぇ。
そごう美術館の出展の大半は、吉川観方という京都出身の日本画家であり、風俗研究家のコレクション。この人は生涯をかけて1万数千点にわたる風俗画を収集したけど、そのなかに幽霊画や妖怪画の名作がズラズラと。
吉川観方自身も、幽霊画を書いている。終戦後に描いた「朝霧・夕霧」。これ、お岩さんとお菊さんという日本の幽霊代表選手の二人だけど、白い着物、消えた足という応挙からの幽霊画の伝統を踏襲しながら、化粧したり、団扇で風をおくったりしている幽霊。日常の中にひょいといる感じ。怖いね。
応挙伝とされるちょっと出っ歯の幽霊図が怖かったな。この幽霊、かつてTVの女性レポーターの枕元に毎晩出没したらしいぜ。
渓斎英泉の幽霊図もどうよ。若い女性の生首もって、口から血を滴らせている。累のイメージがちょっと。
河鍋暁斎の幽霊図は、男の生首と言うか髪の毛を咥えて、飛び出た眼球で睨み付けている。おー怖っ!
歌舞伎幽霊というのはあんまり怖くない。妖怪画になるともう可愛いという感じが先に来るよ。とくに、百鬼夜行図なんかはもう行列そのものがカーニバルみたいで。
伊藤若冲の「付喪神図」にしたって茶道具とか楽器なんかの妖怪がずらずら並んでとってもユーモラスだ。
だから双六になったりカルタになったりして、娯楽の中で妖怪と共生すると言う文化もある。このあたり、水木しげる先生が、今でも人気のある由縁なんでしょうね。
そういえば、三館とも水木しげるは活躍してたね。ちゃーんと江戸期の原画の構図を引用したりもしてるしね。水木さん絵の即売会も、結構の値段ついていたけど、ほとんど売れてたよ。
今回は図録買っちゃったわよ。オールカラーで二百頁以上の分厚さで結構お得な値段だったよ。こういうの持ってたら、幽霊や妖怪も逆に寄ってこないんじゃないかなって(笑)
 


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