何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

一乗寺-(1) (加西市)

2024年05月11日 | 寺社巡り-兵庫

【兵庫・加西市】孝徳天皇の時代の白雉元年(650)、天竺から紫雲に乗じて中国朝鮮を経て飛来したとされる法道仙人が創建した伝わる。 法道は伝説的人物だが、神通力で鉄鉢を自在に飛ばし、山里から米などの供物を得ていたため「空鉢仙人」と呼ばれていた。 法道の評判は孝徳天皇の耳にも入り、天皇の病を法力で治癒させた縁で、天皇が金堂を建て「一乗寺」の勅額を与えたとされる。 宗旨は天台宗で、ご本尊は聖観世音菩薩像で白鳳時代作の金銅仏。 西国三十三所第26番札所。 播磨西国三十三カ所第33番札所。 神仏霊場巡拝の道第77番霊場(豊饒の道兵庫第12番)。
<文化財(建造物): 国宝 =三重塔/国指定重要文化財=金堂、護法堂、妙見堂、弁天堂>

★まずは、県道206号線に面した一乗寺の境内入口から東に向かい、約500メートル上った峠の道路脇に建つ山門を拝観する。 西に約550メートル離れた所にも同じような門が建つことから、往時には広大な寺領を有す大寺であったことが窺い知れる。 とはいえ、いずれも規模が小さく簡素な造りなので、大寺の山門らしくない。
境内入口に戻り、道に沿って流れる側溝に架かる緩やかな反橋を渡って境内に。 参道の真ん中に総高は約3メートルの石造り笠塔婆が佇んでいて参詣者を迎えている。 二重の反花座台石の上に建つ笠塔婆は約710年前の鎌倉末期の造立で、大日如来の梵字と金堂(本堂)からちょうど一町の距離にあることが刻まれている。

△一乗寺前の県道206号線を東へ約500メートル上った峠の道路脇に建つ一乗寺山門

△切妻造本瓦葺の山門は東門....一乗寺前から西側に約559メートル離れた所に同じような形の西門が建つ

△規模が小さい簡素な造りの薬医門形式の山門....一乗寺の伽藍の規模にしては東西門いずれも小さい

△門前の全景....門前右手に昭和四十一年(1965)造立の「法華山一乗寺」と彫られた寺号標石が立つ

△入り口の境内前を流れる側溝(小川?)に架かる幅広の小さな石橋(反橋)....2つの切石敷参道の間に常香炉が置かれ、石造笠塔婆が立つ

△石橋の脇に建つ道標/向かって右手に建つ歓喜院の石垣そして土塀に沿って流れる小川

△入り口の参道中央に常香炉と石造笠塔婆、右手歓喜院の石垣土塀の傍に宝暦十二年(1762)造立の石燈籠が立つ

△二重の反花座の台石上に建つ石造笠塔婆鎌倉末期の正和五年(1316)の造立....上部に胎蔵界五仏の大日の梵字を刻む....塔婆の位置は本堂からちょうど一町(約109m)の距離にある/笠の軒下端に薄く平板状の垂木型を刳り出し、頂部に蓮弁を刻んだ請花・宝珠をいただく

★伽藍は山間の傾斜地に階段状に造営されていて、本堂までは三つの石段がある。 山裾の境内を奥に進むと木々に覆われた最初の急峻な石段がある。 まずは石段右手奥の傾斜地に佇む鎌倉末期造立の五輪塔を拝観する。
最初の石段を上ると狭いが静寂な境内に常行堂(阿弥陀堂)がひっそりと建つ。 奈良時代に聖武天皇の勅願で創建され、その後、二度の焼失・再建を繰り返したが明治元年に再建された。 さほど古くはない御堂だが、歴史を感じさせる佇まいだ。

△入り口境内の正面奥に堂宇境内への急峻な石段がある....左手の白壁の建物は宝物館

△左に山号寺号標石、切石敷参道に回向柱が建ち、石段下の右手の奥に五輪塔がある

△傾斜地の木立の中に鎮座する石造五輪塔

△鎌倉末期の元亨元年(1321)造立の石造五輪塔(国指定重要文化財)

△空(宝珠)、風(受花)、火(笠石)、水(塔身)、地(基礎)の五大各輪に梵字が刻まれている

△回向柱の傍から眺めた境内の入り口

△最初の常行堂(阿弥陀堂)境内への急峻な石段(76段)....山腹に建つ本堂へは三段に分かれた石段(計161段)を上る

△石燈籠越しに眺めた常光堂(阿弥陀堂)....第45代聖武天皇の勅願で創建されたが、室町時代嘉吉元年(1441)の嘉吉の乱で焼失

△露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺で裳腰を設けた常行堂....天文二年(1533)に再建されたが再び焼失、明治元年(1868)に再々建された

△正面五間で中央間三間は引き違いの腰高格子戸で両脇間は引き違いの縦羽目板戸

△身舎の軒廻りは二軒繁垂木、組物は柱頭に出三つ斗、中備は本蟇股(刳抜し蟇股)

△裳腰の軒廻りは二軒繁垂木、組物は出三つ斗で中備無し

△側面五間で二間が格子戸、三間が横羽目板張....正面側一間のみに高欄付縁/簡素な組高欄風の高欄付き縁

△常行堂境内に鎮座する大正十五年(1926)造立の地蔵尊立像/常行堂の左側面側に置かれた水口のない手水鉢

△青銅製燈籠越しに眺めた常行堂






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする