担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

なぜそう見えてしまうのか。

2011-10-14 23:43:01 | mathematics
明治大学の杉原厚吉先生の錯覚に関する講演を聞いた。

以前,図書館でCG関連の書籍を探しているとき,杉原先生の不可能物体の作成に関する本を借りて写真を楽しんだ覚えがあったので,講演は楽しいものになるだろうと思っていた。

その期待はもちろん裏切られなかった。

杉原先生はBest Illusion of the Year Contest の2010年度のチャンピオンに選ばれたとのことで,こういう面白そうなコンテストで日本人が優勝するというのは実に嬉しいことである。

講演は,数学的な話も交えつつ,もっぱら図や動画を紹介するという内容で,錯覚を起こす映像を立て続けに見せられたのは貴重な経験ではあったが,ちょっと頭がくらくらしてきたのも事実である。
「錯視酔い」とでも呼ぶべき状態になりかけた。頭がちょっとパニックになるらしい。

講演内容はどの話題も全て刺激的で面白かったのだが,とりわけ印象に残った言葉がいくつかあった。

そのうちの一つは,

数学的に解けたとしても,工学的に解けたことにはならない。

という言葉である。

これは例えば連続関数の中間値の定理によって方程式の解が「ある」ということがわかっただけでは解けたことにならず,その解の近似値でもいいからどうにかして具体的な数値として解の情報を引き出すことまでしないと工学においては役に立たない,というようなことであろう。

この言葉から,次のようなフレーズを思いついた。

数学的に解けないとしても,工学的には解かなければならない。

数学的な議論によって解けないことが証明されたとしても,それで話は終わらない。
全く別のアプローチを取ったり,数値や条件を多少変えてでも,なんらかの結果を残さなければどうしようもない。
そんな無理を承知で困難に挑戦し続ける壮絶な覚悟を感じさせる言葉であるが,あきらめるな,粘れ,工夫しろ,という励ましがこもったメッセージともとれるだろう。

いつか自分もトップ10入りを果たして,コンテストのお祭りの舞台に立てたらなあ,などという夢を抱いてしまった。
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