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コンデンサを作ってみた。

2013-02-26 22:10:32 | 工作・実習
電子工作にかける費用としてとりあえず5万円を見込んでいたのだが,すでに数万円オーバーしている今日この頃である。

稼ぎも貯金も少ない貧乏人の分際でそれほどまでの大金をつぎ込んでしまったので,買っただけで満足するという「つん読」状態であってよかろうはずがない。

先週のアキバ遠征で最も高かった買い物は,2/23 に行ったときに時間がなくて慌てて衝動買いした sanwa の CD771 というデジタル・マルチメーターである。僕ごときには間違いなくオーバースペックのテスターであるが,『武蔵野電波のブレッドボーダーズ』92ページの写真に添えられたメーカーの方のおススメコメントが頭に残っていて,つい選んでしまったのである。

なぜテスターが必要だったか。

電子工作を楽しんだり,電子デバイスの性能を確かめたりするには当然何らかの測定機器があった方がよい。昔,アナログ式のそこそこのテスターを持っていたはずだが,それがどこにしまってあるかがわからず,比較的最近に買った覚えのある800円の安いアナログテスターしか手元になかった。しかもそのアナログテスターは抵抗値を測るためのゼロ調整用のボリュームの接触が悪く,オームの法則を確認しようと思い立った時に使えないことが判明してしまったのである。

それで新しいテスターを買う必要性を感じていたのだが,デジタルテスターは高いし,まだ自分には早いと思っていたにもかかわらず,買ってしまったというわけである。

もっとも,またアナログテスターを購入しようと思っていたものの,ちゃんとしたやつはやはりそこそこの値段がするので,それならちょっとだけお高いデジタル・テスターにしてもいいかな,とおかしな気分になってしまった。

まあ,税込みの定価がほぼ9千円のところが,7千5百円ぼっきりで手に入ったのだから,まあよしとしよう。機能面を考慮したらお買い得品であることは間違いない。ただ,問題は豚に真珠というか,猫に小判というか,僕に CD771 という組合せは宝の持ち腐れになる悪い予感しかしない。

しかし,せっかくコンデンサの容量計や周波数カウンタの機能をもった高性能マルチメータを手にしたのだから,抵抗と並ぶ電気回路の基本素子であるコンデンサやコイルの自作に役立てようと思う。

というわけで,今回の工作のテーマは「手作りコンデンサで圧電ブザーを鳴らそう」である。小中学生の「やっつけ」夏休みの自由研究のようなしょぼい工作が中心の企画であるが,やらないよりはましである。それに,あまり気負わない方が気楽に取り組める。それは,何をなすにも腰が重い僕のような人間にとっては極めて大事なポイントなのである。


今回のレポートは工作の前半として,コンデンサを作った結果をレポートする。材料はアルミフォイルと,肌着を買ったときにくっついていたボール紙である。

発振回路に使用するのが目的なので,容量としては 100 pF 程度を目標にしたい。ところで,発振回路に使用に耐えるためは,周波数特性のような難しいことも考慮しなければならないのではないかと漠然と不安になってきたが,何をどう考えればよいか全くわからないので,とりあえずおいておく。

アルミフォイルを電極に使用し,電極間に挟む誘電体としてボール紙を使おうという腹であるが,どれくらいの大きさにすべきか,何らかの見当をつける必要がある。

そこで高校の物理の教科書を引っ張り出すと,そこには平板コンデンサの静電容量が,誘電体の誘電率と極板の面積,そして誘電体の厚さの逆数の積で与えらえるという有名な式が書かれている。

ボール紙の比誘電率は,紙の誘電率と同じだとみなせば 2.0~2.5 程度であるらしいが,静電容量の下限を見積もるため,誘電率として真空の誘電率 8.9 pF/m をつかって理論値を求めることにする。

さて,ボール紙一枚の厚さを知る必要があるが,そのためにボール紙を2.5cm角ほどの大きさに切り分け,8枚重ねて定規で測ったところ,4mm 程度だった。したがってボール紙一枚の厚さは 5×10-4 m ほどとわかる。

真空の誘電率に出てくる 8.9 という数値を見て,なんとなく 11 の 2乗の 121 をかけたら 10 の累乗に近い数値が出るのではないかと期待し,極板を一辺 11cm の正方形にしようと考えた。じつはこのとき厚さに出てくる 5 で割ることをうっかり忘れていたのだが,それはさほど問題ではない。

これで計算に必要な数値がすべてそろった。

誘電率は 8.9 pF/m,面積は 0.121×10-4 m2,極板間の厚さ,つまり誘電体の厚さは 5×10-4 m

である。こうして容量の下限の理論値は 215 pF ほどとわかった。紙の比誘電率が 2.0 だったとしても,この2倍の 430 pF が期待できるというわけだから,多少サイズが小さめになったり極板間が若干離れたとしても,100pF くらいならちゃんとあるかもしれない。

次は製作段階である。定規を使ってボール紙に切り取り線を書き込み,はさみでジョキジョキする。そしてそれを型紙として,アルミフォイルもジョキジョキする。測定用の端子としてアルミフォイルの端っこをちょっと出してみたが,実際の測定には役に立たなかったので,そういう飾りはなくてもよい。

切り取ったものを重ねる。


容量を測定する際,極板が机などに接触していない方がよいだろうと思い,洗濯ばさみで挟んでちょっと浮かせることにした。アルミフォイルとボール紙は特に接着していないので,洗濯ばさみは両者をくっつける役割も果たしている。


出来たものを斜めのアングルで見ると,サンドイッチ構造がよくわかるだろう。ちなみに,コンデンサを載せた箱は,CD771 の外箱である。


さて,ドキドキの測定だが,数回測定を繰り返したところ,表示は 00.17 nF 前後の数値を示した。つまり 170 pF ということで,容量の下限として見積もった 215 pF をさらに下回っている。まあ,こんな雑な作りである以上,世の中こんなものだろう。

これを発振回路のコンデンサとして使用して無事に発振するかどうかについてはまだ実験していない。
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