東日本大震災では,特に夏場の被災地周辺地域の電力不足が深刻な問題となった。
西日本から電力を融通してもらうというのが一つの解決法であるが,事はそう簡単ではない。
日本に発電所を作る際,東日本では50Hz,西日本では60Hzの発電機を導入して以来,今に至るまで東西日本における発電周波数は統一されていない。
電化製品に限ってみても,交流電源の周波数の違いが動作にどのような影響を与えるのかよく知らないが,たいていはほとんど気にせず使えるのだろう。
コンピュータや携帯通信機器が普及している現在,旅行で東日本と西日本を行き来する際,そうした機器の充電器を持ち歩くことも多いが,少なくとも日本であればどこであろうとお構いなしにコンセントにアダプタを突っ込んで充電する。そういう使い方をしてはいけないとマニュアルで読んだ覚えもなければ不具合が生じたという話も聞かない。
そうした機器では高い電圧の交流を低い電圧の直流に直す変換が必要であるが,それは基本的にトランス(変圧器)を用いて電気的に行われる。ところが,最近ではACアダプタが小型化されてトランスが使用されているようにはとても思えないサイズのものも見かけるようになった。それはそれで中身が大変気になるところであるが,ひとまずその話はおいておく。海外では家庭用の電気が日本より高く220Vだったりするわけだが,それすらも気にせずに使える最近のACアダプタの中身も気になるところだが,それもおいておく。
ここで取り上げたいのは,
東日本と西日本との間で電気のやりとりをする際,どのように周波数を変換しているのか
という問題である。
これについてはしばらく考えてみたものの,あまりよい解決策が見いだせないでいる。
周波数を変換する際,できるだけ電力のロスを抑えるべきだろう。そう考えたとき,自分で思いついた方式よりも変換効率がよい方式がきっとあるのではないか,そんな気がしてならないのである。
定量的な評価の導出はともかくとして,あるエネルギーを,変換装置を通じて少し異なる形態のエネルギーに変換する際,必ずなんらかの形で無駄が生じるという定性的な仮説をまずしっかりと念頭におく。無駄はどこで発生するかといえば,変換装置である。たいてい利用しづらい熱になってしまうであろう。
さらに,これは絶対に正しいというわけではないが,変換にさまざまな手順を踏めば踏むほどロスは増えるものだという気がする。これはお金の流れを考えれば想像しやすいだろう。ある人から他の人へと財が流れるとき,間に人をはさめばはさむほど手数料がどんどん差し引かれる,というイメージである。そう,変換機では「手数料」がかかるのである。
となれば,なるべく熱を発生しない,そしてシンプルな機構が望ましいわけであるが,僕が考えたアイデアを述べよう。
x Hz の交流をAC-DCアダプタに通して直流電流に変換し,その直流電流でモーターを動かし,発電機を回し,y Hz の交流を得る。
このアイデアに一つセルフつっこみを入れておこう。
わざわざ直流電流に変換する必要はあるのか。
実は電池で動く直流モーターしか知らず,交流で動くモーターというのがあるのかないのか,あったとしても動作原理がよくわからないので,x Hz の交流を用いて直接,発電用のモーターを駆動できるか不明なため,自分の知識の範囲で確実に実現できそうな方式を採用したというのが本当のところであるが,もっともらしい言い訳も一つある。それは,直流という周波数の関係ない形態を通すことで周波数のズレを全く気にしなくて済むようになる,というものである。
これは電気を機械的に伝達するという方法なので,なんとなく機械部分でのエネルギーロスが大きそうな気がしてならない。
そうだな,極端な話,x Hz の電気を伝熱コイルに通し,コイルの発生する熱で y Hz の発電機の蒸気タービンを回す,なんていうめちゃくちゃロスが大きそうな方式もあるといえばある。
ちなみに,これらの「非電気的変換」とは別に,電気的な非線形振動を利用するという漠然としたアイデアもないわけではない。
たとえば 50 Hz を入力とし,3倍高調波の150Hzが出力できたとしよう。それをさらに2倍し,300Hzが作れたならば,デジタル分周器を通して周波数を 1/5 に落とす。そうすればお目当ての 60 Hz が手に入ってめでたしめでたしとなる。
ただ,この方針の難点は,周波数を2倍,3倍にする逓倍器をどう実現するのか,具体的な方法が僕にはわかっていないことと,周波数を 1/5 倍に減らす装置も,デジタル的に実現するのは簡単だが,アナログ回路で同様のことができるものなのかよくわからないことである。また,高調波を発生する際,より周波数の高い信号も発生するだろうから,そらはフィルターでこしとられるので,その分のエネルギーが勿体ない。これもまたあまり効率が良い変換法とは言えなさそうである。
というわけで,僕の乏しい知識から思いつく周波数変換装置はこんなところである。
では答え合わせの時間である。キーワード「周波数変換」でネットを検索する。すると佐久間周波数変換所という Wikipedia の一項目が目に留まる。その最初の数行を読んでニヤリとする。「交流を一度直流に変換,再び交流に戻す」とある。ただし再び交流に戻すというところが僕の想像と大きく異なる。どうやら,交流を直流にする「コンバータ」の逆である,直流を交流にする「インバータ」を電子・電気的に作り出すものらしい。
そういえば,よく電子工作で取り上げられるものとして昇圧回路なんてのもあったな。これは図式的には
直流→インバータ→交流→コンバータ→直流
という流れで直流の電圧を変換するものである。直流から交流を生み出すには半導体の持つスイッチング作用を利用する。要するに発振回路を使うというわけである。
発電所から送られる非常に高い電圧の場合,半導体回路を直接利用できるものかどうか気になるところであるが,実際に使われているようだ。
こんな風に,ちょっと小耳にはさんだ科学技術関連の話題から,どういった原理で実装されているのかを自分の持っているわずかな知識を頼りに想像するのはなかなか楽しい遊びである。
西日本から電力を融通してもらうというのが一つの解決法であるが,事はそう簡単ではない。
日本に発電所を作る際,東日本では50Hz,西日本では60Hzの発電機を導入して以来,今に至るまで東西日本における発電周波数は統一されていない。
電化製品に限ってみても,交流電源の周波数の違いが動作にどのような影響を与えるのかよく知らないが,たいていはほとんど気にせず使えるのだろう。
コンピュータや携帯通信機器が普及している現在,旅行で東日本と西日本を行き来する際,そうした機器の充電器を持ち歩くことも多いが,少なくとも日本であればどこであろうとお構いなしにコンセントにアダプタを突っ込んで充電する。そういう使い方をしてはいけないとマニュアルで読んだ覚えもなければ不具合が生じたという話も聞かない。
そうした機器では高い電圧の交流を低い電圧の直流に直す変換が必要であるが,それは基本的にトランス(変圧器)を用いて電気的に行われる。ところが,最近ではACアダプタが小型化されてトランスが使用されているようにはとても思えないサイズのものも見かけるようになった。それはそれで中身が大変気になるところであるが,ひとまずその話はおいておく。海外では家庭用の電気が日本より高く220Vだったりするわけだが,それすらも気にせずに使える最近のACアダプタの中身も気になるところだが,それもおいておく。
ここで取り上げたいのは,
東日本と西日本との間で電気のやりとりをする際,どのように周波数を変換しているのか
という問題である。
これについてはしばらく考えてみたものの,あまりよい解決策が見いだせないでいる。
周波数を変換する際,できるだけ電力のロスを抑えるべきだろう。そう考えたとき,自分で思いついた方式よりも変換効率がよい方式がきっとあるのではないか,そんな気がしてならないのである。
定量的な評価の導出はともかくとして,あるエネルギーを,変換装置を通じて少し異なる形態のエネルギーに変換する際,必ずなんらかの形で無駄が生じるという定性的な仮説をまずしっかりと念頭におく。無駄はどこで発生するかといえば,変換装置である。たいてい利用しづらい熱になってしまうであろう。
さらに,これは絶対に正しいというわけではないが,変換にさまざまな手順を踏めば踏むほどロスは増えるものだという気がする。これはお金の流れを考えれば想像しやすいだろう。ある人から他の人へと財が流れるとき,間に人をはさめばはさむほど手数料がどんどん差し引かれる,というイメージである。そう,変換機では「手数料」がかかるのである。
となれば,なるべく熱を発生しない,そしてシンプルな機構が望ましいわけであるが,僕が考えたアイデアを述べよう。
x Hz の交流をAC-DCアダプタに通して直流電流に変換し,その直流電流でモーターを動かし,発電機を回し,y Hz の交流を得る。
このアイデアに一つセルフつっこみを入れておこう。
わざわざ直流電流に変換する必要はあるのか。
実は電池で動く直流モーターしか知らず,交流で動くモーターというのがあるのかないのか,あったとしても動作原理がよくわからないので,x Hz の交流を用いて直接,発電用のモーターを駆動できるか不明なため,自分の知識の範囲で確実に実現できそうな方式を採用したというのが本当のところであるが,もっともらしい言い訳も一つある。それは,直流という周波数の関係ない形態を通すことで周波数のズレを全く気にしなくて済むようになる,というものである。
これは電気を機械的に伝達するという方法なので,なんとなく機械部分でのエネルギーロスが大きそうな気がしてならない。
そうだな,極端な話,x Hz の電気を伝熱コイルに通し,コイルの発生する熱で y Hz の発電機の蒸気タービンを回す,なんていうめちゃくちゃロスが大きそうな方式もあるといえばある。
ちなみに,これらの「非電気的変換」とは別に,電気的な非線形振動を利用するという漠然としたアイデアもないわけではない。
たとえば 50 Hz を入力とし,3倍高調波の150Hzが出力できたとしよう。それをさらに2倍し,300Hzが作れたならば,デジタル分周器を通して周波数を 1/5 に落とす。そうすればお目当ての 60 Hz が手に入ってめでたしめでたしとなる。
ただ,この方針の難点は,周波数を2倍,3倍にする逓倍器をどう実現するのか,具体的な方法が僕にはわかっていないことと,周波数を 1/5 倍に減らす装置も,デジタル的に実現するのは簡単だが,アナログ回路で同様のことができるものなのかよくわからないことである。また,高調波を発生する際,より周波数の高い信号も発生するだろうから,そらはフィルターでこしとられるので,その分のエネルギーが勿体ない。これもまたあまり効率が良い変換法とは言えなさそうである。
というわけで,僕の乏しい知識から思いつく周波数変換装置はこんなところである。
では答え合わせの時間である。キーワード「周波数変換」でネットを検索する。すると佐久間周波数変換所という Wikipedia の一項目が目に留まる。その最初の数行を読んでニヤリとする。「交流を一度直流に変換,再び交流に戻す」とある。ただし再び交流に戻すというところが僕の想像と大きく異なる。どうやら,交流を直流にする「コンバータ」の逆である,直流を交流にする「インバータ」を電子・電気的に作り出すものらしい。
そういえば,よく電子工作で取り上げられるものとして昇圧回路なんてのもあったな。これは図式的には
直流→インバータ→交流→コンバータ→直流
という流れで直流の電圧を変換するものである。直流から交流を生み出すには半導体の持つスイッチング作用を利用する。要するに発振回路を使うというわけである。
発電所から送られる非常に高い電圧の場合,半導体回路を直接利用できるものかどうか気になるところであるが,実際に使われているようだ。
こんな風に,ちょっと小耳にはさんだ科学技術関連の話題から,どういった原理で実装されているのかを自分の持っているわずかな知識を頼りに想像するのはなかなか楽しい遊びである。
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